エロマンガ先生 (2) 妹と世界で一番面白い小説 (電撃文庫)

【エロマンガ先生 2.妹と世界で一番面白い小説】 伏見つかさ/かんざきひろ 電撃文庫

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『兄妹の夢』を叶えるため『妹小説(仮)』の出版を目指す俺とエロマンガ先生―和泉紗霧。担当編集を説得するべく、和泉兄妹は協力して企画書を作り始めるが―そこに次々と大騒動が巻き起こる!『発売日は一年後です』容赦なく現実を突きつけてくる担当編集。『かくまって頂戴!』締め切りから逃げ続ける売れっ子作家・山田エルフ。『和泉ちゃんと同じものを好きになりたいんです』『やつをラノベにハメる』妹のクラスメイト・めぐみと、本屋の娘・智恵の初遭遇。とある理由から、どうしても今年中に新作を発表したいマサムネは、優勝者に出版枠が提供される『ラノベ天下一武闘会』に挑む!だがそこにレーベル最強の宿敵が参戦してきて…!
続きが出ないラノベばかり選別して、初心者に読ませるとか、悪魔か! 悪魔か!! 時代を超えてレイニー止めをリアルに押し付けるとか、笑顔で顔が引きつりましたがな。鬼か!!
しかし、【マリア様がみてる】のレイニー止めなんてもう14年も前になってしまうわけで、この時生まれていなかった子らがもう中学生というのは衝撃的だよなあ。喰らっためぐみもまだ生まれてないんだぜ。【Hyper hybrid organization】もその年代なんだけれど、本屋の智恵さんいったい幾つなんだ、高校生のくせにw
伏見先生的にはやはりその年代のラノベに直撃を受けたということなのか。デビュー作【十三番目のアリス】での登場が2006年ですからねえ。何となくわかる。そして、その頃に途絶えてしまった数々の作品の続きが読めることはもうないのだと……と、この頃描いてた頃は思わなかったんだろうなあ。まさか、【R.O.D.】の続きが出るとか。【R.O.D.】ですよ、【R.O.D.】。何年越しだよ、一体。
そう、望みはいつだって潰えていないのだ。来ないはずの夏が来ることだってあるかもしれない、かもしれない。
ムラマサ先生じゃないんですけどね、私だって伏見さんのバトルもの、まだ読みたいですよ? というか、具体的に言うと【十三番目のアリス】の続きを、今の作者の筆で書かれるのを未だに待ってますよ?
ムラマサ先生の気持ち、わかる部分も多いんですよね。大好きな作家の、そっちじゃないだろうという方向へ作風やジャンルがスライドして行ってしまって戻ってこないあの感覚。なければ、自分で書いてしまうしかないじゃないか、という欲求。個人的にはムラマサ先生のような、自分の書きたいものを書くために小説を書く、という小説家のスタイルが一番好きです。小説家になりたいために小説を書く、のではなく、ね。書きたいものがあるから、書きたい場面があるから、書きたいセリフがあるから、コンコンと溢れ出てくるうちからの間欠泉を抑えかねて、表に叩きださねば耐えられない抑えきれないあの衝動。
さすがに、ムラマサ先生ほどストイックというか、周りを顧みない現実を振り返らない集中に集中を重ねて尖りまくってしまった在り方は滅多ないと思われますけれど、これもまた小説家としての在り方の一つなのでしょう。こうして、極端な形とはいえムラマサ先生みたいなキャラを出してきて、それも最強の売れっ子作家として出してくるあたりに、この手のタイプの作家に対する想いみたいなものが透けて見えるわけで……。
だからこそ、ベクトルがかなり違う正宗の苦悶と抗いの末の壁の突破が引き立つのでありましょう。
いやまあ、ムラマサ先生のあの正宗への要求だけはドン引きでしたけれど。どれだけ自分だけで世界完結してるんだろう。面白いものは世に出て然るべき。正宗が書き散らした挙句に表に出ずに消えていく作品群にすら苦渋を感じてしまう身としては、勿体無いと思ってしまう身としては、独り占めは良くない、と思わざるを得ないのです。それでも、あれだけ絶賛され評価されてしまったら、嬉しいわなあ。お金もそうなんだけれど、自分の作品が他人の人生を変えてしまうほどの影響を与えていた、と知ってしまった時の感慨というものは表現にあまるものなんでしょう。ムラマサ先生の存在は、ライバルとして以上に正宗の作家魂に火をつけることになったんじゃなかろうか。
まあ、火はついても燃やす燃料は殆ど妹成分なのですが。一巻と裏腹に、既に紗霧と和解して仲良くなった状態なので、なんというか……既にラブラブすぎやしませんか、あんたたちw
傍から見るとずっとイチャイチャしてるようにしか見えないんですが。ぶっちゃけ相思相愛だもんなあ。
ここから拗れていくのか、さらに抉らせていってしまうのか。長らく積んでた分、続刊が溜まっているのですぐ続きが読めるのはありがたい。

1巻感想