創設当初は、クラシックに出走出来ない外国産馬のタメの裏クラシックという趣だったこのレースも、クラシック戦線への外国産馬の門戸開放に加えて、松田国英調教師に寄るキングカメハメハのNHKマイルCと日本ダービーの連覇という、新しいルートの開拓によって、皐月賞・日本ダービー・菊花賞という三冠に匹敵するだけの格を手にした本レース。

今年もここを勝って、さらにダービーに挑もうと言う野心も露な馬たちが参戦してきている。
二強と謳われ、人気を二分しているのがNZTを圧巻の1:32.9で完勝したサンライズプリンスと、強豪が揃い踏みした毎日杯の激戦を制したダノンシャンティ。特にシャンティは、NHKマイルCと日本ダービーの連覇に並々ならぬこだわりを持つ松田師のお手馬であり、最初からここを目指して調整してきたという強みがある。馬としても、東京マイルは合っているだろう。

この二頭に追随するのが、リルダヴァル。骨折で成長期の大事な時期を棒にふったものの、なんとかクラシック戦線に戻ってきたリルダヴァル。皐月賞こそ6着で終わったものの、復帰後二走したことで復調気配。データ的にも皐月賞一桁着順、一着から0.5秒差、おそらく最終的にも三番人気あたりには食い込むと予想されることから、好成績を残せるデータは揃っている。才能は、ヴィクトワールにも引けを取らない。ここで真価を示して欲しい。

このNHKマイルCは三着以内に十番人気以降の人気薄の馬がポンと飛び込んでくる事にも定評のあるレースである。が、その人気薄の馬、なにげに前走や前前走で重賞で好走しているケースが多く、何で人気薄になっていたのかと思ってしまう成績の持ち主が多かったりする。まあ、ここに出てくるような馬は重賞で好走していないと賞金的に足らないという理由もあるんだが、それでもよくよく吟味してみると、美味しい馬が人気薄で転がっていると言う美味しいレースでもあるのだ。
その厳選が難しいと言われればそれまでなのだが。


というわけで、私の予想であるが、ここは期待も込めて本命はリルダヴァル。そういえば先週おんなじようなことを言って、フォゲッタブルで痛い目を見た記憶もないではないが、競馬なんてものは夢を失ったら終りなのである。夢を買って、希望を買って、それがお金になればうれしいなというゲームなのである。お金になればうれしいな、の部分は二着以降の選択で操作すればいい話。それが一番ハズレるパターンだ、というのも耳の痛い話。
サンライズプリンスはスパッと切ります。無謀だと言うなかれ。あの馬は強いよ、というのもわかっている。ただ、ダノンシャンティに比べると、まだコチラの方がポンと掲示板を外れそうな予感があるのだ。単なる予感なので、根拠はない。せいぜい、NZTをステップレースにするのはあまり成績が良くない、と言うことくらいだろうか。本当に強い馬なら関係ないよ、というレベルの話である。
二着にはダノンシャンティと、アーリントン、NZTと連続で三着に食い込んでいるレトを持ってくる。さっきNZTはだめじゃんと言ったそばからこれである、われながら信用がならない。
三着には、サウンドバリアー、キョウエイアシュラ、エイシンアポロン、シゲルモトナリ、ガルボから。

よし、頑張れリルダヴァル。


結果

に、日本レコード。レースレコードでもコースレコードでもなく、日本レコード出しやがった。
前半から飛ばしに飛ばしまくった超高速レース。結果は後ろに控える競馬になったダノンシャンティが、33.5という上がり時計(二番目のエイシンホワイティと0.7秒差という別次元)で前で粘るサンライズプリンス。それを抜きにかかるダイワバーバリアンとリルダヴァルをまとめてちぎって、なんと日本レコードで圧勝。
つええ。激烈につええ!!
こ、ここまで強いのかダノンシャンティ。松田先生がキングカメハメハの再現を狙うだけはあるということか。
いや、このレース展開だとあそこまで前で粘ったサンライズプリンスも滅茶苦茶強かったと言っていいはず。それを抜き去ったダイワバーバリアンも大したものだし、直線、前がふさがったところを無理やり外に7,8メートル横っ飛びに持ち出してそこから追い出したリルダヴァルもすごかった。すごかっただけに、それらをまとめてちぎったシャンティの凄まじさが際立つことに。
そりゃあ、レース展開は後ろに下がったシャンティに優位に働いたとはいえ、これは凄い、すごいわ。

いやあもう、ダービーこれすごいことになりましたよ。皐月賞組だけで再戦したって例年よりも遥かに高いレベルの馬が集まっているにも関わらず、青葉賞・京都新聞杯・プリンシパル、そしてこのNHKマイルCから恐ろしいまでの馬たちが乱入してくるわけですから。
これは日本競馬史上でも屈指の、今までに見たことの無いレベルの戦いが待っているとしか……。これでも長いこと競馬見てきましたけど、ここまでの陣容が揃ったのは覚えがない。
あのフジキセキ、ダンスインザダーク、フサイチコンコルド、バブルガムフェローなどといった強豪馬が揃った1996年クラシック世代がいままで見てきた中では一番凄かったと記憶する世代だけれど……あの世代は結局、揃ってクラシックを戦うことはなかったし、いや揃ったとしても果たしてここまでのものになったかどうか。
恐ろしいことに、本当に恐ろしいことに、ここや京都新聞杯で三着になってしまったリルダヴァルやレーヴドリアンといった馬たちはダービー出られないんですよ、おそらく。信じられない。今年のダービー、いったいなんなんだ!? 三歳戦時は最強と謳われたローズキングダムが、これじゃあ添え物扱いじゃないか。