筺底のエルピス 4 -廃棄未来- (ガガガ文庫)

【筺底のエルピス 4.廃棄未来】 オキシタケヒコ/toi8 ガガガ文庫

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すべてを取り戻すための、最悪なる希望。

殺戮因果連鎖憑依体――
古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれてきたその存在は、感染する殺意であり、次元の裏側から送り込まれた人類絶滅のプログラム。
それを消滅させられる唯一の手段を失い、世界は今や、確実なる滅亡へと突き進もうとしていた。

白鬼の憑依者である少女、朋之浦結を守り続ける《門部》の逃亡者たちが、《ゲオルギウス会》の祓魔師たちを巻き込んでまでして組み立てた起死回生の一手も、あえなく瓦解した。
あまりにも邪悪な《エンブリオ》なる存在と、数奇な運命に翻弄される狙撃手の少女が、屍を積み上げながら獲物たちを追い続ける。

残された希望は、すでに命を落とした戦略家、間白田俊彦が残した『負けない策』のみ。
その真相に辿り着いたとき、白鬼の少女と《門部》の面々――百刈圭、乾叶、貴治崎花、朱鷺川ひかえ、そして百刈燈は、いかなる選択を強いられるのか。
世界のすべてを包み込まんと膨れあがる死の連鎖の果てに、はたして誰が『鍵』となり、『過去の改変』という救済を掴み取ることができるのか。

人類の存亡をかけた、影なる戦士たちの一大叙事詩。失われた過去を取り戻すため、最悪なる希望が奏でる混沌の第4弾。
こんなっ、こんな酷い話があるかーーーっ!!
希望を、この希望だけを信じてやってきたんだぞ。死んで全部なかったことにする誘惑を押しのけて、絶望に打ちのめされ続けながら、人としての尊厳も何もかもを打ち捨てながら、それでも這いずって生きてきたんだぞ。この、最後の希望だけを信じて。希望だけを捨てられずに。
生きて、きたのに。
生きてきたのにッッ。
その、結末がこれなのか。こんなの、あんまりにもかわいそうじゃないか、ひどすぎるじゃないか。
人類は救われたかもしれない、未来は続いたかもしれない、起こるはずだった悲劇はすべて覆され、あの惨劇もまた拭いされたかもしれない。でも、あれらは起こらなかったわけじゃないのだ。すべて、現実に在ったことなのだ。あの未来で彼らは生きて生きて、死んでいったのだ。あの絶望も、破滅も、怒りも憎悪も、全部全部、全部だ、全部が刻まれている。刻まれてしまっている、この娘の心に、記憶に、魂に……。
ただ一人、世界にただ一人、この娘にだけ……。この想いを一緒に抱えてくれる人は、一緒に支えてくれる人は、一緒に感じてくれる人は、もう居ないのだ。誰も、誰も居ないのだ。
みんな、そこにいるのに。生きて、そこにいるのに。彼女にとっての彼らは、もうどうしたって、どうやったって取り戻せないのだ。それを、見せつけれて、目の当たりにして、信じた結果がこれか、希望にすがってすがって鬼と化してまで生き汚く何でもやってきた。人を殺し、殺して殺して、ただ生きるために殺して殺して、その結果がこれか。これなのか。
こんな、ひどい話があってたまるものかよ……。ひどすぎる。
まさに、最悪の希望じゃないか。
薄っすらと違和感はあったのだ。誰も指摘していなかったけれど、自明の理としておかしな事実が在ったのだ。それを都合の良いように収束するものと思い込んでいたのは、無意識の逃避だったのだろうか。それでも、これほど残酷な形で矛盾を突きつけられて、心がずたずたに切り刻まれないと思うか。
いったい誰が描かれているのかわからなかった前回からの表紙絵の真実にたどり着いた時、あまりのことに胸をかきむしられたようなやるせなさにのたうち回ることになった。
あんな慟哭を、平静のまま聞けるものか。救われないにも、程がある。程があるよ。なんでこの娘がこんな想いしなきゃいけないんだ、なんでこんな目にあわなきゃいけないんだ。頑張ったんだぞ、必死に世界を救ったんだぞ。人類を、守ったんだぞ。信念も人らしさもかなぐり捨てて、ボロボロになってここまで来たんだぞ。それを、それが、なんでこんな……。
誰か、誰か、この娘を助けてあげてください。なんとかしてあげてください。お願い、誰かこの娘を救ってあげて…ッ。これじゃあ、あまりにも、あまりにも可哀想過ぎるッ。

シリーズ感想