小田原城内で、主戦派に襲われ間一髪のところを懐かしい小山田茂誠に助けて貰った源次郎。
いやはや、本当に懐かしい。昔の頃の源次郎だと、ここで一緒になってテンションあがるところなんだけれど、今は御役目の最中だからか、意外とそっけない態度で。
しかし、小山田家が北条と関係が深かったとは言え、なんとかなるもんなんですなあ、再就職。

改めて、氏政公と対面。顔面に白粉を塗りたくった、それでも顔色の悪さとコケた頬が隠せない憔悴した面持ちとなっている氏政。
いや、冷静になって考えてみると、よくここで源次郎ぶっ殺されなかったよね。YAZAWAのオジキは、北条の使者ぶっ殺しまくってたんだぜ、仕返しにやられても仕方なかったぞ!
源次郎の城の外の様子を聞く氏政公だけれど、場内にはそれだけ情報が入ってこないのか、それとも氏政の元に届かないのか、知っていて敢えて、なのか。
氏政が鉢形城の陥落に一番ショックを受けていたっぽいのは、その城が小田原城郭の外部の城の中では野戦派だった弟の北条氏邦が手勢を率いてこもっていた城だったからでしょうか。小田原城外では一番兵数が居た城だったっけか。
結局、源次郎は氏政公の答えを聞けずに下がることになったのだけれど、恐らく最後の一押しは公式の使者である黒田官兵衛の折衝だった、ということになるんでしょうね。源次郎のそれは、後押しの一つにはなった、という位置づけか。
どうやら、作中では源次郎の役割は、史実でも数合った各勢力が氏政に勝手に出していた降伏勧告の一つ、という扱いであり、公式の使者は黒田官兵衛のようで。
ちなみに、黒田官兵衛の提示した降伏条件も、源次郎が言っていた内容と同じだったらしく、秀吉あっさり反故にしていろんな人のメンツ潰してるんですよねえ。

しかし、帰る時に板部岡江雪斎のセリフ、耳を傾けてくれたはず。聞く耳持たなければ、殺されていただろうしな。という、源次郎死んでても全然おかしくなかった状況だったのを明かしながら、彼を名指しで引っ張りこんだのを悪びれもしない江雪斎の態度にしびれた(笑
さすが、戦国ネゴシエーターw

帰りに改めて小山田茂誠に挨拶して、松姉さんが生きてることを伝える源次郎だけれど、重要なのはここからで、彼が居た倉庫で備蓄された大量の鉛塊。鋳潰して銃弾にするためのもの、を発見するんだけれど、そこに見覚えのある刻印がされているのを見つけてしまうんですね。
源次郎が小田原場内に入ったのって、物語上一番重要なのって、氏政の説得でも茂誠との再会でもなく、もしかしてこれが一番の理由になるのか!?

しばらくして、氏政から降伏の使者が送られ、氏直が剃髪して城外に現れ、ついに小田原城が陥落することに。
降伏条件であった氏政の助命を覆す秀吉に、憤りを隠さない家康殿に、抗議する大谷刑部や源次郎をしかし一顧だにしない秀吉。
ただ、これだけの大戦で名目上とはいえ当主だった氏直の助命が認められてる、というのはかなりの譲歩にも思えるんですよね。氏政と親族衆筆頭の氏照、それから筆頭重心の松田などが切腹させられてるけれど、それ以外の氏政の弟たちも許されてるし、これよっぽど家康が頑張ったっぽいのよなあ。
氏直はこのあとしばらくして早世してしまうのだけれど、大名として復活する予定が組まれていたそうなので、待遇としては優遇と言っていいくらいじゃないかと。
北条家は、結局家康の幼馴染であった氏政の弟の一人である氏規が狭山藩を起こし、江戸幕府下で幕末まで続くことになる。
だから、厳密には滅亡はしていないのだけれど、あれはまさに戦国大名北条家の滅亡、であったんだよなあ。

既に死ぬ気の氏政を、家康は心を砕いて説得しようとするのだけれど、どうしても首を縦に振らない氏政。それでも諦めきれずに、上杉景勝、真田昌幸という北条と争い続けた関東の雄たちを引き連れて、再度説得に訪れる。
この時の氏政の、自分の助命のためにかつての敵たちがこうして集い、本気で生き残れ、と言ってくれることそのものを噛み締めているような、実の篭った表情をしてるんですよね。下からでも上からでもない、対等に向き合った立場で、先に逝く戦国大名となおもあがき続ける戦国大名が見つめ合い、語らい合っている。
家康たちの言葉は、心は十全届き、それを噛み締め、味わい、それでなお微笑んで固辞する氏政の姿に、いったい何を見るべきなのか。

