諸国漫遊記

無事、学園占拠事件も解決したので、王都に向かうがてら各地を巡回することにする。
その前に、学園のみんなに挨拶。
フラッセお嬢とレイナ、以前のお見合いの件以来、口も利かない顔も合わさないという絶交状態だったらしいのだけど、今回の事件をきっかけに仲直りしたらしいんだけど……
いや、思いっきり喧嘩してるし。仲直り…してるのか? これ。
以前に戻った、と言えばそうなんだろうけど、二人とも不器用というか頑固というか。
似たような関係で、メイベル市長とリラさんという理想形な二人がいるわけですけど、そこに至るにはまだまだ二人とも未成熟な感じだなあ。
でも、メイベルさんとリラさんも十代の頃はこんな感じだったのかもね。
職務上とかなんとか無理な言い訳をしつつ、お見合いの結果を知りたがるエステル(笑
あのお見合い、やっぱり成功に終わってたみたいで。終わった時の感触、両方ともよさそうでしたしね。
フラッセの年齢も年齢だし、まだ学生ということもあって、しばらくは文通で関係を育み、婚約などはまだ先みたいだけど。まあ、結婚に至る形としてはこういうのもありだよね。

一方で、学生らしい淡い恋愛を育んでるカップルもいるわけで。ニキータとジノキオの友達以上恋愛未満なやり取りにニヤニヤ。

ツァイスを抜け、キルシェどおりに差し掛かったその時、どこからともなく導力式エンジンの駆動音が。エステルたちが振り仰ぐ上空には、王都方面へと飛び去る赤い飛行艇群の船影が。
そうか、これが8章のメインイベントか!

結社による王都襲撃。
市街地へと続く門に集結する王都守備隊の前に、飛行艇から降り立ってきたのは四人の執行者。
銃も使えず銃剣突撃するしか攻撃方法の無い王国軍を、容赦のないSクラフトの連発で蹴散らす執行者たち。
進軍してきた猟兵と人形兵器たちに市街の制圧を命じ、執行者たちは王城へと向かう。

エステルたちが王都にたどり着いた時には、市街はすでに炎上。戦況は市街東西地区で王都守備隊と結社兵が交戦中。市民の避難は王国軍とギルドが協力して行ってるみたいだけど、街のあちこちには倒れ伏す兵士の姿が。
マジで戦争だ、こりゃ。エルナンさんに状況を聞き、エステルたちは王城へと向かうことに。

一方、王城では閉鎖された城門を、痩せ狼が寸剄で粉砕。高さにして8〜10メートル近くはあろうかという門なのに、粉々ですか。
王城内。二重扉の内の一枚が砕かれる音を聞き、デュナン公爵が女王とクローディアに女王宮に退去するように進言する。
公爵、公爵立派だよ。思わず涙ぐんでしまいました。
しかし、公爵がクローディアを王太女と呼んだからには、クローゼ、ついに女王の後継者となることを決断したのか。
ところで気になったんだけど、女王たちと一緒に女王宮に下がるヒルダ女官長が、公爵の執事のフィリップさんを気にしてたんだけど、二人って何か若いころに関係あったのかしら?

ついに門を打ち砕き、王城へと侵入してきた執行者たちを迎え撃つのは王室親衛隊、そしてバルコニーから華麗に飛び降り、剣を抜き放ち執行者たちの前に立ちふさがる……ふぃ、フィリップさん!?
しかも、元親衛隊大隊長って名乗りましたよ!?
な、なんという隠れた経歴。ただの気弱で押しの弱い善良な老人じゃなかったのか!?
やべ、燃えた。


王宮前で立ちふさがってきた回転翼装備型の人形兵器を、けっこう苦戦しつつ撃破。
王宮内では、すでに倒された親衛隊とあて身を喰らい気絶したデュナン公爵。そして、フィリップ執事の姿が。
フィリップ執事、執行者四人を相手にかなり勇戦したらしい。彼らにかなりの達人だったと言わせるくらいだから。

遅れて女王宮に辿りついたエステルたちが見たものは、一歩遅く、執行者たちに拘束されたアリシア女王とクローゼ。
人質を取られ、たった一人相手でも苦戦必至の執行者が四人。絶体絶命のピンチという時に……あ、現れたのはって。


うおおおおおおおおおおおお!!(大興奮

り、リシャール、リシャール様じゃないですか!?

