ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.11 (電撃文庫)

【ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? 11】 聴猫芝居/Hisasi 電撃文庫

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新職解放のアプデが無事に済むとか思った?
――残念! キャラがバグっちゃいました!

「致命的な不具合が発生したため四次転職を行った全キャラを一時的に凍結します」
新職解放のアップデート当日。ワクテカしながら転職した残念美少女・アコたちネトゲ部一同(セッテ除く)を待っていたのはまさかのバグとキャラクター凍結!
しかも運営さんの次なる一手は――期間内に新キャラを作成し、レベル30にできた方にプレゼントをあげちゃいます! ってなんですかその対応は!
「対応が斜め上だー! 」 「お詫びにレベルを上げさせてあげます! やりましたね! 」
「やったっていうか、やらかしてるわよね」「運営サイドも混乱しているのだ……」
と言いつつ、せっかくなのでと普段と違う職業で新キャラを作ったアコたち。
慣れない新キャラに大混乱しつつも、誰もがキャラ凍結を食らっているせいでオープン直後のようなカオス空間になったLA内で、レベル1から始める大冒険のスタート!
……でも、夫婦状態の凍結に合わせたアコと英騎のやりとりが、リアルのクラスにまでカオス状態を巻き起こし……二人の愛がクラスの危機まで救う、かも?
アニメ絶好調放送中! 残念で楽しい日常≒ネトゲライフ、混乱必至の第11弾!
……あれ!? 前回なんかナシクズシに新入部員になっちゃいそうだった新入生の娘、一切登場しなかったんですけど!? あれ? 本当にゲストキャラだったの!? 妹ちゃんも登場しなかったので、一年生はおよびでない回だったのかもしれないけれど、本当に一貫してメンバーはこの四人プラス秋山セッテ、おまけで猫姫先生だけで行くんだ。この徹底した方針は凄いなあ。そして、何だかんだとメンバーに馴染んだセッテさんが逆に凄い。単にこっち側に飲まれるでもなく、リア充側の橋渡し役として中途半端な位置に居るでもなく、ちゃんと友達になり、ネットゲームにもハマり、そして人としてもうアウトだったアコをちゃんとリア充サイドのクラスメイトになじませたんだから、凄まじい仕事っぷりである。
ただ、その結果としてアコが廃人とリア充の境界線で迷走をしちゃったのが今回の話、というわけだったのですけれど。何だかんだとクラスに受け入れられて、女の子たちのグループの中で上手いこと日常を過ごせるようになって……と、普通の女の子らしい立ち位置を得られたアコ。それは、そもそもネトゲ部をルシアンたちが作った理由でもあって、彼らもそんなアコを安堵とともに見守っていたわけだけれど、いつの間にかルシアンたちもアコを現実サイドに引っ張り上げるつもりで、アコ側に引っ張りこまれて、あかんラインぎりぎりで安定してしまったのが今のネトゲ部の面々だったんですよね。だから、今の彼らはかつてほどにはアコにリアルを直視して欲しいとは思っていないのも間違いはなく、全部上手く行っているはずなのに妙にしっくりこない状況に、微妙な居心地の悪さみたいなものを感じていたんですよね。
面白いのはそんな現実サイドの雰囲気を比較対象したみたいに、ネトゲサイドで運営側のトラブルで既存のキャラが凍結され、一時期だけ新しいキャラを新しい職業とともに作ってプレイしよう、というイベントが発生して、みんな新しいキャラやいつもと違う職業でのプレイにワイワイと騒ぎ楽しみながらも、微妙な違和感、座りの割りさ、馴染まさに戸惑いを感じて、という展開が起こってくんですね。主観的客観的、というのとは違うのだけれど、現実サイドとネトゲサイド、二つの局面を同時に体験することで一方だけでは見えてこない色々なものが覗き見えて、それを踏まえて両サイドで自分たちの納得できる形、得心できる方向性、なんてものを見つけていく、確かめていく、手に入れていく、という展開は改めて思い返してみると、構成として凄い上手いなあ、と感心してしまいました。しかも、露骨じゃなくてほんとさり気なく両方とも連動して進行していくんだよなあ。
結局元通りどころか退化してるじゃないか! と突っ込みたいけれど、よくよく見るとちゃんと進歩してるんですよね。ふわふわと浮ついたまま慣れない環境を突き進んでいくのではなく、誰かに言われたからでも常識を説かれたからでもなく、自分たちが納得できる形で踏み固め、しかし周りを拒絶するのではなく、自分たちの納得をみんなが受け入れ当たり前として飲み込める形に砕いて敷き均していく。そうやって、無理をしているわけでも背伸びしているわけでもなく、自然体のまま、一緒に居たい人と好きなように一緒に居られる、それでいて周りとつながっていける居場所を、自分たちで作ってるんですよね、このネトゲ部の子たちは。
セッテさんが、どうしてここに入り浸っているのか、その居心地の良さの理由が今回よくわかった気がするのでした。しかし、セッテ・アココンビはほんと馴染んだなあ、というか仲良いなあww 和む。

シリーズ感想