剣帝レオンハルト、推参。

エステルたちの前に立ちふさがる最後の壁。中枢塔屋上でエステルたちを待ち受けているのは、【剣帝】レオンハルト。
その強さはまさに最強。正面から対決するなら、S級遊撃士や蛇の使徒ですら自らを凌駕しない、と豪語する。
しかも、プレイヤーはパッチ入れてるので、事実その強さは強化済み。
レベル90越えですら苦戦するという相手。
パーティー編成はエステル・ヨシュアの固定メンバーに、私は術式戦闘よりもたたき合いを好むので、アーツ使いではなくアガットで。支援要員には、ケビン神父を配置。

姉が死んで以来、自分の弱さから逃げ続けたヨシュアにとって、幼いころからの憧れであり目標の人であり、壊れた自分を姉に代わって見守り続けてきくれた人であるレーヴェこそ、正面から立ち向かわなければならない壁だった。
自分の成長を見せるために。もう、自分は貴方に守られなくても大丈夫だと告げるために。
その想いに応えるように、巣立つ雛鳥に選別を与えるように、本気の剣を抜くレーヴェ。
覚悟は見せた。だが、覚悟を貫くだけの力があることを認めさせなければ、覚悟など口先だけのものでしかなくなってしまう。

レーヴェにも覚悟がある。お互いに相容れぬ覚悟。エステル、ヨシュア。二人の覚悟が自分の抱く修羅を上回るというのなら、力でそれを証明して見せるがいい。
ここで、応じるヨシュアが「うん!」と返事したのが、戦闘前にはかなり印象的でした。
彼の大人びた所作からして、その返事はひどく子供っぽかったので。
この微妙な反応から、ヨシュアがレーヴェに対して抱く感情を、このプレイ記事でいろいろ突っ込んで書いてみよう、と戦闘に突入しながら考えていたのですが……まさか、ああなるとは(笑

戦闘は、確かに最強を謳うだけあってかなり苦戦。ケビンを入れてなかったら、速攻で全滅していたかもしれません。
一応、念のために最初からケビンのSクラフトでガードを固めたら、レーヴェは一撃目からSクラフトを発動。その後も分け身を挟みながら、尋常でない頻度でSクラフトを連発。
ケビン君に闘魂ベルトを装備させてなかったら、まず間違いなく全滅してましたWW

一旦、レーヴェを撃破。だが、それでもレーヴェは平然と己が修羅を止めるほどではないと言い放つ。あれで、小手調べだったというのか。
戦慄しながら、武器を構えるエステルたち。その時、ヨシュアが前に出る。
「だったら、ここから先は僕一人で挑ませてもらうよ」

まだ十代ながら激動の人生を歩んできたヨシュア。今はエステルとともにあるその魂。遊撃士としての心得。そして【漆黒の牙】としての技。
今のヨシュアを構成する、その集大成をレーヴェに示す!!

この空の軌跡というゲームはムービーに寄らず、ドット絵(だよね?)を動かすことで下手なCGムービーでは及びもつかない迫力とスピード感のある戦闘を演出することに成功している。
このレーヴェvsヨシュア戦は、まさしくその結実と言えるでしょう。
目にもとまらぬ攻防のさなか、ヨシュアがレーヴェに問いかける。
なぜ、貴方のような人が教授の計画に協力しているのか。
以前、レーヴェはその答えの一端を口にしている。カリンの復讐ではなく、「この世に問いかけるため」だと。
その本当の意味がレーヴェの口から語られる。

時代の流れ、国家の論理、価値観と倫理観の変化。とかく人は大きな動きに翻弄されがちになる。そして時に、そのはざまに落ちて身動きできぬまま消えていく。
あのハーメル村のように。

そうか。レーヴェは人の弱さ、無力が許せなかったんだな。大きな流れ、大きな動きの前では、個々はなすすべがない。抗うことも出来ず、流されていく。やがて、臭いものに蓋をするように真実は隠蔽され、なかったことにされていく。
それは、アリシア女王やモルガン将軍のような高い立場にいる人間ですら変わりない。ハーメル村の悲劇に、彼らは国の立場を慮り、口を噤むほかなかった。
かつて、平和だった頃。レーヴェは遊撃士を目指していたという。無辜の人々を助け、平和を守るための遊撃士を。
だけど、ハーメル村を滅ぼされ、カリンを喪い、その事実すら消されてしまった理不尽を前に、彼は自分が目指していた道を信じられなくなったんだろう。
遊撃士となろうとしていたかつての自分が守ろうとしていたものは、本当に守る価値があるものなのだろうか、と。
だが、カリンが示したように、人には大きなものに毅然と立ち向かう力があるかもしれない。
はたして、カリンが特別な人間だったのか。
もし、レーヴェが心の底からそう思っていたのなら、こんな人の可能性を試すような真似はしようとしなかったでしょう。あれだけの絶望を味わいながら、結社に加わった後も人間や社会の闇をより間近で目の当たりにしながら、彼は結局自分が進もうとしていた道に、人の可能性に絶望し切ることができなかった。
信じていなかったら、試そうなんてこと思うはずがないんだから。

