……久々に原作を読み返したくなった。そうなんだよなあ、思い返してみたならば、私はこの殺人考察(後)の話が一番好きだったのです。
特にあのシーン。幹也の血のついたナイフを抱きしめながら、儚げにどこか幸せそうに、式が独白するシーン。
あそこまで読むに至って、遅まきながらこの【空の境界】という物語が純粋なラブストーリーだったと言うことに気がつかされたのでした。
遅すぎと言うなかれ。アニメだと式さんてば最初っから最後まで乙女ロードを突っ走っているのですけれど、小説だとその辺の迷彩がうまいこと効いてるんですよね。逆に言うと、原作の表現を逆手にとって、微妙な仕草や視線の動き、表情によって式の女性的な感情を豊かに表現することに成功している制作スタッフの腕前がスペシャルに際立っているともいえるのですが。
今回だって、ただ二人で無言で歩いているだけのシーンの素晴らしいこと素晴らしいこと。無言にして雄弁。言葉のなんと無粋なことかと思わされる濃厚にして涼やかなシーン。まいったまいった。
そんな大人な二人の雰囲気も素敵なのですが、同時に今回は過去回想もふんだんに挟まれる事もあって、学生時代の二人も頻繁に見れるのですが、まあ若いこと若いこと。幹也ってこうしてみるとちゃんと大人の男になってるのな。式も式で、きちんと大人の女になってるんだ。少女時代の可憐さがまた半端ないんですけどね。

エンタメとしてはあの荒谷との対決回こそが最高潮だったのでしょうが、ドラマとしてはやはりこの殺人考察だよなあ。って、何気に今回、丸々二時間近くあったのか。この話、重要な部分を端折らずにテーマを見失わずに全部キチンとやろうとしたらこれくらいになるのは確かなんですが、実際にそれをやってしまったのがまた凄いんだよなあ。
それはそもそもこの【空の境界】という作品そのものに言えることなんだけど、特にこの第七章は極まってる。
月姫もFateも残念なことになった型月だけど、この空の境界の完成度をかんがみるならば、これだけでおつりが来てしまうよなあ。ほんと、よくぞまあ、これほどの代物が産み出されたもんですよ。やろうと思えば、ここまで徹底してやれてしまうものなんだなあ。
作品の内容は勿論のこと、これがこうして誕生したという事実そのものになんだか感動してしまう。
素晴らしかった。ひたすらに素晴らしかった。
このDVDは宝物として大事に大事に祀っておきます。

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