荒野に獣慟哭す 7 (7) (マガジンZコミックス)

【荒野に獣慟哭す 7】 伊藤勢/原作:夢枕獏 マガジンZコミックス


発狂寸前!!
もうこの作品はなんなんだ!? 伊藤勢ファンの私に狂喜のしすぎで死ねと言ってるのか? 言ってるのか?
舞台は南米へ! いや、メキシコだから中米か。
いやもう、相変わらずまったくテンションの落ちやしねーカッ飛んだアクション、大活劇の連続連続また連続にアドレナリンが分泌量の限界突破を起こしそうで、つまるところ鼻血が止まらん!
全身が総毛立つような緊迫の場面があると思ったら、一転はらわたがひっくり返るかと思うくらいバカらしいギャグシーンが、夫婦げんかで飛び交うモノみたいにごった煮で投げつけられてくる。

トランスフォオォム! には全力で吹いたわ!

恐ろしく殺伐とした戦闘や環境にあるはずなのに、伊藤勢作品らしい敵も味方もみんな揃ってお茶目さんばっかりなので、必要以上に読んでるこちらも殺伐とした気持ちにならないんですよね。それでいてアクションは度派手で要所要所でキャラも血臭漂う猛獣のような鋭利さ、暴力的殺意をぶちまけ、読者の血をも沸き立たせる。

しかし、摩虎羅の姐さんはもう完璧に御門の相棒みたいな立ち位置になっちゃったなあ。原作の方では頭の方で早々に退場してしまったというのが信じられんくらいに。
御門が作中で言ってるけど、私も摩虎羅は美人だと思う。いや、ほんとに。あんな猿の獣人なのに、デザイン的にも決して美しいという形容詞が似合うものじゃないはずなのに、伊藤勢が書いてるとやたらと美人に見えるんだよなあ。性格も明るいし快活だし世話好きで気遣い上手だしお茶目だしw、今となっては御門のパートナーはこの人しか考えられん、というくらいに好きなキャラだけに、途中で死んだらヘコむだろうなあ。
しばらく立ち直れないくらいヘコむかもしらんですわ。

そして、敵方にも法山とまったく別タイプの独覚兵「頞你羅」襲来。
「こいつ、一瞬も動揺しない! 迷わない! 痛がらない! 激昂しない!」
とにかく口数が多い伊藤勢キャラにあって、完璧に一言も口をきかず、無言のまま暴威をまとい襲いくる頞你羅。
こいつは怖ぇぇ。強さで言ったら法山の方が図抜けて上なんだろうけど、あのおっさん、ふざけたおっさんだったから対するに絶望感はあったんだけど怖さそのものはそんなになかった。
でも、こっちの頞你羅はひたすら怖ぇぇ。
ってか、モチーフこれターミネーターですよね? バイク乗って登場するし。いや、このバイクがまたモノすげえんですけど。凄まじいまでのロングフォーク。ハーレーダビッドソン? キャプテンアメリカ号? バイクには詳しくないのでよくわかんないのですが、とにかく見た目インパクトがモノすげえ。さらに言うと、バイクアクションがとんでもねえ。
登場シーンでアクセルドコドコ吹かしながら眼下を睥睨する、というパターンはよく見られますけど、なんでこいつ平然と家の屋根の上でエンジン吹かしてるんだ!? 最初、あまりの格好よさと違和感に、逆にそういうものかとスルーしてしまうところでしたよ!

漫画の限界に挑むかのようなスピード感、疾走感、時間そのものが凝縮、圧縮、滅縮されたかのようなド派手な大活劇に酩酊しつつ、さっさと続きを! 続きを!
……伊藤勢作品で普通に続きを! と連呼できるって幸せだなあ(しみじみ