偉大なる大元帥の転身3 行きて、帰りし英雄譚 (ファミ通文庫)

【偉大なる大元帥の転身 3.行きて、帰りし英雄譚】 竹岡葉月/ともぞ ファミ通文庫

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大波乱の創立祭が終わり、ついに待ちに待った長期休暇。
この機会に、自分を召喚した人物に接触しようと意気込むケータに告げられたのは、成績不良者の退校宣告!
そんなケータを救うべく、つきっきりの特訓を申し出るライラ。
一方イリスは、『白の腕』にスカウトされ、学院を離れる決意を固めていた。
それぞれの進路に揺れる中、首都・水晶府に集まるケータたち。
皇帝、光の勇者、白の腕、四天王――彼らが一堂に会したその時、想像もしない驚愕の真実、
そして彼女の秘められた想いが明らかになる――!
出直し異世界転戦記、最終巻!!
うわぁ、そんなえらいことになってたのか。二巻の感想で散々魔王さまが引きこもって出てこないことにダメ出ししまくったの、正直済まんかった。まさか来たくても来れない事態になってたとは思わんかったですよ。まあ、これたとしてもフードゥ様は絶対に来なかったでしょうけれど。
でも、これはケータが可哀想だよなあ。完全に蚊帳の外だったわけですし、フードゥ様の優しさが結局ケータを傷つけまくっちゃったんですよね。とは言え、真実を最初から知らせていたとしても、フードゥ様が危惧したようにケータは自分を責めたでしょうし。でも、自分を悪者にしてケータを追い払う、という形はやっぱり不器用極まりないですよ、魔王さま。
お陰で、板挟みになったベスティアラがえらい可哀想なことになってたんですよね。ケータには真実を告げられず、しかし魔王さまの有様は見るに耐えかねて、どれだけココロをすり減らしていたか。ケータに何も告げないまま、でもどうか戻ってきてほしいと懇願に来たベスティアラ、あの時は単なる痴話喧嘩の仲裁だと思ってたんだけれど、彼女は彼女で一杯一杯だったんだなあ。
もうこれ、誰が悪いかというと『白の腕』の連中が悪いとしか言いようがなく、幾ら国の為を思っての行為とはいえ、皇帝の生命も勝手にBETしちゃってるわけで、あとの対応もけっこう酷いものだし、もうちょっと責任問題にしても良かったんじゃないだろうか、というくらいには腹立たしい。
結局これ、フードゥ様の勝ち逃げ、になっちゃうんだろうなあ。ラブストーリーとしては、ケータとフードゥだけで殆ど帰結してるし。残念ながら、イリスとライラはあの二人の一世一代の告白の答えがアレだったって時点で、
まるで相手にされてなかった、ということだし。ひ、悲惨だ。でも、二人とも実のところケータとそこまで親密になれてたかというと、友達としてはそれなりに仲良くなってたけれど心の距離を寄せきれていたかというと、そこまで深く歩み寄れるだけのエピソードの積み重ねはまだ足りてなかった気がするんですよね。
これは他の学友たちともおんなじで、結局最後まで秘密を抱えたままのケータと学友たちとでは距離感が詰めきれていなかった気がするんですよね。シリーズ的にはもっと巻数を重ねてその距離を詰めていくつもりだったのかもしれないけれど、三巻で片付けることになって性急に展開した結果、やっぱり足りないままで終わってしまった感がある。この距離を詰めきれていれば、ケータが本当は魔族の大元帥だったという秘密が暴露される展開にもっと劇的なインパクトが生じたんだろうけれど。
なんにせよ、伏線や幾つかの謎についてはきっちり清算したけれど、巻いて巻いての影響はやはり無視しきれなかったんじゃないだろうか、という結論。

シリーズ感想