ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 1【完全生産限定版】 [Blu-ray]
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本部の命令でノーマンズランド近辺を偵察中、雪原に倒れ気絶している正統ローマ軍の兵士を発見したクレハとカナタ。
ローマの女兵士を連れて帰り、その件を報告するのを遅らせた事で問題が生じるわけだけれど……。

ローマ兵って……見た目これ、インド系?
しゃべっているのはドイツ語。ドイツ語専攻してたけど、もう十年近く前だから覚えてないし、そもそも聞き取りなんかできないしー。
何でローマ? と最初は疑問に思ったのだけれど、正統ローマというのはつまり古代ローマ帝国の正統な後継国、という意味なのか。第四帝国だの第五帝国としなかったのは、それだとドイツ帝国の後継ということになってしまうからか。古代ローマ帝国の性質を考えるなら、地域的な制約、国民の人種や国籍というのは厳密には問われないし、歴史的な背景を権威として持ちたいのならば、これほど妥当なものはないだろう。
特に、元々その土地に住んでいた人間じゃない者たちが集まって作った国ならば、なおさらに。
このアニメの舞台となっている土地がどこなのかという疑問に対して、大陸説に一瞬揺れたが、これでもう一度日本列島なんじゃないのか、という見方に立ち戻ることが出来た。

ローマ兵の少女に対する四者四様の対応の違いが面白い。一番真っ当なのはクレハだ。クレハは捕虜の扱いの過酷さを知っており、良心の呵責を感じているものの自分が軍人であるという自覚があり、その責務に則り正論を隊長にぶつけている。
一番あーぱーなのは、カナタである。身内に敵国との戦争によって亡くした人もおらず、元々田舎者のために敵国人に対する認識も純朴そのものであり、直接目にした敵兵士が自分たちと変わらない人間であることを目にして、それをそのまま受け入れてしまっている。そもそも、自分が軍人であるという自覚がまったくないため、自分が一体何を主張し何をしでかそうとしているかの自覚がまったくない。
それらを全部理解し、踏まえた上でなお、自身の良心に従おうとしているのが隊長のフィリシア。彼女の行為は軍人として失格以外の何者でも無いのだが、同時に時期が講和会議中という点も無視出来ない。彼女の言う賭け、というのはリオが会議に参加したことにより早期に講和が成立して、ローマ兵の扱いが敵兵士ではなくなることを期待したものだったのだろう。
同時に、これは想像に過ぎないが、講和会議が行われている最中という時期に、自国内に敵の斥候が潜り込んでいたという情報は、講和会議の行方を悪い方に左右しかねない。国内に戦争継続派が存在するなら、それに利する行為になる、と考えたのかも知れない。ただ、彼女が本当に敵の斥候だった場合、その情報を上に上げずに留め置いた行為は完全に反逆行為と言われても仕方がない。状況如何によっては、敵の奇襲侵攻を防げた可能性を、たった数人の良心によって潰され、無数の自国民の命が失われる、というケースもあったからだ。
幸か不幸か、敵軍の国境展開は事実であったと同時に、既に本部中枢の知るところであり、フィリシアの独断が致命的なものにならなかったわけだが。

敵軍のノーマンズランド展開が本部中枢の知るところだったのは、以前カナタとノエルとクレハの三人でノーマンズランド遠足で点検していた無人施設が稼働した、ってことだろうか。それらしい描写もあったし。

毎回なんども驚いてるけど、ノエルの話はかなり驚いた。彼女の天才性というのは機械工学だけじゃなく、生理学生化学にまで及んでいたのか。以前、孤児の女の子ミシオの両親が死んだ原因となった見えない死神。あれは、やはり生物兵器の類だったようだ。しかも、開発者はノエルその人。彼女はその惨状を自分の目で見ており、非常なトラウマとして心に残っているようだ。
捕虜の扱いが拷問前提だったり、平気で生物兵器化学兵器?の類を使用、それも軍隊や軍事施設ではなく街そのものに使用しているのを見る限り、戦争にまつわる倫理観と言うのはかなり破綻してしまっているみたいだ、この世界。倫理観が破綻していると言うよりも、交戦規定や戦争における最低限のルールすら守られていない、というべきか。

ローマとヘルベチアでは鳥の人の解釈からしてやはり食い違っているらしい。とはいえ、悪魔や天使の言い方は違っても、それが世界を滅ぼしたという認識は合致しているみたいだけれど。例のセイズの炎の乙女の解釈もなにか決定的に違うみたいだけれど、それに関してはドイツ語でも話ている場面は移していないんだよなあ。それがあとのキーワードになってくるのか。
それと宗教、ローマは一神教でヘルベチアは八百万の多神教なわけね。


とりあえず、物語の落とし所も見えてきた。そこへどう落とすのかが難しそうだけれど、ちゃんとそこに至る道筋はつけてあるようにも見えるので、まずはじっくりと構えて待ちましょう、最終回。