我が驍勇にふるえよ天地2 ~アレクシス帝国興隆記~ (GA文庫)

【我が驍勇にふるえよ天地 2 ~アレクシス帝国興隆記~】 あわむら赤光/卵の黄身 GA文庫

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ボロロロスでの激戦を制し、吸血皇子の呼び名を名誉あるものへと変えつつあるアレクシス候レオナート。時を同じくして、大陸南部より憎き四公家の一角・グレンキースが挙兵したとの報せが届く。その大軍は名だたるブレアデト“教導”傭兵団に鍛え抜かれ、まさしく精強無比。レオ達はこの強敵を迎え討つべく南征を決意するが、その先で出会ったのは、四公家の手から逃れてきた幼い姫と白銀の騎士。二人がレオに求めた、唯一つの願いとは―?集えよ!誇れよ!レオナートの御旗と共にある栄光を!痛快にして本格なるファンタジー戦記、英雄女傑入り乱れる第2弾!!
やっぱり軍師がムードメーカーというのは新鮮だなあ。陰気とは言わずともその堅苦しさから決して陽気とは言えないレオナート。彼って生真面目である分、結構内向きに考え込む傾向があると思うんですよね。そんなレオナートに常に寄り添うシェーラはフォークロアという合言葉を用いながら、レオナーとの思考を外側に引っ張り続けてる。加えて、首脳陣の雰囲気が重苦しくなったら率先して場を盛り上げて空気を軽くするんですよね。そうして場が和んだのを見計らって、決定打となる策を食後のデザートみたいにポンと提示して見せるのだから堪らない。これだけ場を掌握し続けているにも関わらず、シェーラは常に主導権そのものはレオナートに任せ続けて、彼女の存在感というのは見事にレオナート軍のマスコットみたいなポディションに収まっているのである。レオナート軍の幹部連中も、シェーラに対しては一目置きながらもどうしてもマスコット的振る舞いやムードメーカー的な言動が強く印象に残っているのか、彼女に対する接し方に自分よりも遥かに頭の良い人間に対する気後れや敬意の類が殆ど見当たらないんですよね。それでいて、ある意味ただの軍師などより言葉が届きやすい心の距離感にとどまっている。
軍師シェーラのこれはレオナート軍の外部の方が徹底しているかもしれない。レオナート軍以外の人間にはシェーラという軍師の存在はほぼ知られてないんですよね。レオナートという恒星が眩すぎて、敵対した相手はついついレオナートにばかり目を奪われて、それ以外に意識が行ってないところが見受けられる。
これに関しては、レオナート以外の諸将に関しても同じかもしれない。ちょっと二巻の段階でこんなにたくさん居ていいの!? というくらい、綺羅星のごとく色んなタイプの将星が集まってるんですよね、レオナート軍。攻勢に強いタイプばかりじゃなく、アレン君なんか今回ちょっと渋すぎないかい!? と思うくらい通好みの用兵見せていましたし、あれアレンくんみたいな若造がやるような指揮じゃないでしょう、地味なのが逆にめっちゃカッコいいんですが。また、前回降伏した中から売り込んできて新しく軍に加わったトラーメ。これがまた、食わせものである分、いい仕事するんですよね。まともに戦っても実に粘り強い戦い方をするし。レオナートとその直属部隊が呂布みたいな無茶苦茶な攻撃力と機動力を持っている分、見た目の派手さは全部レオナートが持っていくんだけれど、他にレオナートに伍する将であるエイナムもどんと構えているわけで、これだけ土台のしっかりした指揮官と部隊が数揃ってたら、そりゃ強いしレオナートを自由自在に遊軍みたいに動かせるわ。シェーラも、これだけレオナート好き勝手動かせたら楽しいだろうなあ。
神出鬼没、いつでもどこにでも現れるレオナート作戦、あれは敵からしたらひでえ悪夢だわ。いやでも、直属部隊は最初から分散して配置しておいて、レオナートだけあっちこっち派遣して、という作戦は各個撃破の一番難点である最適な場面での戦力の集中というのをレオナートと騎馬のザンザスだけに頼れるわけだから、そりゃバンバン決まるってなもんである。トドメに、獣使いティキの鷹によってリアルタイムで敵の動きを把握できてるんだから、シェーラやりたい放題である。
やっぱり戦記モノというのは個人の無双ではなく、群像劇として主人公以外にも推すことの出来るキャラが居たほうが、それもたくさんいた方が盛り上がるんですよね。
グレンキースの係累となるレオナートの妹姫や、彼女の脱出行を助けることになり彼女の騎士となるクルスという、実にこう堪能しがいのある味方勢力も出てきましたし。ってか、姫様可愛いなあ。あの公爵からどうしてこんな孫娘が、という聡明さと行動力を備えた賢姫なんだけれど、クルス相手にだけ恋するポンコツ姫になっちゃって、もう可愛い可愛い。

1巻感想