正式に正室として源次郎に嫁いだ大谷刑部の娘・春。今のところ、目立って変なところは内容に見えるんだけれど……治部さまが苦労するぞ、とかなんか不穏なこと言ってるんですよねえ。なにを知ってるんだ、治部さま。
まあ何となく、空気読まない発言があれこれ散見されるのは確かなんだけれど。薫ママの出自についてツッコんだり、きりと初対面で話は源次郎さまから聞いてます。ウザいやつだって! 当人にあっけらかんと物凄いこと言ってるんですよねえ、けっこう爆弾娘なんだろうか。

一方で信幸兄ちゃんの方はというと、前回おこうさんと稲姫が衝突した影響か、稲のほうが敵愾心、というよりも対抗心なんだろうか、おこうと信幸の関係にイライラしだした挙句に、ついにお兄ちゃんにおこうより自分の方を見てっ! とばかりに積極的に……これ、デレなんだろうか。なんか微妙だぞ。
いやそれよりも、ついに稲姫がお兄ちゃんに、というシーンにも関わらず、BGMが甘酸っぱかったり桃色めいたものではなく、やたら重厚で切羽詰まったクライマックス感たっぷりの音楽だったのはあれなに!?(爆笑

でも、結局このときのあれやこれやで、ついにお兄ちゃんに子供が出来るんですね。まさかの、おこうさんと稲二人同時に。正確にはおこうさんの子供のほうが先、という形になるのですが。
まわりまわってこの時に生まれる二人の子……のさらにその子、つまり孫の代でお兄ちゃんの寿命を縮めることになるお家騒動が勃発するわけであるが、こうしてみるとまあ自業自得な気がしてくる不思議w

この時、真っ先に子供が出来たことを報告するの、親父殿でも母でもなく、弟の源次郎なんですよねえ。そして、この時の兄弟の嬉しそうなこと。心から喜び合い祝福され、その心底にはなんの裏表もなく……。
だからこそ、最後のシーンの真田兄弟の道が分たれたあれが、ズシンと来るんだよなあ。

秀吉の老い。認知症を発症し、急激に心身ともに置いていく天下人。その憔悴の様子がもうきつくてきつくて。寝小便をしてしまい、自分の自信をなくし、また最近の記憶が急速に保てなくなり、同じ命令を繰り返したり前後で矛盾する命令を下してしまったり。そのことに自分では気付かず、でも周囲の妙な雰囲気にはちゃんと気づいてしまって、どうも自分がおかしな言動をしていることを理解して、余計に動転し、萎縮していく。その様子の演技がまた凄まじい。本当に、秀吉が一回り小さく見える。そして、あの表情の覇気の無さ。挙動不審な目線に力をなくした目線。これが、あの秀吉だというのが信じられないくらい。
そして一番ショックだったのが、拾とすでに死んだ捨を混同してしまった瞬間。秀頼が成人するまでは生きていたい、と言っていたのがいつの間にか、もうすでになくなっている捨が元服するまでは元服するまではっ、と叫んでいたのに気づいた瞬間のあの背筋が寒くなる感覚は、ちょっと覚えがない。ほんまの、迫真の演技だわ。
そんな秀吉に一番傷ついているのが、お寧さまなんですよね。大事な昔の思い出までも当人に否定され、悲嘆にくれる。お寧さまがあんなふうに声を荒げて八つ当たりしたのって、はじめてみたし。
治部さまも、どこか元気がない。最初奉行衆に政を任せる、と言われてたのが途中から家康を中心とした大名たちの合議で、という話になった時、もっと憤るのかと思ったら、老いさらばえた秀吉の様子に治部さまも気落ちしてる感じなんですよね。しかし、途中から誤魔化さずにはっきりと秀吉に対して勘違いや物忘れを指摘しだしたのは、どういう心境なのか。
いずれにせよ、秀吉没後の政治的混乱、奉行衆と大名たちの対立をこういう形で発露させていくのか。
一方で、茶々さまの方は老いさらばえた秀吉をはっきりと拒絶。そんな父の姿を秀頼には見せたくない、
とむしろ秀吉を秀頼から遠ざけようとする。大蔵卿局は、茶々さまはお拾さまが一番大事だから、と言ってるけれど、殿下のためです! と叫んだ茶々の言葉にはそれほど裏がないとも思うんですよね。あんな姿を、殿下自身も息子の記憶に残したくないはずだ、というのも往時の秀吉の性格からすると間違いではないはずですし。

この耄碌してしまった秀吉の現状は、豊臣家の最高機密。秀吉の様子は表向きには何も変わってない、ということで押し通すことが暗黙の内に決め事になっている。
だからこそ、信幸兄ちゃんが念を押して、真田家のために動けと念に念を押して、源次郎に秀吉の様子はどうなのだ、と尋ねられた時に、表情を変えずに公式発表である何も変わっていない、というセリフを源次郎が返した瞬間に、真田信繁は正しく、真田家のために生きるのではなく、豊臣の臣として生きる決断を下したのだ、と見ることが出来る。
すでに犬伏の別れより前に、父昌幸の意思を介在せず、真田兄弟の間で道はこの時分たれたのだ。