シード中佐とジークとともに、華麗な剣技で執行者たちを払いのけ、無事女王とクローゼの身柄を取り戻すリシャール大佐。
これは、これは予想してなかった。全然予想してなかったよ。大興奮。
どうやら、女王たちにはすでに知らされていたらしく、事前にカシウス准将が手配していたみたい。あのパパという人は、なんというチート。
しかも、一方的に押されていた市街地も、カノーネ大尉率いる情報部特務兵が参戦。
まさか特務兵たちもが釈放されて、味方として戻ってくるとは。
予想してなかった、予想してなかったよ!!(大興奮
しかも、プログラムで育成された強化猟兵と違って、こちらの特務兵は自力で業と力を磨き上げた本物の精鋭部隊。
尋常でない体技で、人形兵器や強化猟兵たちを一方的に駆逐していく特務兵たち。
情勢は一気に王国軍に傾いていく。

剣聖の弟子二人に、エステルたち四人。クローゼも加えての七人を相手にしてはさすがに分が悪いと踏んだのか、機を失ったとみたのか、執行者たちは撤退していく。
猟兵たちも、劣勢と執行者たちの撤退に、後退をはじめ、なんとか結社による王都侵攻作戦を頓挫せしめることに成功したのだった。

いや、それにしても、なんという展開!!

しかし、いくらなんでも服役中のリシャールや特務兵を解き放つのは法律上大丈夫なのか、と思ったら、表向きには王都へ護送中に戦闘に巻き込まれ、結果的に王都を守ることになった、という無理ありすぎなシナリオが組まれているらしい。
いや、無理です、その言い訳無理ありすぎです。どうして護送中の囚人たちが完全武装なんですか(笑
でも、ナイアルたちが現場目撃して、写真も撮ってるので(なんでカメラ動いてたんだ?)、世論も味方になってくれそうだけど。

エステルたちが王都に呼ばれたのは、やはりクローゼのことだったらしい。略式ではあるが、立太女の儀は済まされ、彼女は正式に次期女王の座に収まったのだそうだ。
責任と義務を背負う決断したんですね、クローゼ。
そんなクローゼを祝福し、今までと同じように助け合うことを誓い合うエステルやヨシュア。
そんな彼らの姿を見て、改めて若者たちの可能性を見ようともせず暴挙に出た自分の不見識を悔いるリシャール。
でも、女王はリシャールに、貴方もまだその可能性ある若者の一人でしょうに、と笑いまじりにそっと諭すのだった。
女王陛下はやっぱり偉大な人だなあ。国母というに相応しい器だと思われ。

そこに急報が。
女王陛下に謁見してると何かしら急報が飛び込んでくるな。

って、ハーケン門に帝国軍集結中!? しかもそこには戦車部隊が含まれているらしい。
しかし、導力が停止している中で戦車部隊なんてただの鉄の塊だと思ったら、なんとその動力には蒸気機関を搭載しているというのだ。
内燃機関よりもさらに古い世代の動力機関。もちろん、一朝一夕で製造できるようなものではない。帝国はだいぶ以前からリベール王国を襲うこの状況を予測していたということになる。
結社とつながっていたとでもいうのか?
オリビエが次は敵だと言っていたのは、この事なのか!?

