魔法少女育成計画 QUEENS (このライトノベルがすごい!文庫)

【魔法少女育成計画 QUEENS】 遠藤浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい!文庫

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着々と進行するプク・プックの「魔法の国」救済計画。多大なリスクを孕んだその計画を阻止するため、そして囚われの身となったシャドウゲールを救い出すため、プフレは記憶を失ったまま起死回生の一手を打つ―。TVアニメ化された話題のマジカルサスペンスバトル『魔法少女育成計画』のシリーズ最新作がここに登場!「魔法の国」と自らの運命を賭けて、魔法少女達が激突する!

はぁぁぁぁぁぁ……。読み終わったあとのこのため息の重さ。何気に喪失感という意味ではシリーズ屈指だったんじゃなかろうか。これさ、スノーホワイトに対して厳しすぎやしないだろうか。彼女相手に限らないんだけれど、彼女に対する仕打ちというのはこれ酷いなんてものじゃないでしょう。たださえ魔法少女狩りなんて業を背負っている彼女に、これだけの罪まで背負わせて、いくら修羅とかしたスノーホワイトだっていい加減潰れるぞ。ただでさえ、リップルの件でいい加減ひしゃげ掛けていたのに、さらにこれである。ある意味リップルと同じ立場に立ったといえるのかもしれないけれど、今回の一件はラ・ピュセルやハードゴアアリスが願ったあるべき魔法少女としてのスノーホワイトを決定的に終わらせてしまったんじゃなかろうか。スノーホワイトが故人たちが願った魔法少女たり続けられなくなってしまったんじゃなかろうか。
これ、前回のリップルの絶望の繰り返し、いや重ね塗りじゃないか。
このシリーズの片方の支柱であったスノーホワイトがこんな状況に置かれてしまったのもどうしようもない絶望にも関わらず、それで済まさない作者の腐れ外道っぷりがもう泡吹きそうなくらい素晴らしいと言えばいいんですかもう!!

思えば、彼女は一度たりともブレなかった。迷わなかった。目的のために一切譲らなかった。その揺るぎなさは、やり口のダーティーさや手段を選ばなさからも真意がわかりにくい部分もあったのだけれど、振り返ってみると常に常にただひとつだったんですよね。ただただ、その娘を守るためだった。その為に他者を陥れ、権力を手に入れ、立場を作り、環境を整えようとしていた。
魔法少女たちはみんな迷い悩み苦しみながら自分の進むべき道を後悔や絶望をたたえながら追い立てられるように進んでいる。やがて、自らの意志で立ち上がりあるき出したとしても、そこにはいつだって七転八倒するような痛みを抱えながらのことだ。修羅とかしたスノーホワイトですらそれは変わらない。彼女がこの巻でもらした弱音は、地獄の釜のそこで漏らす悲鳴のようなものだった。
そんな中で、彼女だけは一切一切ブレることはなかったのだ。その揺るがなさは、ある意味シリーズに登場していた数々の悪役、黒幕たちと同じだったのかもしれない。敵の敵たる彼女たちは、嬉々としておのが嗜好や信念にすべてを傾けていた。
それと同等、匹敵するほどのゆらぎのない信念として、カノジョはそれを抱えていたのだと思えば、カノジョが味方であったというのはどれほどの安心感があったか。何を考えているかわからない、何を企んでいるかわからない、という要素は常にあり、決して信頼できる人物ではなかったかもしれないけれど、これもカノジョの言動を振り返って見るならばカノジョは常に約束を守り、親身ではなかったかもしれないけれど仲間となった相手の身の安全は常に守ろうとし、それが果たされなければ悔みを噛み締めていた。
振る舞いが悪しといっても、決して根からの悪ではなかったのだ。それもこれも、終わってみれば、の話なのかもしれないけれど、どれほど信じられなさそうな人物であっても、信じるに足る人物だったのだ。
であるからこそ、それが失われた時のこの絶望と喪失感は、今までに類を見ない。
彼女のファンだった。彼女の信徒だった。彼女が好きだった。故に、もう目の前が真っ暗だ。
最初から最後まで、自分勝手な人だった。好き勝手やりたい放題の人だった。相手の気持ちなんか考えてない、いや考えた上で無視してのける酷い人だった。控えめに言ってろくでなしだった。自分が良ければ良い人だったのだ。これで、自分を至上に置くような輩だったら、何の憂いもなく軽蔑できる人だったのに。しかし、最低である。最低のろくでなしだ。
プレミアム幸子の契約書は正しくその副作用を執行した。幸運のしっぺ返しは正しく作用した。あの子が一番大切に思っていた相手は、洗脳したプク・プックだったかもしれない。でも、それ以上に大切に思っていた相手がいた事は、しっぺ返しがあの子にとって最も無残で残酷なやり方でその相手に見舞ったことでも明らかだろう。
彼女にはその自覚があったのだろうか、なかったのだろうか。あったにせよ、なかったにせよ、わかっていたにせよわかっていなかったにせよ、残酷で無神経でろくでなし以外のなにものでもなかろう。

このシリーズ、さすがに以前ほどにザクザクと名前ありの魔法少女が死んでいくことは……いや、結構ザクザクとは死ぬんだけれど生き残りがわずか数人という有様にはならなくなってきたんですよね。かつての惨劇の生き残りが、レギュラーとして参戦するようになってから、生存強度は確かにあがっている。でもだからこそ、あれだけの惨劇を生き残った娘たちが、やっと生き残ってくれた娘たちが、それだけ思い入れがある娘たちが潰える時のダメージはこれまでの非ジャないんですよね。一人ひとりの死が痛切すぎる。痛すぎる。
それでもなお、受け継がれる意思があり、どん底から這い上がる進化があり、新たなる修羅の誕生があったりもするのだけれど……。
本作のサブタイトル「QUEENS」というのはきっと象徴でもあるんだろうなあ。復讐を超えて、引き継がなければ、成し遂げなければならない遺志がある。
ここに、女王は誕生した。それが何を成し遂げるか、魔法の国の暗示された終末と、暗躍するフレデリカにラズリーヌ。次巻、スタートからどう考えてもどん底に近いよなあ。まだ何人か意気軒昂な人たちがいるにせよ。
こうなると、もう誰が最後まで生き残るかも油断できなくなってきて、本当もう鬼畜すぎ!!

シリーズ感想