魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」まとめサイト


いやもう、なにこれ? スゴすぎ。めちゃくちゃ面白い。面白いと言う以上に、こんな小説がネット上にポンと(いや、ポンとじゃないんだろうけど)、実在していることが信じられない。
自分がこういうのを読みたいなあと漠然と思い描きながら、それが現実に実現するなど露ほども思っていなかったものが、自分の浅薄な想像力を遥かに上回る圧倒的な、圧巻なまでのスケールと緻密さと有り余る情感を以て、こんなところに実在していたと言う驚懼。
冗談抜きでひっくり返った。あまりの凄さに笑うしか無い、という意味で、夜中中私、ゲタゲタ笑いながらこれ読んでた。だってもう、頭の上貫いていくような内容が延々と終わりなく押し寄せてくるんですよ? 脳内麻薬も分泌されると言うものである。
これは控えめに言っても、筆舌に尽くし難いほど、とんでもない傑作だ。場合によっちゃあ、人生観変わってもおかしくないくらい。
昨晩は明け方まで。今日も仕事から帰宅してから延々といままで読みふけってました。

Babylon C@fe.さんで絶賛されてたのでちょいと何の気なしに覗いてみたのが運の尽きでした。

もう、物凄いものを読んでしまった。

最初はコレ、勇者と魔王、二人の物語なんですよね。この二人が世界の中心であり、彼らが起こした波こそが世界を揺り動かし、変革していくのですけれど、これが途中からまったく様相を変貌させていくのです。魔王と勇者が育み芽吹かせたものが一人でに動き出し、各々が震源地となって世界が変わっていくための要となっていくのです。本来、魔王と勇者というたった一つだけだった特異点が、次々と生まれて行く無数の意志によって特別な唯一ではなくなって、群像劇の様相を呈して行く。それこそ真っ暗な夜を照らす明かりがただ一つしかなかったのが、次々と、連鎖的に明かりが灯っていき、夜に光が広がっていくかのように。
生み出された光は、時にその強烈さゆえに相手に顔を背けさせる形になることもあるのですが、それでも光によってお互いに見えなかった顔を照らしあい、相互に理解が広がり繋がっていく。
人と人が、通じ合い、世界が広がっていくという凄まじいまでの感動が、そこにはあるのです。
世界が変わり前へと進むのは、誰か一人の意志や思惑、魔王の奸智や勇者の無敵の強さによるものではなく、世界中の人達がそう望み、その為に動こうとしたときなのだ。
多少シンプル化しているとはいえ、マクロ経済、金融、統計学に農地改革に教育、地政学、国際政治力学。さらには啓蒙自由主義。様々な力学の観点から世界に対してアプローチしながら、徹底した客観視のその根底にあるのは人の愛情。
そう、愛情がなければ理想なんて生まれない。理想が無いなら、世界は前へと進めない。
魔王「損得勘定は我らの共通の言葉であることを。 それはこの天と地の間で二番目に強い絆だ」
 (中略)
青年商人「そうそう。……二番目に強い、とおっしゃいましたね。一番はなんなのです?」
魔王「知れておる。愛情だ」
ええ、ええそうです。魔王様は女性です。このか弱く頭でっかちの学者肌でムチムチボディにコンプレックスを持っている健気で気宇壮大な理想家の魔王さまが愛しくてたまらない。
彼女に限らず、出てくる登場人物の悉くが、蒙を啓かれていくにつれて、とてつもなく魅力的なキャラクターになっていくのです。
世界が織りなされていく事こそが主体である物語なんですが、けっこうしっかりラブコメもしてるんですよね。自分、魔王と女騎士の恋敵にして掛け替えのない親友という関係、めちゃくちゃ好きでした。青年商人と姫さんの掛け合いも、その対面当初から過渡期、そして最終局面まで、どの段階もニヤニヤしながら読んでました。最終局面なんか、もう大変な事になりますたよ、私の顔面。

ちなみにこの小説、キャラクターは勇者だの魔王だのという肩書きで記され、固有名詞は一切出てきません。しかも、地の文はもう本当に殆ど無く戯曲風にセリフだけで展開されます。これほどの高密度にして緻密な内容のものが、セリフだけで構築されていると言う事実だけで、自分の常識がガラガラと崩れ落ちて行く気分です。
実際読み終えた今なお、なんでセリフだけでこれほどのものが出来てるんだ? と首を傾げるばかりです。

ああ、全部読み終えてもまだ、興奮が収まりません。あまりにもドラマチックすぎて、今日は仕事中もこの小説のことばっかり考えてたもんなあ。昨夜も1時にはもう寝ようもう寝ようと思いながらも、あとちょっとあとちょっとと結局三時半まで粘ってしまったし。実は布団に入ってからも三十分近くは興奮して眠れなかった。お陰で二時間しか睡眠時間取れませんでしたよ!(苦笑
最初に読み始めた時点からは、その後の展開はまあ絶対に読めないでしょう。信じられないことが次々と起こります。もう中盤越えてからは「うわっ!」「うわわ!?」「ぬええ!?」と奇声上げっぱなしです。思わぬ人が思わぬ行動に出、想像だにしない可能性を引っ張り出し、予想なんて頭の隅にも思い浮かばないことがとんでもない方向から育まれた因によって巻き起こるのです。
繰り返しますが、これ、本気で物凄い傑作です。もうこれが本年度の私のナンバー1でもいいんじゃね? と思うくらい。すごいなあ、ネットは。こんなのが埋まってるんだもんなあ。
ああ、もう読後感がお腹いっぱい過ぎて、幸せだー。幸せだー。