絶対城先輩の妖怪学講座 八 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 八】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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絶海の孤島を舞台に、妖怪博士・絶対城が「ダイダラボッチ」の謎に迫る第八巻!

「のっぺらぼう」の力を持ち、真怪でもある妖怪学徒の桜城晃(さくらぎあきら)。彼女が四十四番資料室に持ち込んだ女神像は、「ダイダラボッチ」の謎に迫る手掛かりだった。
すぐさま御場島(おんばじま)と呼ばれる絶海の火山島へ向かうことを決める絶対城と晃。そんな二人のやりとりを見た礼音(あやね)は、女性として、そして絶対城のパートナーとして、晃には遠く及ばないと感じてしまう。
火山島へは一緒に行かないと宣言した礼音は、杵松(きねまつ)と一緒に織口(おりぐち)の「二口」の治療を行ったり、一人でオカルト絡みの相談を解決していく。
そんな中、島にいる絶対城との連絡が途絶え──。
こ、この二人は……。もうね、いい加減両思いにも関わらず、恋愛に対して不器用とか恋愛ベタを通り越して、パソコン触ったこと無いのにいきなりパーツだけ揃えて与えられて、はい自作してみて、と言われた人みたいに「????」が乱舞してるんですが。
ただの無自覚なら自覚認識したらある程度でもなんとかなりそうなんだけれど、絶対城先輩にしても礼音にしてもそういう文化が一切自分に関わらないところで生きてきたもんだから、鈍いとかそういう段階じゃないんですよね。まず、「恋愛」という概念が自分の中にも結実しえるものなのだ、という現実を知覚しないことには始まらないんだろうなあ。ほんと、今の段階だと自分の中に生じている感情についてアホみたいにポカーンとなりながら「???」と首を傾げて右往左往してるばかりだし。これには、ライバルを自称したい晃にとっても苦笑モノなんだろう。現段階においても戦いようがないし、もし礼音が本当の意味でライバルとして機能してしまったら、その瞬間勝負は決してしまうのだろうし。
まあお互い何にもわかっていない状態でも、手探りと本能でわりといい感じに甘酸っぱいことにはなっているので、周りの人たちもおせっかい焼く必要もないでしょうし、みんなこれに関しては結構放ったらかしだよねえ。あの絶対城先輩の礼音への過保護っぷりを見たら、要らんこともしたくなくなるか。絶対城先輩、最初の頃は率先して礼音を引っ張り回してけっこう危ないことにも首を突っ込ませてたのに、今となっては晃さんに巻き込まれただけでも、血相変えてるくらいだし。最近、いちいち礼音への反応がお可愛いんですけど、先輩w
うんうん、こうなると杵松さんにしても織口先生にしても、いい意味でも悪い意味でも余計なことはしないタイプですしねえ。その意味では、率先していらんことをしたがるだろう晃さんをぶっ込んだのは、刺激を与えるという意味においては重要だったのかもしれないけれど、礼音は反応せんからなあ。それでも、モヤモヤ抱えてくれるだけまだ自意識に進展があるのだろうか。
ともあれ、今回のお話の主題はダイダラボッチである。なにかと巨大化ネタを投入してきた本作だけれど、これぞとびっきりも良いところの原典からして超巨大幻想体だもんなあ。それをどう扱うのかと思ったら、まさかの巨大化からの逆回転捻り。
また、最近ちょっとおとなしかった織口先生の悪女っぷりがフル回転していて、個人的には大いに堪能させていただきました。織口先生はやっぱりやりたい放題やってくれてた方がいいですわー。この人が頭抑え込まれておとなしくしているというのは何故かストレスが溜まってくる。だけに、自身のしがらみやら織口先生らしくない生き方を強いられる境遇に対して、快刀乱麻をバシッと断ってくれたのは痛快でした。この人って敵に回すよりも味方してるときの方が頼もしいというなにげに珍しいタイプだし。
ってか、この作品って味方黒い人たちばっかりのような。絶対城先輩と礼音のカップルが一番素直でピュアな気がしてきたぞ