板部岡江雪斎、吠える!!
前々回あたりからの江雪斎役の山西さんの迫真の演技に引きこまれていたけれど、北条滅亡を目前にしてそれでも足掻く今回の江雪斎は、ほんとに魂の篭った猛演で、すごかった。
最初出た時は氏政の腰巾着みたいな役回りであるかのような立ち回りだったのに、今回氏政に対しての苛烈なまでの一喝にはもう震えた震えた。
この大河で、好きな戦国武将に「板部岡江雪斎」を上げる人が日本全国で僅かなりとも誕生したんじゃないだろうか。だとすれば、非常にこの大河ドラマの意義深さには唸らされる。いやもう、信長の野望やっても板部岡江雪斎、蔑ろに出来んよ。丁重に扱うよ。
外交僧という立場なのに、鎧姿と言いあの覇気といい、一端の武将だよなあ。


北条攻めが決まり、秀吉は大坂に諸将を集めて大軍議。久々の上杉景勝様の登場だよ!!
他にも前田利家、黒田官兵衛、小早川隆景や蒲生氏郷、長宗我部元親など西日本の名立たる武将が参加してるはずなのだけれど、さすがにキャストは置けないか。

昌幸パパ、徳川の与力ではなく上杉の北方方面軍に割り振られて、有頂天。いや、喜びすぎだって。もうちょっと謙虚になろうよ。家康さまだって気分悪いよ、そんな態度取られたらw
源次郎、この配置を整えた治部殿にお礼言ってたけれど、それで良かったのかなあ、と後のことを思うと考えこんでしまう。しかし治部殿、てっきり源次郎にもっとそっけない返答するのかと思ったら、もし家康が裏切った時真田がくっついていってしまったら困るからな、と本当に真田家に配慮してるみたいじゃないですかっ、って本当に配慮してくれたんだろうけど、治部どの完全に真田を贔屓してくれてるじゃないですか。

そして、源次郎を放って越後に帰ってしまって以来の景勝さまとの再会。眼も合わせず逃げるように立ち去ろうとする景勝さまに追いすがって、キにしてません気にしてませんから、前と同じくお慕い申し上げておりますから、と一生懸命景勝さまを慰める源次郎。健気だぞ、源次郎!
恥ずかしそうに、でも嬉しそうにちょっと目を細めて源次郎を一瞥して、小さく頷く景勝さま。乙女か!!

秀次くん率いる本軍、特にイベントなくあっさり小田原城まで到着してるようだけれど、秀次軍が山中城を一日で粉砕して突破してるように、相応の活躍はしてるんですよねえ。

小田原では、源次郎、黄母衣衆の一員として使番の任を果たすべく各地を走り回ることに。ちゃんと、黄母衣背負ってるよ!! 一緒に見ていた母に、何アレ、あの変なの何!? と問われたので由来やら効果など説明すると、ははぁ、と関心しながら、こんなん付けてるの初めて見たよー、今まで見たことないよー、と言うのでさもありなん、と頷いてしまった。自分も、母衣つけてる武者見たのって【クレヨンしんちゃん】の映画くらいしか記憶ないもんなあ。

自分のところに伝令に来た源次郎を連れションに誘って、愚痴をこぼしたり秀吉に色々と叛意がないことを伝えてくれ、と訴えるんですけれど、わりと率直に内心をこぼしつつ秀吉に繋ぎを頼む、というのはそれだけ源次郎に対して信頼と信用を抱いてる、って風にも見えるんですよねえ。昌幸パパはそりゃ嫌いなんだろうけれど、息子の方は縁も色々あって、結構親しい感じなんだよなあ。

と、場面が変わって今度は家康が秀吉に連れションに誘われ、その場で領地替えを申し渡される。北条の領地を丸々与えられる、というのは凄いことなんだけれど、一方で父祖からの故郷である三河と今川から奪い取った駿河を取り上げられる、という家康にとっては複雑な事態に。
まあ実際の所、まだ東北が安定せず、大北条のあとを引き継いで要となる関東の地を安定して収められるのは徳川しかいない、と見込まれたからだ、という話に最近はなってきてるみたいですねえ。
ちょうど、この小田原征伐の陣中で、関東を与えられる候補と言われていた「名人」堀秀政が陣没してしまった影響もあるのでしょうけれど。この堀秀政も、死ぬのが早すぎた名将なんですよねえ。

一方、小田原城内ではどんどん追い詰められた雰囲気に。氏政も、はためには平静を保ち優雅に日々を過ごしながらも、憔悴を重ねて化粧を施して隠さなければならないほどの顔色に。
伊達さえ来れば、と繰り返し言い募る氏政だけれど、北条がそんな他家を頼りにして命綱にしてしまっている時点で、ダメだよぉ。しかも、よりにもよってこの日の本で信用出来ない戦国武将最上位にランクインしそうな伊達政宗に命運をたくそうだなんて。

