不信って、秀次に対する秀吉の不信じゃなくて、理解できず受け止められない秀吉の真意に対する秀次の方の不信だったのか。
そうかー。真田丸では秀次事件を秀吉による粛清ではなく、思いやりのすれ違いにするのか。
秀吉としては、息子捨も可愛いが、甥の孫七郎も可愛いんだよ、という言葉が本心なのに、強引で相手の勝手も聞かず相談もなしに結局権力を離さないまま、秀次を手助けしてやろうとするあれこれが、秀次の恐怖を煽ってしまうのか。これはもう、意思疎通の不全なんだけれど、秀次のメンタルの弱さも然ることながら、やっぱり秀吉が甥を思いやっているのに人の気持ちが全然わかってないんですよね。あれ、兄ちゃんの官位任官の内情をバラしてしまったのも、わざとじゃなくて本気でその言葉が何をもたらすのかわからないまま言っちゃってたんじゃないだろうか。
あれだけ、信長に仕えていた時には自分の言葉の意図を慎重に吟味し、相手の考えていることを鋭く洞察して人よりも一歩も二歩も早く適切に動き、察していたからこそ出生していただろう羽柴秀吉が、ここまで無神経になってしまうのか。
実際、秀吉の傲慢な振る舞いとその冷徹さを知っていると、秀次の反応だって決して過敏すぎやしないんですよね。弟の秀保の死に対する対応なんてマトモじゃないもんなあ。
こういうケースではまったく役に立たないのが源次郎。昌幸パパの劣化版なのか、戦術家としては極めて優秀なのだけれど、近視眼的でその場しのぎの小細工に終始してしまい、結局相手を逆なでしてしまうのは源次郎の悪癖みたいなもので、上手くいった試しがない。
秀次はなあ、一度はもうメンタルめためたになるまで摩耗したにも関わらず、お寧さまの叱咤激励を受けて一念発起、関白らしく堂々と自分の意見を述べ、そのくらいに相応しい威厳と、相応しい能力を示し、それを秀吉に褒めちぎられたことで、一度は自信を得て一端の男になったのに。
なったのに。
まさか、真田兄弟の官位任官でこんな事態になるなんてなあ。
この豊臣の不穏さに比べると、兄ちゃんの怒りは可愛いというか、優しいんですよね。怒りを迸らせながらも、激高しながらも、原因である源次郎に当たり散らさないんですよね。グッと一度は飲み込んだし、怒って飛び出していった時も源次郎のことを腐したり罵倒したりするようなことはしなかった。
弟が、本当に自分を思いやってやってくれたことだと理解してしまっているが故に、その理解を踏みにじって感情に任せることが、この優しい兄には出来ないんだなあ。
弟源次郎としては、痛恨である。悪気があってやったわけではなく、それどこか兄を敬愛しているからこその行為であったのに、その兄に惨めな思いをさせてしまった。これは辛いよなあ。
そして、パパは「病気以外はもらえるものは全部もらっておけばいいんだよ♪」
相変わらずである。さすがであるww

もうね、この回でずっとゾッとなってたのが秀吉の一挙手一投足によって精神をすり減らしていく義兄・秀次を間近で見ている小早川秀秋となる青年の表情であり、目線なんですよね。
秀次が追いつめられていく様子を、その末路を一番近くで一部始終目撃しているのである、この青年。その柔らかげで呑気そうだった面影に、どんどん暗いものが混じっていくのである、その眼の色が淀んでいくのである。
この時の経験が、小早川秀秋に何を宿したのか。豊臣家という存在に対して、どのような思いを抱くようになっていったのか。
すでに、関ヶ原のフラグはこの時点で立っているんじゃなかろうか。
関ヶ原で迷った末に東軍に寝返った、と言われる小早川秀秋だけれど、最近の研究だと関が原は松尾山に布陣した時点で元いた西軍の一勢を打ち払ってあそこに陣を張っていて、この段階ですでに大方から東軍と認識されてたっぽいんですよね。
迷いなんぞ、これっぽっちもなかった、とこの暗い目をした小早川秀秋ならすごく納得できるんだが。

人物像というと、父の性格を良く見抜いていたことから、冷静な観察眼を持っているっぽい秀次の娘、おたか。
後に源次郎の側室となる彼女、正室となる大谷刑部の娘さんがすごい天然でほわほわーとしているのと比べて、また随分と対照的なのが面白い。
初恋でもなんでもない幼馴染のきりちゃん、いい加減もう室に入るの遅いんじゃないですか?w この期に及んで、まだ源次郎本気できりちゃん嫌がっているのが、なんか無性に笑えてきた、

今回の秀次に関する一連の出来事に関して、お茶々様は殆ど動きを見せず。話によっては、秀吉以上に秀頼の将来のために秀次を疎んで陥れようとする振る舞いを見せる淀君だけれど、真田丸ではまったく無関係……と、見せかけて茶々さま死神だからなあ。ただ、茶々様にとって秀次は別に親しい人でも大事な人でもないので、死神スキルは発動しない……んじゃないかと思ったけれど、将来的に見ると秀頼と淀君の末路を決定づけたのは、一門衆の壊滅である秀次事件が大きいだけに、大事な人だったといえば大事な人だったんだよなあ。石田治部も殆ど関与を見せず。

そして次回はついに……。