双剣使いの封呪結界2 (一迅社文庫)

【双剣使いの封呪結界(ロストマギカ)】 瀬尾つかさ/美弥月いつか 一迅社文庫

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黒い霧から東京を解放すべく活動を続ける一輝、遙、理沙ら。そんな三人の耳に入ったのは、黒い霧と戦うための帰還者たちの最大組織「東解委」の主力遠征隊が何者かの襲撃を受けたこと、そして襲撃したのが死んだはずの遙の姉である久遠であるという情報だった。かつての想い人の名に動揺する一輝。時を同じくして、混乱する「東解委」が発生し、拓海淳という謎の男の手中に落ちる。新たな「東解委」のリーダーとなった拓海淳は、別行動を取る一輝たちの殲滅を計る。一輝たちはこの危機を乗り越えることができるのかそして、一輝たちの前に立ちふさがる久遠の正体は?!
二巻で実質打ち切りかー。となると、久遠を生き返らせるという一輝の妄執とそれに遥がどう付き合うか、そして命残り少ないかなたの運命とそれに寄り添うことをきめた理沙にどう決着をつけるか、というところに一気に焦点をアテないといけなかったわけで、色々と取っ払ってその辺に多少唐突だろうと久遠もぶっこんで話を持ってきたのは、最善だったんだろう。
もうちょい時間があれば、一輝のイカレ混じりの久遠への執着を煮込んで色々と出汁を取ることもできたんだろうけれど、こうなったら決断を促すしかなかったからなあ。勿論、あれだけ執着を抱えている一輝に一人でそれが出来るはずもないので、久遠ご本人にやらかしてもらうのが一番だったんだろうけれど、遥のあの一輝の落ち込みに付け込むことにまったく躊躇しないガンガンいこうぜ!な姿勢には感服しました。久遠の代わりに自分が居ますよー、とあからさまに攻めこむことに衒いも何もないんですもんね。そのあっけらかんとすらしている態度には嫌味がないので、余計に攻撃力高いんでしょうけれど。
今回の話でやっぱり印象的なのは、まだ小学生にも関わらず、過剰な能力付与で寿命を削りまくった挙句にもう何週間と命が持たない、というところまで消耗したかなたが、自分の命の使いドコロを冷静に選択し続けるところでしょう。その事実については隠すこともなく公にしてるので、一輝たちも全員知っているのですけれど、かなたを止めるでもなく、無闇に延命させようともせず、ぴーぴー騒いで感情的にならず、かなたが本分を尽くせるように支え続ける理沙を含めた、メインキャラたちの姿勢には感じ入るものがありました。
様々な苦悩や葛藤を乗り越えた末の、かなたの覚悟を受け入れた見送る者としての覚悟。泣きわめくこともなく、親友として笑ってかなたとイチャつき続けた理沙の強さは、瞠目すべきものでした。戦闘マシーンとしてではなく、誰かを大切に思うがうえにその人たちを守るために自分の命を使い果たせる人間に、かなたを戻した理沙。それは見るものによっては残酷なことだったのかもしれませんけれど、かなたの迷いの失せた満ち足りた決意を見せられると、かなたにとってそれがどれだけ掛け替えのないことだったか、納得出来るというものです。
よく、見送った。

だからこそ、かなたを見舞った運命については、素直に祝福出来るんですよね。良かった、と言える。この展開を見れただけでも、本望です。
さて、そろそろあの大迷惑な小人族を敵役にして、徹底的に撃滅する話でも描かれないかなあ、と思う今日このごろ。まあ、そうなるとむしろ主人公サイドがこてんぱんにやられてエンドになりかねないのですがw

1巻感想