遠野誉の妖怪騒動記2 (講談社ラノベ文庫)

【遠野誉の妖怪騒動記 2】 幹/しきみ 講談社ラノベ文庫

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自称妹の妖怪三人娘と穏やかな日々を送っていた誉だが、小春たちは家出してここに留まっているため、追っ手がやってくる事も気がかりであった。家出の理由は親の決めた結婚に反発するモノ。ある時その破談に協力するという天狗の覚海が小春たちを訪ねてきた。彼らはどう見ても怪しいが、利害は一致している。悩む小春に誉は親との和解を進め、小春もそれを受け入れ覚海達の誘いを断った。だが彼らの真の目的は破談のその先にあり、小春を無理矢理さらって逃げようとする。戦闘能力の低い妹達が小春を取り戻す方法は、誉に隠された力を使う事!?誉の正体を知っても小春はまだ「お兄ちゃん」と呼んでくれるのだろうか…!?
結局、このシリーズも二巻で打ち切りかー。とりあえず話をまとめるために、かなり無難な筋立てになっているのが残念といえば残念。無難というよりも、テーマを掘り下げる余裕がなかった、というべきか。時代の変容から取り残され滅びの道を歩みながらもそれに気づかず形骸に固執し続ける純妖怪と、人の社会の中に溶け込んで融和を図る妖怪たち、両者の象徴が山ン本五郎左衛門と神野悪五郎であり、山ン本の係累である小春たちと、当代神野悪五郎であった誉との家族としての共同生活が、裏に様々な思惑があったとはいえ相反する妖怪という存在が有している時代に対する2つの大きな流れを一つに融和させる、妖怪という種そのものの大きな時代の転換点が、この小さな家族に集約されてたんですよねえ、この話。人側の退魔師の団体所属である幼なじみの音々も、人と妖怪の関係という象徴としてかなり意味ある配置でしたし。彼女たちが退魔師としては、特別でもなんでもない極々平均的なレベルの組織だった、というのも特別枠ではなく平凡だからこそ、妖怪に対する人間側のスタンスを象徴するような感じでしたし。
そういう大きなくくりとは別に、家族という関係の大事さや掛け替えのなさも、それぞれ両親を失っていたり、親と意思疎通を欠かしていてすれ違っていたりする中で、改めて確認するようなアットホームなエピソードを絡めつつ、その家族の絆やあったかさこそが、凝り固まった形骸を打破するきっかけや原動力になったりとか、音々姫がものすごいラブ寄せしたりとか……掘り下げ関連付けて話を練り上げて昇華していくための仕込みやらやりたいテーマみたいなものは、すごく伝わってきたんですよねえ。いろいろやりたかったんだろうなあ、というのがわかっただけに、それをとりあえずサラッと撫でる感じで全部盛り込んできたのはさすがと思いつつも、グリグリと奥の方にねじ込んで結べなかったのは、やっぱり未練が残るところなんだろうかなあ。
この作者さんの話は、いっぺんじっくりと長めのスパンで練り込んだものを読んでみたいんだけれど、往々にして2巻で打ち切られてしまうので、ほんと消化不良気味なのよねえ。もっと長いシリーズ読ませてください、ほんとに。せめて三巻。三巻あれば、最初の【神様のお仕事】くらいの深度までは仕上がると思うだけに。

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