終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#02 (角川スニーカー文庫)

【終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? 2】 枯野瑛/ue 角川スニーカー文庫

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“獣”の侵食により死にかけた都市ライエル。その外れの森で新たに発生した妖精の子供2人は、リンゴ、マシュマロと名づけられた。「ふぇどーるーっ!」「ふぇどるー」「まったく、どうして僕なんかに懐いてるんだか」ぼやくフェオドール四位武官に、ラキシュは悪戯っぽい笑顔を返す。彼女らと過ごす日々の中、フェオドールは自らの想いを告げることを決めるが、そこに“十一番目の獣”の『小瓶』が落とされる…。新シリーズ、第2弾。
もう一度だけ、会えますか?
そんな請い願う再会が叶うのならば、それは素晴らしいことだと思っていた。起こりえるなら、美しい奇跡のようなものなのだと思っていた。
だが、その二人、もし再び会うことが叶うならば、それは悲劇の始まりだ。

もう一度だけ、会えますか? このセリフは、いったい誰のものだったのだろう。
誰が誰に宛てたものだったのだろう。
新しく生まれた黄金妖精の幼子たちリンゴとマシュマロ。そして生きていた許嫁マルゴ。再会の予感と幾つかの別れが、改めて強くこのタイトルに込められた言葉の意味に、思いを馳せるきっかけになる。
思えば、この言葉は消えゆく妖精たちだけに与えられたものじゃなかったのだろう。残され、置いて行かれる人たちの言葉でもあり、また生きて別れてしかし二度と会うことが許されなくなった人の懇願でもある、そんな可能性だってあるはずなのだ。
でもそのどれもが、問いかけに対して「会える」とは答えて貰えない。潰えた可能性への請願だ。それでもなお、わかっていてなお請い願ってしまう、その切ない思いをなんと言えばいいのか。

ついに自らの目的を明かしたフェオドール。だけれど、そんなことが嘘の下手な嘘つきに可能なんだろうか。幼い妖精たちの暴れっぷりに、あれだけ一喜一憂し、そしてその瞬くような在り方にあんなに傷ついてしまった少年に、そんな大それたことが出来るんだろうか。
本当にこの子は嘘が下手だ。始末に悪いのは、彼自身自分がよく出来た嘘つきだと思い込んでいるところだろう。実際の所、彼の嘘に一番騙されやすそうなのが自分自身、というところが尚更始末に悪いと来た。
それだとて、いったいいつまで自分に嘘をつき続けていられるか、わかったもんじゃないのだから。
生きていたマルゴは、そんな彼のどうしようもない嘘を現実に背負ってきている存在とも言えるのかもしれない。フェオと同じ感情を背負い、似たような目的を抱えて、浮遊島の多くを滅ぼすであろう爆弾を抱えた彼女。彼の大切なものであったはずなのに、知らずして今、彼の大切なモノを壊してしまった彼女。
お互い生きていることを知らず、お互い死んだものと思いながらも再会を願い、しかし会えば傷つけ合うであろう関係に陥ってしまった二人。
どうしてこんなことになってしまったのか。誰がいったい悪いのか。誰も悪く無いと言うには、あまりにも切ない有様じゃないですか。
刻々と滅びが近づくこの島で、なおも悲劇が積み重ねられていく。妖精たちの未来もまた、否定されながらゆっくりと閉ざされていく。
それでも、未来が在ると信じられるのは、前作のラストシーンがあるからか。マシュマロにつけられた名前、リィエル。あちらとこちらが、限りなく確かに繋がった。

そういえば、アイセアが姐さん顔して再登場しましたが、また雰囲気変わりましたねえ。いや、以前から一番後ろで受け止める懐の深い女でしたけれど、ちびっ子でしかも「……っす!」という三下口調。色気もなにもあったもんじゃなかったのに、どうやったらあの三下口調のまま「未亡人みたい」とまで言われる艶っぽさを獲得するに至ったのか。
なんか、ナイアグラートよりもよっぽど大人の女っぽくなっちゃってますよ、化けたなあw

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