【ガッチャマンクライズ・インサイト】 最終回
これ、扱うテーマとしては凄かったですよね。空気、同調圧力こそがこの国を事実上動かしている。考えることをせずに、周りの雰囲気に流されることをこそ良し、とする。たちが悪いのは、意外と自分自身では空気に流されていることに気づかないって事なんですよね。大半の人が、意識してやっているわけではなく、刷り込まれるように流れに乗ってしまう。それが正しい、それがマシ、その方がイイ、そう思ってしまう。周りがみんな似たような事を言っていると、なるほどそれが正しいのか、と思っちゃいますしね。そして、人は自分と似たような意見が集まる場所に耳を傾けてしまうので、なおさらに確信を得てしまう。
自分はそんなのとは違う、と思っている人ほど自分を疑った方がいい。これは、常に自分も自戒するところ。こんな風に書いていても、気がつけば疑わず考えず、正しいとみんなが言っている事が正しいといつの間にか思っている事があっておかしくない。
自分は、ハジメちゃんにはなれんですからね。
ともあれ、本作はものすごくわかりやすく、この国がどんな風に歴史を刻んできたのか、どう在ってきたのかを表現してみせてくれたんじゃないだろうか。
と、同時にこの「空気」というのを打破するのがとても難しい、ということも。最後にはじめちゃんが体張って国民みんなに自覚を促したことだって、ある意味一つの空気を作った、とも言えるし、果たして今後自分で考える、という事が根付いたかどうか、というとあれも一過性のものに見えますしね。
それに、自分で考える、という事についても、その考えるための材料、情報というのは周辺から得るもので、空気から影響を受けざるを得ないものですしね。
ガッチャマンは、ゲルちゃんを救うことは出来たし、本気で国民が何も考えなくなる世界へ雪崩れ落ちることは止めることが出来たかもしれないけれど、ゲルちゃんが来る前までの現状まで巻き戻すまでくらいが精一杯なんだろうなあ。これは。
それでも、この空気というものの存在と弊害を、わかりやすく、そして具体的に提示してみせたこの作品は、テーマを見事に表現しきった名作だと思います。うん、凄かった。