て、てっきりこよりが実の姉である真名を時々、お姉ちゃんではなく真名さんとさん付けで呼んで、窘められているのには、何か深い事情があるに違いないと思っていたのに。
唐突に、次回予告でこよりが真相を曝露。

こら待てや！！

そんな、そんな理由だったのかorz
いいのか、それで。
なんだか、本編がどんどんシリアスになっていくのに反比例して、次回予告が明後日の方向に暴走していっていませんか？


一方の本編は、どんどんドラマティックな展開に。正直、かぶりつき。
この作品、主人公の依人と辻堂以外は茉莉、蒼乃、真名、こより、繭子とキャラクターが女性ばかりなので、一見、ギャルゲーそのものに見えるんだけど、いや実際物語の構成の仕方によっては、女性キャラ攻略型のゲームにも出来るんだろうけど、少なくともこのアニメ作品単体としてみるなら、ストーリー展開上、非常に無駄の無い配置になっている。
依人を中心に過去からの因縁に結ばれた茉莉と蒼乃。もう一人の夜禍として、恐らくは蒼乃あたりと関係のある繭子と、繭子のために夜禍を追い茉莉と交戦している辻堂。本来、彼らの因縁とはまったくの無関係の立場ながら、だからこそ全員と等距離にあり、同時に俯瞰的に事態の真相に一番近い位置にいて依人を導く立場にある真名。
依人以外の他者を排斥する傾向に陥りつつある蒼乃に対して、依人を経ず蒼乃その人と心を通わせた友達であるこより。
とにかく、あんたなんでいるの？　というキャラクターが一人もいない。ここらへん、ゲーム原作でないオリジナル作品の強みだろう。物語にも一本筋が通ってて、無駄なイベントもなく、殆どすべてのシーンが何らかの形で後に繋がってきている。心情的な描写も含めて。
いや、これは本当に、見るのに真剣になれる歯応えのある作品だ。

たとえば。
あの、辻堂と繭子が一見意味なく真名とその友人の佐倉紗絵がバイトをしているファミレスに連日訪れて飯食ってたシーンも、単に二人のキャラクターを視聴者に伝える目的だけではなく、真名に二人との面識を与えると同時に、紗絵に辻堂たちに興味を抱かせる、という意味合いがあったわけだ。あそこで、紗絵が辻堂と繭子の関係に妄想を広げるという、どうでもよさそうな場面が、後々こんな重要な転換点に繋がってくるとは想像もしてなかったもんなあ。

初回からの、依人が学校をサボってまで空を追いかけて街中を歩き回っていた、という描写も、今回、携帯の写真の背景から茉莉たちの居場所にすぐさま見当がついた、というところに繋がっている。いちいち、説得力を持たせてるんですよね。
前回の茉莉との遭遇だって、偶然ではあるものの偶然が起こるに足る伏線は幾重にも仕込んであったし。蒼乃とのお出かけルートが茉莉と歩いた道だったり、コンビニに茉莉の好物のトマト汁粉が入荷した、なんてどうでもよさそうだった話も、ここに繋がってきてたし。


ああもう、ネタバレ気にしてたら何も書けないので、以降は今回までのネタバレ全開です。
ご注意を。







さてさて、話の方は、ほんとエライ事になってきましたよ。
茉莉と依人が出会ってしまったことで、蒼乃姉さんの女の情念が炸裂。
最初は学校で倒れた依人を送ってきてくれた真名に優しい顔でお礼を言うだけの余裕があったはずなのに、依人が、本当の記憶と蒼乃が植えつけた偽りの記憶とのせめぎあいで、精神的にボロボロになっていくのを目の当たりにして、依人を操って茉莉を刺させてしまった蒼乃の方も、心の余裕が徐々に失われていき、茉莉だけでなく、依人に近づく女は誰であろうと認められない、という精神状態に。

自分が茉莉を刺してしまう、という記憶から消された真実を、悪夢として何度も何度も繰り返し見続けて、ボロボロになっていく依人も悲惨な状態なんだけど、蒼乃姉さんもかなりテンパッた状態に。

