うわぁぁ、ラストテンションガン上がりですよ。ここでOP持ってくるかー! 
こういう演出、大河ドラマじゃ初めてなんじゃないだろうか。年間通してただ一度、ここぞこの時をずっと待っていたのか。一番最適な機を見計らっていたのか。モノの見事にクリティカルヒットされましたよ。
真田丸というタイトルからして、ここを狙っていたとしか思えない。
素晴らしいなあ、素晴らしいなあ。

真田信繁の出城築城に関しては、同じ場所に後藤又兵衛が先に出城を築こうとしているのをねじ込んだという話があった記憶があるんだけれど、この又兵衛とのネゴシエーションはその逸話を解釈したものだろうか。交渉というよりも、自分の出城構想のプレゼンみたいなものだけれど、又兵衛がまたえらいその出城の構造を気に入って、快く譲ってくれたわけだけれど、作って自分に守らせてよ、とか言い出さないかと思うくらい面白がってたなあ。
又兵衛については、あとで牢人衆の不遇な扱いに不満を覚えて城を出ようとした時、毎回源次郎のこと誘いに来るくらい、なんか打ち解けちゃって。最初は明石殿や盛親くんが隣のポディションだったのに、場内を移動しつつ臨戦態勢に入っていく大坂城の様子を描くときも、ずっと又兵衛が源次郎の隣にくっついてるんですよね。
でも、考えてみると肩を並べて戦う同格の戦友って、源次郎初めてじゃなかっただろうか。その意味では、毛利勝永も含めて、牢人五人衆って源次郎にとって初めての仲間たち、になるんだよなあ。そう考えると感慨深い。

しかし、出城築城に関してまで横槍が入るとは思わなかった。大蔵卿局はともかくとして、有楽斎はここまで徹底して牢人衆を縛る方向で動いているのを見ると、完全和睦派か或いは徳川のスパイと見たほうがいいんでしょうなあ。まともに働かせるつもりも豊臣家から感じない、となれば牢人たちは城に籠もる理由もないんですよね。そりゃ、もう城から出ようぜ、となるのも無理からぬこと。
もしここで、毛利・後藤・長宗我部の大物三人が退城したら、というか自分たちに対してこれほど蔑ろな扱いしかされないことが決定されてしまったら、他の牢人たちも雪崩を打ってみんな出ていってしまうでしょうし、そうなると必然的に篭城どころか戦うことすら難しいことになってしまうわけで、必然的に実際に槍を交える前に大坂城は開城せざるを得ず、状況はある意味穏便に済むことになるんですよね。豊臣家も存続できるかもしれない。
それを狙っていたとしたら、有楽斎大したものなのですが。
大坂城の現実務トップの大野治長がもう思いっきり牢人サイドに肩入れしてしまって、勝手に出城の築城もゴーサインを出してしまう始末。
「腹を据えもうした」
こう言い切って、奥にも秀頼にも話を通さず、事を進めさせる大野修理がもうどこまで株を上げるんだ、と。
まあ、それもあとで覆ってしまうのですが。
でも、出城築城を許可した件を無かったことにしてしまったのも、あれ自分の立場を守るためとか上におもねったのではなくて、源次郎の立場を守るためであると同時に秀頼の命令だから、という点は一貫してたんですよね。なので、失望はしなかったなあ。修理殿、秀頼の命令こそが至上、とい点に関しては本当に一貫してるんですよね。かといって融通がきかないわけではなく、秀頼に情報伏せたり命令をでない状況にしたりもしてましたし(これ、視点を変えれば佞臣のやり方でもあるんですけどね)、あの秀頼を源次郎の作った出城に連れ出して、そこで源次郎が絶対に豊臣を裏切らないという言葉を聞かせたの、あれ大野修理の働きだと思うんですよねえ。忠臣だ、忠臣だよ修理殿は。

話は戻りますが、信之兄ちゃんのところを出奔した作兵衛がようやく到着。そう言えば、徳川に仕えることになって以来、信之兄ちゃんをはじめとして家臣一同、みんな月代を剃ってたのに作兵衛は一人剃ってなかったんですよね。あれは、彼だけは徳川の臣下にはならないぞ、という見た目からの表明だったのか。

一方の兄ちゃんはというと、文通相手だった小野のお通さんを江戸まで呼び寄せて、お香セラピーして貰ってるじゃないですか。これを浮気というのはちょっと厳しいと思うんだけれど、妻にも明かせない心情を赤裸々に吐露してしまっているわけで……そうかー、兄ちゃん大名になってもなんも嬉しいなかったのか。別に家族を踏み台にしたわけじゃないのに。あれは、敵方についた家族を絶対に助けるための策だって、兄ちゃん自分で言ってたのに。真面目で優しい男だなあ。だからこそ、疲れた精神が体のしびれとなって出てしまっている、と。
となると、作兵衛にとどめを刺そうとした時に腕がしびれてしまったのも、あながち偶然ではなく心の悲鳴が体と意思を止めたのかもしれない。

でもさ、兄上。お香とか、思いっきり奥さんに浮気がバレる一番のパターンじゃないですか?
元々、嘘とか全然つけないタイプなのに。稲さん、目がキラーンと光ってましたよ?