カシウスが隠し持っていた切り札(ジョーカー)にしてエースたるリシャール大佐と特務兵は、この王都襲撃で切ってしまった。
王都侵攻作戦により、敵はいつでも自由に王都を攻められることが証明されてしまった今、王都からリシャールたちを動かすことはできない。
カシウスパパ、未来予知でもしているんじゃないかという指し手振りを見せていたけど、教授はさらにそれを見越して手を打っていたのか。
まさにカシウスと教授、人知の及ばぬ領域で互いに棋譜を読み合っているような戦いが繰り広げられているわけだ。

クローゼは、ここで自分をハーケン門に派遣するよう女王陛下に願い出る。
女王に次ぐ王太女という立場を持って、一触即発となっている帝国との最前線で交渉に赴こうというのか。
さっそく、課せられたばかりの責任を果たそうというその意気。
もちろん、それにエステルたちが応えないはずがない。ハーケン門までクローゼを送り届ける任務を、自ら願い出る。

ハーケン門は、未だ解放状態のまま。
帝国側に展開する帝国軍には、無数の蒸気戦車が配備されている。
しかし、蒸気で戦車なんて動くのか? 機関車じゃないんだから、石炭の補充とか大変だぞ。

にらみ合う両軍。モルガン将軍が、集結する帝国軍将ゼクス中将に説明を求める。ゼクス中将、隻眼かよ。まさに猛将と言った感じ。
やはり導力停止現象は王国内にとどまらず、帝国の南部にも影響を及ぼしているらしい。
南部地域の治安維持と、要請あらば災厄に見舞われ謎の集団に襲撃を受けている王国に救援を向ける用意がある、といけしゃあしゃあと述べるゼクス中将。
筋は通っているけど、まだ帝国の進攻からまだ十年も経ってない中、帝国軍は領内に入ってきたらリベール国民の動揺はとんでもないことになるだろうが。
しかも、この状況を予見していたかのような蒸気戦車の配備と迅速な派遣。
帝国側に侵攻の意図あり、と見ない方が難しい。

そこに到着したクローゼたち。
クローゼのドレス姿とは違う軍装いたいな正装はかなりりりしくて印象違うなあ。

モルガン将軍と交渉役と代わり、ゼクス中将と対面するクローゼ。
相手のゼクス中将はやはり有名な人物らしい。エボニア帝国第三師団司令官。帝国でも五指に数えられる名将。別名を「隻眼のゼクス」
……ん? ゼクス・ヴァンダール?
あれ? そういえば、ミュラー少佐も家名はヴァンダールだったような。

先に述べたような、国民の動揺などを理由に情理を尽くしてゼクスを黙らせるクローゼ。
ところが、そこに帝国側から新たな交渉者が。
オリヴァルト皇子って、やっぱりオリビエ、皇子さまだったのか。しかも、以前クローゼと婚約交渉に入ってたあの皇族。
もちろん、皇太子ではなく庶子らしいけど。
そうか、帝国側ではあの浮遊都市は、リベールの新兵器とみられてるわけか。何も情報がない中で、ああいうのを見せられたらそう思うのもわからないでもない。
謎の浮遊都市に、導力停止現象。導力通信の不通で、まったく情勢が伝わらなくなったリベール王国。
これがリベール王国の陰謀にしても危機にしても、帝国臣民の不安や軍の警戒を解消する方策として、確かに、帝国軍がリベールに「進駐」することは帝国側の理に適ってはいる。
リベールの陰謀ならば事前にたたきつぶす頃に繋がるし、リベールの危機なら導力機構停止状態の中でも動け、火薬式の砲を備える蒸気戦車群は浮遊都市攻撃の手段として有効であり、リベールを助ける手段となりえる。
どちらにしろ、帝国の危険は解消できる。
筋は通ってはいるわけだ。リベール王国の主権や国民の心情をまったく慮っていないけど。
さて、この主張を覆すには、リベールが独力で、しかも早急にあの浮遊都市と導力停止現象をなんとかしなければならないことになる。
それがリベールにできるのか。
その証明になるものを、示してもらおう。
オリヴァント皇子は、揚々とクローゼ、そして真実を知りながら手前勝手な論理を振りかざす自分に食ってかかってきたエステルに要求する。

