異世界とわたし、どっちが好きなの? (MF文庫J)

【異世界とわたし、どっちが好きなの?】 暁雪/へるるん MF文庫J

Amazon
Kindle B☆W

ノー異世界・ノーライフ。俺、市宮翼は異世界ハーレムを夢見る高校生だ。俺はある日、クラス一の美少女・鮎森結月と本屋のラノベコーナーで遭遇する。彼女は俺と同じ『異世界厨』だったのだ。
「市宮くんは異世界に行ったらなにがしたい?」「ハーレムを作りたい」「バカじゃないの?」
まあ、多少方向性は違っていたけど…彼女と『異世界トーク』で盛り上がった帰り道。俺は異世界転生的な手続きをする場所に飛ばされる。―これで夢が叶う!?しかし、現実は残酷だ。異世界に行くためのポイントが足りないらしい。そこで俺は一度現実に戻り、ポイント集めをはじめるが?異世界厨が贈る、現実の女の子もそんなに悪くはないかもしれないよね系ラブコメ!
と、糖度たっけえ。デビュー作からして、ヒロイン一人に集中しての一極集中型イチャラブですけれど、本作もひたすら主人公とヒロイン二人にスポットを当て続けたラブコメになっていて、これがまた素晴らしかった。
お互いに異世界に渡るために必要となる女神ポイントを稼ぐために、女神から与えられる試練を協力して乗り越える「同盟」を結ぶのだけれど、この試練というのが概ね「クラスメイトと✕✕しなさい」というもので、クラス内でボッチな立ち位置をゲットしてしまっている二人にとっては本来めちゃくちゃ難易度高いものだったのです。が、事情を承知している者同士、協力すればあら不思議、簡単にクリア出来てしまうことに。
でも、段々と内容がハグやデートや、とそれただのクラスメイトと出来ることじゃないだろう、という内容のものになっていくのですけれど、翼も結月も異世界厨という同じ趣味人同士で話も合い、気も合い、波長も合い、と一緒に過ごすうちに親密度がぐんぐん上昇していくわけです。
そうして、気づくわけですな。あれ? 自分、この娘のこと好きじゃね?
相手の反応も満更ではなく、心の距離も体の距離もどんどん縮まり、許容範囲も広がっていってしまう。旗から見るとバカップルがイチャイチャしてるようにしか見えない状態へとどんどん発展していき、とまあブースターでもついているのかと思うくらい順調に男女の仲が進展していくのがまた……甘々なんですよねえ、色んな意味で。
しかし、建前はお互い異世界に行くための方便。対人コミュ力の無さから迷走をはじめてしまうわけですが、これはもうほぼ一方的に翼が悪い。あほか! 俺のハーレムに入ってくれ、という告白はわりと史上最低の部類なんじゃなかろうか。まあ彼の悪しはむしろ彼女の懸命なアプローチを無下にしてしまった考え無しな部分なんですけれど。
それでも、最後にははっきりと意思表示して見せたのは、最低限男らしさを見せてくれたんじゃないでしょうか。日和らなかったのは偉い偉い。
友達以上恋人未満の関係のイチャラブとしては、ほんと甘酸っぱいシーンばかりでしたけれど、中でもとびっきりだったのはやはり映画館のあれでしょうねえ。あれでお互い、自分の気持ちをはっきり自覚したようなものですし、体の接触から心をも曝け出して連結させたようなあのアプローチは、本当に効果的だと思うよ、うん。
なんにせよ、堪能させていただきました。ヒロインたくさん出て来る作品は好きですけれど、こういう一点突破型ももっと増えてくれんかなあ。

暁雪作品感想