セブンキャストのひきこもり魔術王 (ファンタジア文庫)

【セブンキャストのひきこもり魔術王】 岬かつみ/ mmu 富士見ファンタジア文庫

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魔術が概念化し、物理法則を凌駕した新生魔法世界。ここ魔都には魔術結社『七詠唱』が最強の名の下に君臨していた―。
「ひたすらだらだら暮らしてえ…」
魔術学園に通う学生ブランは、魔術で造った分身に出席を代行させる不登校児。ただ、転校生の王女デュセルには、ひきこもり気質同士のせいか妙になつかれていて!?しかし、デュセルの正体は戦闘に特化する敵国の国家魔術師だった―「そんな、あたしより高位の魔術師なんて」「相手が悪かったな―俺が『七詠唱』の魔術王だ」七つの分身を遠隔操作で使役して、世界の秩序を覆せ!?在宅こそ最強―門外不出の新世紀魔術バトルファンタジー!!
分身体の連中、全員本当に本人なのか。例外は姉ちゃんだけで、それ以外は自律していても固有の魂を持ってたり意思を持ってたりはしないわけね。一見すると教授や魔女なんかはまったく別人に見えるのだけれど、あくまでキャラは立っていても中身は同一なのか。これは思い切った設定だなあ。書いているとどうしても、個体の違いによって考えること感じることの違いを出したくなるだろうに。特に、自分とまったく同じ容姿年齢で自分の代わりに学校に通わせている分身体「スケアクロウ」なんて、コピーロボットじゃないけれど本体とは別の魂を持たせて勝手に動かしたくなりそうなもんじゃないですか。本体とはまた別にヒロインに恋してしまって、とか。
七人の中では圧倒的にワイズマン教授の個性や存在感が際立っていて、老練知的なナイスミドルなせいか言動もいちいち粋なんですよね。この人とか、本当に中身独立してないんだろうか。

新生魔法世界という、既存の現実世界がひっくり返ってできた世界観、これ自体も面白いのだけれど、特に素晴らしいのが高位の女性魔術師はブラをしない、ノーブラがフォーマルという設定ですね。魔力によってオパーイを保護しているので、ブラで固定せずとも型くずれしなくて窮屈な思いをせずに済むので、ノーブラが基本、みんなノーブラ。たゆんたゆん。
もはや、この時点で家に引きこもっているなんて真理として間違っている気がするんだが。街へ出て、ガン見せよ。分身体に憑依して五感を共有できる、という力があるからか横着してるみたいだけれど、とりあえず学校には行こうよ。せっかく、ノーブラの女学生がたくさんいるのにー、と思ってたら、デュセルのオパーイに惹かれてあっさり生身で学校に行きだす引きこもり魔術王……あかん、この主人公チョロい。
だがしかし、ヒロインのデュセルの方も凄まじいチョロさで、学校に現れた時に最初に出会った際に同じ引きこもりボッチ属性のシンパシーゆえか、意気投合してしまってお互い初友達同士になってしまったが最後、インプリンティングされた生まれたての小鳥のように、ブランに懐きまくるデュセル姫。
ふたりともボッチすぎて、人間関係の距離感の取り方が思いっきり破綻してる!!
合衆国の国家魔術師にして学園生徒会長のステラ先輩も、出来る先輩と見せかけて中身相当ポンコツ!! 際立ったお人好しな上に思い込みが激しいタイプとか、チョロすぎるデュセルの方もだけれど、ステラも国家の趨勢を背負ったエージェントとしては、全然駄目なタイプなんじゃないだろうか。向いてないよ、全然向いてないよ! 単に魔術士としては最強クラスのちからを持っているからと言って、仕事には適正があるよね。その意味では、セブンキャストとして七種の様々なスタイルの魔術士を分身体として運用するブランは、力押しから小技に謀略戦と何でもござれ、でさすが一介のエージェントとは違うということか。

引きこもりこそ魔術の最強理論、と胸を張っている割に、ひょいひょい自分本人も前線に出張ってしまうあたり、自分で思っているよりも腰は重くないしフットワーク軽いし怠惰よりも勤勉さが隠しきれてないよなあ、ブランくん。
結局、デュセルに会いに毎日外に出るようになってしまっているあたり、人付き合いが面倒なタイプじゃなくて、単に慣れてなかっただけなんだろう。さっそくイチャイチャしやがって、おのれw

岬かつみ作品感想