ハイスクール・フリート いんたーばるっ (MF文庫J)

【ハイスクール・フリート いんたーばるっ】 姫ノ木あく/ 桝石きのと MF文庫J

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Kindle B☆W

―第一話『遙かなる武蔵』横須賀女子海洋学校に入学する少し前、中学三年生のましろは憧れの武蔵に体験乗艦するためブルーマーメイドフェスタに参加したが、いつも通り数々の不幸に遭い―。―第二話『晴風で本当にあった怖い話』初の海洋実習、遅刻しながらも集合場所へと航海中の晴風。ある夜、明乃とましろは艦内の巡回をしていたが、炊事委員の三人から晴風にまつわる怪談を聞くことになる。原案・鈴木貴昭。脚本・吉田玲子。キャラクター原案・あっと。大人気アニメ『ハイスクール・フリート』。合間に起きていた六つの物語を描くドタバタスピンオフ、出航!
不運体質にして苦労性の副長宗谷ましろが殆どの話でメインとなる、ある意味宗谷さんの宗谷さんによる宗谷さんのためのシロちゃん本ですなあ。シロちゃんファンとしては垂涎の一品ではないかと。
それだけではなく、アニメでは把握しきれなかった晴風の乗員、本作を読んでいると概ねキャラとかどんな娘なのかわかるようになったのは助かりましたね。艦橋要員の面々の出番は少なめで、その分他の科の娘たちにスポットがあたるようになっていたので、一人ひとりの個性が把握できたのは嬉しかった。

第一話『遙かなる武蔵』
なんで機関科の黒木さんがやたらと宗谷さん好き好きだったのかの秘密がわかる前日譚。あれ、シロちゃんの方は黒木さんの好意に対して思い当たるフシがなくて戸惑い気味だったこともあり、以前からの知り合いでもなさそうなのになんであんな傾倒してるんだろう、と疑問に思う所だったのだけれど、なるほど入学以前にこんなきっかけがあったのかー。実は宗谷さんが何気に妹属性全開、というのが知れる話でもあり、ものすごい頑張り屋さんで年上の人たちからは可愛がられるタイプなんだなあ、というのがよくわかるエピソードでもある。親や姉たちがブルーマーメイドでは凄い有名人ということもあり、七光になりそうなんだけれど、この子のひたむきさは主人公タイプだなあ。そして、彼女の苦労性は向こうから面倒が降ってくるのもあるけれど、それをいちいち全部流さず真面目に対処してしまうシロちゃんの生真面目さが原因なんだろうなあ。しかし、その献身的な生真面目さこそが、人の心を動かすのである。

第二話『晴風であった本当に怖い話』
そんな生真面目な宗谷さんを、さんざっぱら振り回してくれるのが、自由奔放なる晴風艦長ミケ。当人、悪気がさっぱりないだけに、シロちゃんの正論が通じない通じない。しかし、シロちゃんってこういうどうしようもなくとらえどころのない人に振り回されるのが性に合っているっぽいんだよなあ。何気に、宗谷家のお姉さんが同じタイプなのよね。そして、振り回されつつもこういう放っておくと何をしでかすかわからないタイプの人間に、何だかんだと鈴をつけて首輪をはめてリードを握ってコントロールすることが出来るのも、またシロちゃんのようなタイプなのである。
と、この話ではシロちゃんの部屋がどうしてあんなあからさまにファンシーグッズなぬいぐるみたちで埋め尽くされていたのかがわかってしまうエピソードである。乙女力高いなあ、シロちゃん。


第三話『ガントリーキャッチャー』
こいつら、こんだけ遊んで回ってたら、そりゃ予定よりも遅れるわw
まあ機関の不調を修理している間、という免罪符はあるにしても、晴風けっこうフラフラしてますよねえ。
航海長の知床鈴と機関員の若狭麗緒の間で培われていく友情を基軸として、科を超えた晴風乗員全体の仲が深まり、和気あいあいとしたあの空気が生まれていくきっかけとなるお話でした。


第四話『半舷上陸の日』
反乱容疑も晴れて、工作艦明石の補修を受けている時の僅かな休暇。乗員が半分ずつ交代で陸に降りて休息する半舷上陸の際に、上陸組になったシロちゃんが万里小路さんをお供にして、いろんなメンバーと行く先々でショッピングモールでのお買い物を楽しむお話。お堅い副長としてはもっと肩肘張ってしまうエピソードかとおもいきや、万里小路さんの緩衝材的な存在感もあってか普通にいろんなメンツと交流を深めつつ、普通に買い物とか遊びを楽しんで、結構ちゃんと休暇を堪能する話になってるんですよね。意外と向こうから副長一緒に回りましょうとか、あれこれするから付き合ってー、と声をかけてくるあたり、シロちゃんの信望厚いのが透けて見えてきます。艦長不在の折に晴風の指揮に滞りがなかったのもよくわかるなあ。


第五話『仁義なき水鉄砲戦争』
さり気なくあれだけ懸賞出したら出しただけ当ててしまうミケ艦長の豪運が窺い知れる。アニメでも、水鉄砲で遊んでいるシーンがあったわけだけれど、なるほどこの時の持ち込みだったわけですね。
いやそれにしても、やっぱり晴風、フラフラ遊びすぎだわなあ。丸一日掛けて水鉄砲大会しているわけだし。しかし、宅急便が航行中の駆逐艦にまでお届け物を普通に持ってきてくれるって、この世界の海上流通網の発達ってえらいことになってそう。


第六話『猫なんて大嫌い』
宗谷ましろは猫が苦手だが決してきらいじゃないんだよ、という淡い子供時代の泣ける思い出話を絡めたエピソード。そりゃあ、このシロちゃんなら、沈みゆく船から体はって子猫助けるわなあ。あれ、子どもと勘違いしていなくて、子猫だとわかっていても助けに行ったんじゃないだろうか。
そして、子供時代にかわいがっていた子猫の名前が、ミケだったという罠w そりゃ、意地でも艦長のことミケとか呼べんわ。