図らずも、レーヴェの人間への疑念と期待は、レーヴェがかつて目指した遊撃士となったヨシュアが、身をもってその正体を体験し、答えを得ることなった。
エステルと出会い、仲間たちと出会い、遊撃士としての仕事を通じて、リベールの都市をめぐり、さまざまな、そうレーヴェの言う無力な人々たちが生きる日々と出会ってきた。
このゲームをプレイしてきたなら、あの魅力的なNPCたちが活き活きと生き、どんな大きな災禍や困難に出くわし打ちひしがれようと、そのまま折れず屈することなく立ち上がり、前を向いて毎日の生活を取り戻そうとしていたあの人たちを見てきたなら、胸を張ってレーヴェの問いかけに答えられるに違いない。
まさに、このゲームをプレイしてきた集大成というべき言葉。
ヨシュアの叫び。

人は――人の間にある限り無力なだけの存在じゃない!

一拍、息を飲み、押し寄せてくる感慨に胸の奥から込み上げてくる何かが。
熱くなった。感動した。
このゲームをプレイして、街の人々と欠かさずお喋りしてきて、本当によかったと思った瞬間だった。

ヨシュアの放ったその言葉に、一瞬心を奪われるレーヴェ。
その隙を見逃さず、一気呵成の猛攻で、レーヴェを傷つけることなく剣だけを弾き飛ばすヨシュア。
茫然とはじかれた剣の放物線を見送り、心の底からの称賛を口端に上らせるレーヴェ。
答えは示された。

かつてすべてを奪われ、心を砕かれ、レーヴェにとっての人の無力の象徴のようだったヨシュアが示した可能性。
人の持つ、確かな可能性が示された以上、レーヴェが教授に協力する理由はなくなった。
憑きものが落ちたように、計画からの離脱を宣言するレーヴェ。

思わず感極まってレーヴェに抱きつくヨシュア……って、ええええ!?
カシウスにだって、こんな年相応の子供っぽい顔は見せてなかったのに。
とてもヨシュアとは思えないはしゃいだ様子を見せられ、エステルたち茫然。
ヨシュアって、こんなブラコンだったのかー。確かに、子供のころとはいえ、姉ちゃんにくっついてるだけじゃ、そんなにレーヴェと一緒に行動しようとはしないよなあ。
これが、エステルでさえ引き出せなかった、ヨシュアのもう一つの素顔だったってわけか。レーヴェも満更じゃなさそうだし。ああもう(苦笑
やっぱり、あの冒頭の「うん」って返事は間違いとかではなかったのね。まさか、こんなにあからさまに示されるとは思ってなかったので、仰天したけど。

レーヴェは中枢塔の仕組みについて詳しく教えてくれる。それだけでなく、ヨシュアはレーヴェが協力してくれることを疑っていないようだけど……なんか、レーヴェも苦笑しながら否定しないし。
あれ? え? レーヴェもボクっ娘みたいにプレイヤーキャラになるのか!?

そう期待した瞬間、どこからともなく聞こえてきた声とともに現れた教授の放った不意打ちの一撃がレーヴェを打ちすえる。
ルール違反って、なんて勝手な言い草。やはり、この男は人を勝手に駒扱いして自分の定めた盤上で事を動かそうとするやつなのか。その盤上から外れようとすれば、容赦なく自ら手を下して状況を整理しようとする。
カシウスが危惧したのも、こういうことだったのか。
福音計画も、ただ輝く環を手に入れるためのものではない? エステルたちがこの場に現れることさえ計画に組み込まれていたというのなら、この計画はいったい何を目的としているのだろう。

この期に及んで傀儡人形に戻されるヨシュア。最後までヒロインなんだから、この子は!!
足止めに現れた最新鋭人形兵器。あのアルセイフを撃墜したトロイメライ・ドラギオン二体は、後詰で現れた仲間たちにユリア、ミュラーさんたちが抑えてくれた。
深手を負いながらも意識を保っていたレーヴェが教えてくれた通路を遣い、ヨシュアを連れて姿を消した教授を追い、エステルたちは浮遊都市の最下層へ。

いよいよ、最終決戦である。