ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 1【完全生産限定版】 [Blu-ray]
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おおーー、神話の解釈、そう来たか。なるほどなあ、ヘルベチアに伝わる神話の通りなら、話の筋立ても鳥の人復活という展開が用意されていて然るべき。或いはそこから全滅エンド、もしくはクレハ一人が生き残って云々、という展開がありそうなものだったけれど、ローマ側の神話が真となるなら、既に鳥の人による殲滅戦は回避されているということになる。

このローマ側の神話は興味深いなあ。人間という存在の業と善性、その両方が色濃く刻まれている。人間は自分たちを滅ぼそうとする存在すら救おうという優しさを持っているのに、人間は同時に自らの善性を信じられず、同族ごと滅ぼさずにはいられない業を備えている矛盾した生命体である、ということを。
事実、鳥の人による攻撃が終了したにも関わらず、文明が崩壊したその後も人は人同士殺しあう事を止めようとはしない。
その自壊の連鎖を、食い止めることになるのが、かつて鳥の人の攻撃を収めたのと同じ、砦の乙女たちとなるのが、この物語だったわけだ。罪を悔い、罪を許し、疑いを振り払い、人を信じ、勇気を振り絞ることで、人が取りこぼしつつあるものをもう一度掬い上げる、これはそんなお話だったということか。
なるほど、上手く出来た話じゃないか。ローマ側の神話というピースが入れ替えられただけで、見事にバタバタと全部繋がって基板が組みあがった。

しかし、フェリシア隊長は無茶やったなあ。いや、早々非難は出来ないんですよ。ただの理想主義や浮ついた楽観論じゃないんですよね、彼女の行動。あまりに覚悟が決まりすぎてる。ノエルが見つかり、ローマ人の少女が捕まったと聞いた瞬間、間髪入れず銃を抜き、大佐を人質にとるという行動力。軍人として自分が何をやらかしているのかちゃんと理解した上でやってるんですよね。その点では、その辺のなんちゃって軍隊ものとはちと一線を画しているんですよね。なんちゃって、だと軍隊で命令違反をすることの意味を非常に軽く捉えて、安易に命令無視して独断行動したりとか、勝手なことを仕出かすシーンが多くて辟易するんですが、フィリシアさんのあれは完璧、覚悟決めちゃってたもんなあ。
それでも、まだ講和会議がどう転ぶかどうか分からない段階で、あの行動は無謀が過ぎたわけですけど。あの段階じゃあ、どう考えても反逆行為だもんなあ。
ただ、大佐の言動から彼が率いる部隊の行動が、上層部もしくは政府からの命令の降りていない、勝手な私物命令によるもの、という可能性が高かったのも確か。リオがもし講和会議を成功させていたら、自分たちの勝ち。部下であるカナタたちは罪に問われないか、軽い刑罰で済むかも、という見通しがあったんだろう。ただ、フィリシア自身はちょっとダメだっただろうが。
幸いにして、その後停戦命令が届いて、大義名分を手に入れる事が出来たわけだが。流石に、あの停戦命令が聞こえなかったら、タケミカヅチで出撃するまではやらなかったはず。

可哀想だったのが、この場合はクレハだ。一番年下の子に、正論を言わせる役をやらせてやるなよぉ。ただ、本来その役を担うべきリオが不在で、他はカナタにノエルだけ、という状況じゃあクレハがやらなきゃ仕方なかったのは間違いないわけで。率先してその役を請け負ったクレハは、偉かった。

そして、最初にして最後のタケミカヅチの戦闘シーン。自重軽減システムって、ある種の重力制御も可能にしていたってことか!? いや、確かにあの機体で軽々とビルによじ登るというのは物理的におかしかったんだけれど、そうか、そういうシステムなのか。おいおい、この時代の他の多脚戦車と、まるで次元が違う兵器だろ、それ。
この後、大佐の戦車部隊とガチで殴り合い、全部無力化してみせるんだけれど、これ性能差が段違いだから成立した戦いだよなあ。今回、中の乗員を殺さないどころか極力ケガも負わさない方向で戦い、全滅させなきゃならない、というシバリがあったからああやって、真正面からの打ち合いに応じたけれど、あのタケミカヅチの化け物じみた機動の自由性があったら、火器管制システムも別次元なはずだし、恐らく一方的に大佐の部隊、全滅させられたはず。
いや、戦いようによっては同じ縛りがあっても、やっぱり無傷で無力化できたはず。その意味では、砦の乙女たちは戦車戦術においては達人とは言えないわなあ、これは。
それでも、あの装甲は凄い。結局、一発も敵の砲弾を通さなかったわけだし。

クライマックスは、タイトル【ソ・ラ・ノ・オ・ト】に相応しい演出で。
いやあ、素直に感動しました。


ラスト、ローマ皇帝は寛大すぎるだろう、それ(笑 婚約者にそんなに好きにさせていいのか。
政略結婚だけど、案外リオとは相性はいいのかも。まあ、皇帝さんの年齢も何もわからないんですが。リオのあの反応見てると、まんざらでもないみたいだな。

うん、きっちりと終わってしまった。途中までは二期、あるのかなあと思いながら見てたんだけれど、神話の真相などを見る限り、これ以上話が変転することもなさそうだし、これで終りみたい。意外なほど、すっきり終わっちゃったなあ。まあ、文明崩壊の真相など明かされないままの世界観の謎などは残ってるけれど、物語においては重要じゃなくなっちゃったからなあ。
まあ、残ったままでもいいんじゃないでしょうか。
個人的には、最後までテンション落ちず、面白かったですよ、っと。