この辺、オリビエの交渉があまりに隙なく理路整然としたものだったので、本気でオリビエは帝国の皇子として国益を優先し、リベールを陥れようとしているのかと疑いましたよ。
なるほど、説得力としてはまったく疑う余地のない交渉法。
ならば、それに適う証左さえリベール側が見せたなら、帝国側とてごねようがなくなってしまう。
一歩間違えれば交渉決裂、帝国の侵攻再び、という最悪の事態にさえなりかねない危険なやり方ではあっただろう。綱渡りだ。
だけど、これを仕組んだ人物は自信があったんでしょうな。この一件に関わったすべての人がなすべきことを全力で成し遂げるだろうという信頼を抱いていた。でなければ、これほどきわどい指し手を打てるはずがない。
教授のような策謀によって成される棋譜ではなく、人を信じることによって打つことのできる棋譜。
その指し手の名はカシウス・ブライト。

彼を乗せた白い機影「アルセイユ」
導力停止現象の中でも飛翔できる飛行艇。これこそが、浮遊都市を止めるための切り札となる存在であり、リベールが自力で事態を収拾できるという証となるもの。
ラッセル博士、あの短期間で零力場停止装置の大型化に成功したのか。

まさしくこれは、カシウスとオリビエの間で仕組まれた出来レースだったらしい。
見事、帝国軍がリベール王国への進軍を見合わせる脚本を完成させ、実演させた二人の猿芝居。まったく、お見事としかいいようがない。

帝国側でも、現場、特に先鋒を任されたゼクス中将は帝国の影には関わっていないようだ。やっぱり、ゼクスはミュラーの親族にあたるみたい。親かと思ったら叔父さんなのね。そして、オリビエの先生でもあるらしい。
現在の帝国を牛耳っているのは、拾年前に頭角を現し、軍から政治家に転身し各地の自治領を併合しながら国力を強化し続ける冷徹にして辣腕たる<鉄血宰相>ギリアス=オズボーン。
蒸気戦車の配備を進めたのも彼の命令。すなわち、彼は結社身食らう蛇とつながっているということになる。
帝国国内の情勢がどうなってるか詳しいところはわからないものの、軍部の七割は彼の支持層であり、オリビエの父である現皇帝の信頼も高い人物であるらしい。そのギリアスに、オリビエは決然と戦いを挑むことを宣言する。
彼も、エステルたちとリベール王国をめぐるうちに、自身の進む道を決断した一人なのね。いや、マジ恰好イイんですけど。
オリビエなのに。
でも、軽く気負わず、オリビエらしく格好イイんですよね、素敵♪
これで、クローゼとフラグ立てるようなエピソードがまるでなかったのが残念なり。

なんだかんだと屁理屈捏ねて、オリヴァント皇子その人が帝国側の見届け役としてアルセイユに同乗し、浮遊都市への対処を見守る、という形にして再びエステルたちと合流することに。
論理に破たんがないだけに、余計に立ちが悪いぞ、それ(笑

一応帝国軍第三師団は撤退するものの、後方にはさらに十個師団が集結中。リベールに残された時間はおそらく3日程度。その間に、浮遊都市をなんとかしなければならない。
カシウスは、全軍の指揮をとるために司令部に戻ることに。ついてこれない父親に一抹の寂しさ、不安を垣間見せつつ、成長したエステルは力強く事態の解決を請け負ってみせる。
これが終わったら、休暇もとれるだろうから家族一緒に過ごそう。特別でも何でもない、穏やかな温かな日々を約束に、別れる父娘。
娘や息子を見送るカシウスに不安がないはずがない。愛する女性を失った彼が、再び愛するものたちを自分の手で守ることのできない危険なところに送り出そうというのだ。恐怖を抱かぬはずがない。
それでも、カシウスはエステルたちを見送る。カシウスが直接介入すれば、教授が手段を選ばず碁盤をひっくり返し、エステルたちにより巨大でのがれがたい危険が及ぶ、その可能性の高さ。それもあるだろう。
でも、それよりも。
信じているから。
娘を、息子を。彼女の仲間たちを。
人を信じることで、その手を人知の及ばぬ高みまで差し伸ばしてきたカシウス・ブライト。ならば、今こそ、指し手が繰り出されたに違いない。
カシウス・ブライト、最高にして最強の、無敵の一手が。


……アルセイユが征く。