最期に、飯に掛ける汁を分けずに一気に注ぎこみ、それを掻き込んでなんとも得難い頷きを繰り返しながら味わう氏政公。さらば、戦国時代よ。


一方、忍城は未だ落ちず。時系列は前後するけれど、小田原城が降伏したあとも徹底抗戦し続ける忍城に、結局予定通り城を落とせず荒れ狂った石田治部殿、被害の多い総攻めを選ばざるをえないか、という段になって、自分なら2日で、と提案する真田昌幸の、自称卑怯な策を受け入れる。
事実と違う小田原の北条家を貶める噂を流して、内部の士気を砕いて予告通り降伏させた昌幸の手腕に、その策は嫌いだ、と言いながらも率直に教えを乞う石田治部。そうなのよねえ、この人偏屈者のくせに、妙に素直で率直に頭を下げてくる時があるんですよね。それを目の当たりにしてしまうと、どうしてもこの男を突き放せなくなる。島左近や舞兵庫といった歴戦の武将が石田治部に仕えたのも、そのへんなんだろうなあ。

そうそう、源次郎がこっそり持ち帰った鉛板。その刻印、前回茶々が購入してそのまま源次郎に預けていた山吹の扇に押されたものと同じものだったわけで。そう、千利休の屋号である。
小田原城陥落とともに、現物を抑えようと倉庫に乗り込んだ大谷刑部と源次郎が見たものは、鉛や箱など一切消え失せた空の倉庫。間一髪、ものを回収した千利休の、冷や汗を掻きながらこぼす「危なかったー」という一言に汗……。俗物や、この商人、ものすげえ俗物だw
しかし、これはまた盛大に粛清の材料があがってきましたなあ。石田治部たち奉行衆との対立軸は、やはり政商として逸脱しすぎた千利休にスポットをあててきたか。

そして、遅れてきた奥州の龍、伊達政宗の本格登場。さっそく、餅つきしはじめたぞ、この道化者w
伊達を反秀吉の旗手として当てにしていた昌幸パパも呆れる、秀吉へのゴマのスリっぷり。うんうん、似てるわ。あんた、秀吉そっくりだ。
プライドを捨てず、関東の覇者として消えていった北条氏政に対して、高いプライドを盛大に投げ捨てて、生き残ることを選んだ奥州の覇者伊達政宗、というこの対比。プライドの高さに関しては、それこそ氏政に負けず劣らずであろうこの梟雄は、しかしその高いプライドを投げ捨てることを厭わない。それもまた、強さよなあ。
そして、投げ捨てたプライドをこっそり拾って懐で温める手癖の悪さ。この後も、奥州で暗躍を続け、スキあらば領土を広げようとするその悪どさ。まあ、いろいろな意味で質の悪いこの男、真田源次郎信繁と同年齢。この時、まだ二十余歳というのだから、若いんだよなあ。

そう言えば、今回は未だ野望を隠さず天下を動乱に導く策を練る昌幸に対して、出浦さんがそれを聞く信幸に、これは冗談だ気にするな、と昌幸に同調せずにむしろ信幸に寄り添うような姿勢を見せてるんですよね。
これで、ああ出浦さん、やっぱり前回の一件で信幸を試していたんだなあ、と。これ、もう兄ちゃんの方についていくことに決めてるっぽいですねえ。

そして、印象的だったのがやはり板部岡江雪斎。家康、景勝、昌幸の説得が失敗に終わり、三人が伴である本多佐渡、直江兼続、真田源次郎と共に去っていったあと、彼は家康たちに深々と頭を下げたあと、氏政の居る奥には向かわず、そのまま庭に飛び出し、そのまま走り去っていくのである。
アレを見て、ああ板部岡江雪斎は真田丸という舞台から、今退場したんだなあ、というのが伝わってきて、なんとも感慨深い気持ちにさせられました。
史実の板部岡江雪斎は、この後秀吉に御伽衆として仕え、その後は家康のもとに出仕して関ヶ原でも一つの役割を得るのですが……、もう山西さん演じる板部岡江雪斎は、多分これが見納めなんだろうなあ。
素晴らしい、熱演でした。