ちょっ、お松姉さん、記憶喪失ネタじゃなくて阿国一座に居た過去をここで持ってくるのか!! 信之兄ちゃんに頼まれて、信吉・信政兄弟に伝言を伝えに来たものの、陣中まで近づくことができずに難渋していたところ、徳川の陣を慰問で回るという阿国一座と再会……って、何十年かぶりにもかかわらず、阿国さん変わってねえ!! と思ったら、服部半蔵と同じく代替わりして二代目だったの!?
ともあれ、元一座の縁を頼って、再び踊り子にしてもらって陣中に潜入するお松さん。そう言えば、小山田茂誠義兄とお松さんが再会したのって北条戦後なんで、踊り子姿のお松さん見るの茂誠殿は初めてなんですよね。なんか凄いキラキラした目で奥さん見てた茂誠殿にほっこりしてしまった。こちらもいい加減年寄り夫婦にも関わらず、未だ仲のよろしいことで良いことです。
いやあ、お松様、伝言間違えるんじゃないかとハラハラしながら見ていたのですが、ちゃんと兄ちゃんの伝言どおり伝えてくれて良かった。場合によっては逆に最前線に突っ込め、とか言い出しかねないなあ、と思っていたので。
しかし、戦に対して意気軒昂だった信政の方は納得できず、憤激しながら場を飛び出していってしまう。これは、あとあと問題になりそう。

さあ、自ら源次郎の出城に出向き、その忠誠を信じて築城を許した秀頼公。その旨を母茶々に伝えて、許さないと起こる母に、自分が決めることと言い放って背を向けるんですね。
目を潤ませながら、母を振り切る秀頼公のなんと美しいことか。ようやくの、男の母からの自立である。そんな息子の背を見送る茶々さまが、驚きから徐々にふんわりと笑みを浮かべて噛みしめるように口元を綻ばせたんですよね。ああ、茶々さまが母親の顔をしておられる。
子の成長を喜ぶ、母の顔だ。

一方、徳川の陣では家康公がお怒りですよー!
源次郎が勝算の一つとして幕府軍が戦の経験のない連中ばかりだ、という話、一番実感しているのが徳川家康その人なんですよね。実際、こいつら全然ダメじゃ、と大坂の陣での世代交代した徳川譜代の見る影も無さに嘆いたという話もありますし。
不甲斐ない若者たちに、自ら仕寄りのやり方をやってみせるおじいちゃん家康。一緒になって躍動する本多佐渡。いやいや、家康様だけじゃなくて本多佐渡守さま、あんたこそ家康公よりも年上で足腰もフラフラだったはずなのに、家康に名前を呼ばれた瞬間、ピンと背が伸びて、盛り土の上に飛び上がって、キビキビと跳ねるように動き出した本多佐渡がもうなんというか……可愛いッ!
ほんと、このコンビ好きだわー。最近は親子で側に侍る相手を入れ替えてましたけれど、やっぱり家康正信コンビは最高ですわー。
そして、そんな年寄りの冷や水に頭を抱える秀忠くん。ああもうなにやってんですかっ、という秀忠の表情がなんともかんとも。でも、親に対してそういう顔するのも愛情なんですよねえ。年を考えずに頑張ってしまってへたばってしまった家康に、仰げと言われて、「はいはい」と扇を出して仰いであげる秀忠、ちゃんと良い息子してますよ。
でも、へたばっていたのもつかの間。城内からもたらされた豊臣勢の配置図に、真田の出城の存在を見つけた時に、家康公の表情がキュッと引き締まって精悍な戦国大名のそれに戻るんですよね。
あそこには、家康の凄みが出てたなあ。

そして、幕府方陣中では久々に伊達政宗と、そしてお館様・上杉景勝と直江兼続の主従の姿が。お館様、関が原に負けて以来、ずっと傾きっぱなしなんですけれど、治らないんですかその角度w
そんなお館様、伊達に教えてもらうまで源次郎が大坂に入場したことを知らなかったのか。
「……源次郎が?」
と呟くお館様の痛切な表情が、もう痛ましくて。


ラスト、これまでずっと大掛かりな合戦を描かず、貯めに貯めた資金がここに炸裂。ついに、ついに真田丸の誕生である。あの最後の真田丸の俯瞰で映した光景がまたゾクゾクするほど物凄くて、源次郎の名付け
「決まってるだろう。真田丸よ!」
からのOPどバーーンとスタート。
これはもう、大河ドラマ史に延々と語り継がえる名シーンとなるでしょう。それをリアルタイムで目の当たりにしたこの感動。忘れられないものになりました。

さあ、ついに最後の合戦、大坂の陣が開幕です。
丁度、アメリカ大統領選ではあり得ないと言われたトランプが勝利したのですが。
トランプが勝つなんて現実で起こり得ないはずだった大ドンデン返しが起こるなら、今年の豊臣だって勝ってもなにもおかしくないじゃない!!

……ただし、相手はヒラリーじゃなくて、徳川家康・秀忠だけどね!! おぉぅ。