超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!  4 (GA文庫)

【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 4】 海空りく/さくらねこ GA文庫

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北部四領を帝国の圧政から解放し、民主国家“エルム共和国”の樹立を宣言した超人高校生たち。人々が新たな時代の到来に歓喜する中、帝国から休戦の申し入れが届いた。図らずも訪れた平和な時間。リルルと林檎の恋の直接対決が勃発したりしつつも、超人高校生たちは国家としての体裁を急速に整えていく。そんなエルムの大きな柱となるのが独自通貨の発行。勝人はエルクらとともに経済の安定のため、周辺国家との通商会議に臨むが―!?「ここから先は俺の流儀でやらせてもらう」地球最高の実業家がついに本気を見せる!?異世界革命物語第4弾!

いや、この場合ルー子の思考パターンは国益を賭けて交渉する立場の人間としては真っ当ですらある、と言ってしまうとさすがにブラックなんだけれど、それが当たり前な世界だからなあ。その意味では新国家エルム共和国の政府中枢たる大臣・官僚となっていくだろうエルクたちは、才能や資質はあってもまだ経験が全くなく純朴でありすぎるんですよね。それでは、生き馬の目を抜く世界ではやっていけない。その意味では、早いうちに自分たちがフォローできる段階で痛い目を見ておけ、という司や勝人たちの方針は正しいといえるのでしょう。少なくとも、このピンチによってルー子の濁な意見を飲むだけの見識を得たわけですしね。それでも、まだまだ圧倒的に足りなかったわけですから。
でも、勝人はこれだけ他人に任せられない性格だとあんまり人を育てられるタイプじゃないんだろうなあ。それでも、ルー子みたいな子をちゃんと拾って鍛えることは出来ているんだけれど、いざとなると自分が出張って自分で全部解決してしまいたいワンマン気質だと、周りがもし育ってもそれが頭角を現しだすと決定的なところで対立しだす気がするんですよね。ワンマン社長が一代で大きくした会社の少なくない数が、次代との衝突で躓く過程を辿ったように。特にルー子は逸材であり勝人と似たタイプなだけに育った時に勝人と共存できる気がしないのよねえ。
他に類を見ない化物揃いの超人高校生たちだけれど、こうしてみると完璧超人とは言えない結構な粗も内包してるんですよね。葵なんか、戦闘担当なのに弘法筆を選びまくる、が如く使える武器が限定されていて、それが使用不能になると戦力半減って、ちょっと能力がピーキーしやすぎませんかね!? 戦闘超人なら、笹の葉でも真剣と同じようにスパスパ切りまくれる、くらいの強さだと思ってたのに。
帝国側に、自分たちと同じく異世界から来た人間が国家の最高幹部クラスに居座っている、ということが発覚して、余裕余裕とか言ってられなくなってきましたし、むしろ国を作ったことで足かせも増えてきて、なかなか難しいことになってきたなあ。
ぶっちゃけ、帝国を潰す、ということが目的なら今回の勝人の仕掛た経済戦で帝国、息の根止めることも出来たかもしれないんですよね。結果として、帝国の貨幣経済が壊滅して経済的な焼け野原が現出する阿鼻叫喚の地獄絵図になったとしても、ですけれど。
いや、そこまでやらかしてしまうと、エルム共和国だって波及効果でただで済むとは思えないのですが。その意味では、勝人は無茶やらかしたよなあ。事前に、司にセーフティネットになるように頼んでいた、というあたりは冷静なのかもしれませんけれど、彼のこの気質は商売人とか経済人とはまた異なるような気もするんだけどなあ。
明確に、いずれ司とは袂を分かつ素振りを見せている勝人ですけれど、彼に限らず実のところ他の高校生ズからして司の掲げているエルム共和国の理念に諸手を挙げて賛同しているか、というと微妙なところではあるんですよね。あくまで司への個人的友誼とエルムの人達に対する信義と好意からで、共和国の理念に対してはあんまり関心ないんじゃないか、という態度が結構見え隠れするわけで。まあそこは、政治家かそうじゃないか、という立場と視点の違いもあるでしょうし難しいところか。でも、歩む道が別となる理由としては十分でもあるだけに、今後どう取りまとめていくかには興味が尽きぬところであります。

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