元凶を断つ、とばかりに、まだ街に潜んでいる茉莉をねらって夜の街へ。
月下。列車の車庫の屋上に、無数の折紙ファンネルを従えて現れる蒼乃姉さん。

あなたはもういないの。あなたはいてはいけないの！

……もう、ゾッとするほど格好よく病んでるんですけど！！


一方で、八面六臂の活躍を見せたのが真名。明らかに様子のおかしかった依人。倒れた彼を送っていった先で、突然豹変した蒼乃の態度。
真名たちを拒絶し、家にも入れようとしない蒼乃の態度に不信感を抱きながらも学校に登校した真名のところに、紗絵が昨晩帰宅途中に繭子を見つけて携帯で撮影した画像を見せてくる。そこに映っていたのは、路地の奥に消えようとしている繭子と……もうこの街にはいないはずの茉莉！
バイト中に盗み聞きした辻堂と繭子の会話から妄想を広げ、この女性こそ繭子のお母さんのヤカさんなんだよー！　なんて言ってる紗絵さん。
母親がヤカさんというのはともかくとして、辻堂と繭子の間でヤカという言葉が交わされていたことは、真名も紗絵とのお喋りで気付いていたはずだけど、茉莉と繭子が映っていたこの写真を見ることで、繭子たちが夜禍と関係のある人物。それも、茉莉と関係がある人物と真名はここで確信したはず。
ここ、あとで家出した繭子を探す辻堂と何らかの形で繋がってくると思うんだけど。
とりあえず、茉莉がまだこの街にいることを依人に知らせるために、学校を早退して依人の家に向かう真名。この時点で、依人と茉莉が再会しているのを知っているのは、茉莉と蒼乃だけなんですよね。当人である依人は記憶消されてるし。
で、依人に伝えようとしたものの、玄関で蒼乃に遮られる真名。ここで、依人に逢わせまいとする蒼乃に不用意に茉莉のことを依人の大切な人なんです！　なんて真名が口走ってしまったために、蒼乃の逆鱗に触れてしまう。逆上して帰れと真名を突き飛ばした勢いで、日差しに触れてしまう蒼乃。目の前で、日光に肌を焼かれて悶絶する蒼乃を目撃し、動転する真名。
ここで、真名は蒼乃が夜禍である事実を知ってしまったわけだ。しかし、どうして依人の姉である蒼乃が、茉莉と同じ夜禍なのか。何も事情を知らない真名は、混乱するわなあ。

でも、ここでめげたり足を止めないのは、さすが妹から真名さんとさん付けで呼ばれるほど畏れられている真名さんである。昼間は追っ払われたものの、夜になってから家へと忍び込んでくる。不法侵入ですから！
で、依人の部屋に忍び込んでみたら、部屋は台風が過ぎ去った後のようで、蒼乃が風邪だと言い張って学校を休んでいた依人さんは、目を見開いたまま人形のように茉莉はもういないとうわ言に繰り返しつつベッドに横たわる依人の姿。
繰り返し見る悪夢に、僅か一日で正気を逸してしまい、夕方には必死に抑えつけようとする蒼乃姉さんを跳ね飛ばし、彼女が破れたカーテンから差し込んだ夕日に焼かれて苦悶する姿にも、意識が戻らず発狂したように暴れ叫ぶばかりでしたから、おそらく蒼乃姉さんが無理矢理精神を弄くってマインドコントロール下に置いていたんでしょうけど。

でも、ここでビビって引き下がらないのが妹にも（中略）な真名さん。依人に馬乗りになり、ビンタ一閃。茉莉の映った携帯画面を依人に見せ、というか突きつけ、無理矢理正気を引き戻す。
あんた、すごいよ。さすがは妹にも（中略

繭子の方だけど、辻堂の下から家出したのはいいけど、雨降ってたのがいきなり止んでしまい、日光に晒されて焼滅しかかっていたのを茉莉に助けられていた模様。ひどい火傷を負って、茉莉に面倒を見て貰っていたらしい。繭子には茉莉との面識はなく、茉莉が夜禍であるのも薄々察してはいたものの、お互い事情は詮索せずにいるらしい。
ところで、蒼乃は茉莉によって夜禍になったのだけれど、繭子は茉莉と面識がない以上、茉莉に夜禍にされたのじゃないのは確定か。
ここでちょっと気になる点が。どうやら夜禍なら、深手を負ってもすぐに自力で回復できる力があるらしい。茉莉が依人に刺された傷を治していないのは、蒼乃との約束を破ってしまった自責の念からで、即座に治せるのは治せるらしい。
ところが、繭子の方は火傷の回復がいやに遅い。茉莉が街を出ていないのは大火傷を負った繭子の存在があったからだろうから、おそらく一ヶ月前後、傷が癒えていなかったと考えられる。これは状況からの推測だけど、多分茉莉が助けてしばらくは動かす事も叶わないくらいの重傷だったのじゃないだろうか。
果たして、夜禍という存在にとって日光に焼かれた傷は治りが遅いのか。それとも、繭子という個体だけが、夜禍の力が弱いのか。
このへん、繭子が夜禍人化した事情や、辻堂が夜禍を狩っているのと関係しているのかもしれない。
どうやら、夜禍は個々に違う能力を有しているみたいだし。繭子にも彼女特有の力があるのだろうか。手で触れたものを侵蝕か腐食させる力を持つ茉莉に対して、茉莉によって夜禍と化したにも関わらず、侵蝕能力ではなく無機物に偽りの命を与える、と思しき力を持った蒼乃。
夜禍人に纏わる謎も、そろそろ見せて欲しいところだけど。次回あたり、どうやら蒼乃と茉莉のガチバトルになりそうだし、そのへん明らかになりそう？

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