上杉、真田の北方軍は、侵攻路の城塞郡にかなり兵数が割り振られていたせいもあって、進軍は停滞気味に。秀吉のために戦うなんてやる気でねえよー、とか言ってるけれど、別にやる気の問題でもなかったはず。ってか、昌幸パパ、やる気ならんとか言いながら、じゃあ次ウチが攻めるから、任せて任せて、と実はやる気満々なんじゃないか、という振りがw
でも、忍城攻略は信幸兄ちゃんに、やってみろ、と任せるんですよね。真田家としての決断や、内治に関しては結構任せてくれてましたけれど、さらに実際の戦場での指揮も任せるあたり、パパはちゃんと後継者の育成を着実に進めてるんですよねえ。ここらへん、絶対君主として君臨し続けた氏政と、その下で沈黙し続けた氏直親子の関係と比べてみると興味深い。

と、ここで出浦さんが、信幸を呼び出して、北条とここで結んで秀吉の陣を急襲すれば天下をひっくり返せるぞ、とまさかの裏切りの示唆を。
興味深いのが、これを昌幸パパに提案するのではなく、信幸の方に語ってみせ、さらに彼の目の前で佐助に北条に繋ぎを取らせようとしたところなんですよね。
勿論、信幸はこれを止めるのですけれど……出浦さん、明らかに信幸にわざわざ止めさせたんですよねえ。信幸兄ちゃんに。乱世にしか生きられない男も居るのだ、とうそぶく出浦さんですけれど、これって果たして自分のことなのか、それともパパのことなのか。色々と彼の中でここで決断がくだされたんじゃないだろうか。

さて、一連の小田原攻略戦の作戦計画を立てた石田治部殿。忍城などで行き詰まっている北方方面軍に対して、計画通りじゃない、なにやってんの! とお冠。
だ、駄目だこの人、実戦を机上でしか考えてない。あいつ、実戦経験なくてあかんねん、と大谷刑部にディスられる始末。いや、焦るわ繊細すぎて神経性の腹痛まで発症しちゃってる治部殿を心配してるんだろうけれど、わりと容赦無いのが刑部さまのやり方で。秀吉に対して、あいつちょっと実戦放り込んで鍛えてやりましょうぜ、と忍城攻略戦に向かわせちゃうんですよね。す、スパルタですね、刑部さま。
でも、治部殿を送り込まれた方の上杉主従と昌幸パパの表情がまた、えらいことに。特に、治部殿のキャンキャン喚きながらの叱責と、頭のなかで考えた「ぼくのさいきょうのけいかく」を聞いた時の直江さんの表情の冷めっぷりと来たら……。ほんと、この人ものすげえ顔するなあw
まあでも、戦下手っぷりだと、直江兼続も何気に相当だと思うんですけどねえ。
でもまあ、この調子でキャンキャン吠えられたんじゃあ、唐入りで苦境を重ねた前線で戦った連中が、治部殿に対してヘイト溜めまくった、というのもありありと想像つくなあ。
関が原も、この調子で机上の空論を重ねた挙句、戦う前に決着ついちゃってた、という有様になってしまうのが透けて見えてしまって、なんだか悲しくなってくる。
ほんと、治部殿は官僚やってるのが一番だったんだよ。

小田原征伐は佳境を迎え、場内は降伏か徹底抗戦かで激しく対立が生じ、包囲している豊臣軍の方も総攻めじゃー、と逸る秀吉に、家康や刑部殿が必死になだめ、氏政という男は死なせるには惜しい、彼ならば豊臣政権を支える大黒柱になれる、と助命嘆願するんですよね。北条氏政という男に対する、この高い評価。なんか、感慨深くすらあります。
そして、一縷の望みを託し、徹底抗戦に固執する氏政を説得するために、家康公が選んだ使者こそ、真田源次郎信繁!
先の沼田争議での縁もあって、板部岡江雪斎からも猛プッシュされ、本多正信からも太鼓判を押され、とまさかあの老獪なメンツが、あの裁定で信繁という若者を認めていたんだなあ、というのがわかると嬉しくなってしまうじゃないですか。特に、江雪斎。そうかー、あの激しい意見のぶつかり合いの中で信繁を評価してくれてたんですねえ。休憩の時に交わした会話が、今更に染み渡ります。
そして、ここで一番胸に響いたのが、家康公の信繁を送り出す時に「頼むぞ、源次郎!」という思いの篭った一言。家康公から、ここまで気持ちを込めて名前を呼ばれることがあるなんて……。
もうね、これ聞いた時は、源次郎、このまま徳川仕えなよー。秀吉なんかよりずっと気心の知れた主従になれるよ。本多佐渡と同じくらい、家康公と気持ち通じられるよ、と思ったものです。
歴史の皮肉よなあ。
まあ、実際の使者役は黒田官兵衛なんですよね、これ。さすがに、ここで主人公に重要な役割をねじ込んでくるのは如何なものか、と思わないでもないのですけれど。

と、思ったら、まさかの小田原城内で、お松姉さんの旦那さんの。本能寺の変以来、お松姉さんを弔うと言って別れていらい音沙汰なかった、小山田茂誠義兄さんと再会!? 茂誠義兄さん、この頃北条に仕えてたの!?
しかし、ついに茂誠義兄さん再登場してくれて、やっとという感じですよ。お松姉さんがせっかく戻ってきたのに、全然音沙汰なかったですからねえ。

次回、ついに北条戦決着。予告の顔色が戻りどこか穏やかさと覇気が相俟った氏政の姿に、今から胸熱である。また、忘れられない滅びの美を見せられるのか。