前話では理解していなかったのだが、オカママスターとあのスオウに一目惚れしたロリコン少年は親子だったのか。いったい何のために登場したのか分からなかった少年・ノリオだが、スオウ&ジュライの面倒を何くれと見てくれることになるオカママスターの息子であり、さらに母親が契約者であるという事実が明らかになることで、俄然、スオウとの関わりに重い符合が見えてくる。
思えば、これはホームを追われ、弟との再会だけを拠り所に当て所なく流離う少女の旅路の話でもあったのだ。
契約者となったスオウに、その事実を知りながらもなお好意を向けてくれる親子との行きずりの出会いと……そして別れが彼女に何をもたらすのか。
図らずも、スオウが請け負ったはじめての契約者としての仕事――イザナミと呼称される機密物体の破壊に対して、ノリオの母が三号機関のエージェントとしてヘイたちの追跡と、イザナミの護衛として関わってくることになる。
かつて父親と赴いた狩りで、命ある標的に対して引き金を引けなかったスオウ。契約者となってもまた、狙撃訓練で指し示された鶴を撃てずにいた彼女が、ついに命を奪う引き金を引き涙を流した。
殺すことを知ってしまった彼女の前に立ち塞がるであろうノリオの母を前にして、おそらくスナックでノリオの家族の写真を見ているスオウがどういう決断を下すのか。ここで、この旅におけるスオウの辿るであろう道の大きな岐路が待ち受けているに違いない。
契約者となりながら、スオウはどこか他の契約者と違っている。黒も困惑するように、彼女は好奇心や情緒を失わず、本来契約者が自然と備える合理性というものを使い方を完全に理解していない電化製品のように持て余している。クジラを見て写真を撮りたいと思う感性を持ち、ゴキブリの出現に対戦車ライフルをぶっ放す契約者。そんなありえない存在を、マオと黒はまだ何が合理的かを知る前の子供の段階で契約者となったからだと考えているようだが、同じ年のターニャ、今のスオウよりも幼いときに契約者となったシオンの事を考えれば、何故スオウだけが、という違和感が残るのだ。
そんな不思議な契約者であるスオウに対して、黒も段々とただの道具としての契約者としてではない情を抱きだしているようだ。元々、甘すぎる程の男である。しばらく連れ添えば情が湧くのは当然のことだったのだろうが、それ以上にスオウの契約者らしからぬ態度にこそ、何らかの感化を受けているようにも見える。少なくとも、酒ばかり飲んだくれていた彼に、このシリーズ始まって以来はじめて食べ物を口にさせたのは、スオウの人間性によるものではなかろうか。
契約者の人間性というものについては、ノリオの母親にも垣間見えたのは気のせいか。母親を目撃して追いかけてくるノリオを処分するか、という葉月の提案に即座にその必要性を否定したのは、果たしてノリオの危険性のなさを知るが故の合理的な判断なのか、それとも母親として息子を庇ったのか。
直後、おそらく契約の代価のためにノリオの父親のスナックに現れたノリオの母。親子の再会なったこの家族がどんな運命を辿るのか。良い未来がまるで想像できないのが、気が重い。

一方で未咲はマダム・オレイユから三鷹文書とイザナミという一連の事件に関わる重要なキーワードを教えてもらう。すぐあとに、彼女はイザナギの移送という任務にかかわり、イザナミの正体を目撃することになるのだが、果たしてそれが何なのか。
あの機械、どうも中に人間を封印するためのものに見えたのだが。中身を確認するための窓も、ちょうど顔の部分を確認するためのような感じであったし。
ちなみにイザナミと言えばご存知のとおり、日本神話における神産みの神であり、黄泉の国の女王である。死者の母であり、産み出す神である存在を示すキーワード。はたして、契約者という存在が忽然と生まれ続けるこの偽りの空に覆われた世界において、イザナミというワードはあまりにも意味深である。そして、未だその消息がつかめない銀の存在。判断を下すには早計であるが、想像は幾らでも出来るだけのファクターはちりばめられはじめている。
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