折れた聖剣と帝冠の剣姫(4) (一迅社文庫)

【折れた聖剣と帝冠の剣姫 4】 川口士/八坂ミナト 一迅社文庫

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パルミアの第一王女アルトとの同盟は決裂し、再び独力で国作りを進めることになったルシードとファル。近隣諸国からの移民受け入れを増やし、徐々に勢力を増しつつあるアスティリアに懸念をいだいたルシードの祖国カーヴェルは、いまならば一戦交えればルシードらを滅ぼすことができると判断し、急な派兵を決定した。アスティリアに迫るカーヴェル王国の軍勢。その先頭にはルシードのかつての忠臣ライサンダー将軍の姿が。ルシードたちは経験豊富なライサンダー率いる軍勢を相手に己の国を守り抜けるのか!?
ほとんど一瞬しか登場しなかったライサンダー将軍の奥さんだけれど、その一瞬で全部持ってっちゃったんですけど! インパクトが強烈すぎる!!
元々貴族のお嬢様だったのだけれど、身分の割に行動力が凄い。と度々語られていて、人質にとられたあとも宰相の脅しにも屈しない毅然とした様子を見せていたので、若干アグレッシブなところのある活発な人なんだろうなあ、と特に意識もせずに思ってたんだけれど……ライサンダー将軍、行動力の言葉の意味間違ってませんか!? 完全にアレな人じゃないかっ。あのコンスタンスをあんなにビビらせた人初めてみたぞ。
でも、ライサンダー将軍のあの生真面目すぎて男女の機微に関しては疎そうな性格と奥さんのあの性格はマッチングしやすかったのかもしれない。ライサンダー将軍、奥さんの特異性を目の当たりにしていてもそれが異常なの全然気付いてない感じがするし。この調子だと、家でもメイドさんの類い居なかったんじゃなかろうか。
さて、今までで一番の危機を迎えることに成ったアスティリアだけれど、今まではパルミアとカーヴェルがルシードたちの行方を把握しておらず、国際情勢的にも軍を派遣できない状況だったからこそ悠長にやってこれたわけで、領土が二百人規模の村一つだけという状態で軍備どころか国らしい実態もない状態でまともな軍勢に攻め込まれてきたら、そりゃあどうしようもないわけでけっこう綱渡りではあったんですよね。
それでも、今までなんとか上手いこと立ち回ってきたわけだけれど、故国の簒奪者たちも早々見逃してくれているほどの無能者ではないわけで、この苦境はいずれは覚悟しないといけないところだったわけだ。
ヤバさで言えばパルミラのクログスター卿の方が人間ではないという怪しさも相まって黒幕感たっぷりなんだけれど、ルシードの故国のカーヴェルの方だって国を乗っ取った宰相も、王族を監禁してなお国を平穏に保って実権を得ているほどの人物なんだから、油断ならない相手だったんだわなあ。
でも、小物とまでは言わないまでも、あの妹姫コンスタンスに手綱をつけれるほどではないよなあ、これ。ライサンダー将軍を人質なんて使って言うこと聞かせようとしたり、とわりとせこせこしいてるところも見受けられるし。油断はならなくても、そこまで脅威ではないか。むしろ、ロンガヴェル将軍の方が一癖も二癖もあって怖い感じがある。軍略家としても将軍としてもルシードやファルと同レベル以上っぽいし。今回はなんとか打ち払えたけれど、あれはロンガヴェル将軍が竜という存在に対して殆ど知らなかったがゆえで奇策もいいところ。二度は通じなさそうだし、戦略的にはほぼ完敗でしたからねえ。ルシードの作戦も、戦う前から既に対応策の範囲内で収まってしまっていましたし。これは手強い。
アスティリア国、士官クラス以上は凄まじく充実しているのだけれど、とにかく兵数が全然いないのがネックなので、さてこれからどう人数増やしていくのか。今回の移民受け入れ計画が端となるんだろうけれど。
ルシードとファルの仲は、前回思いが通じ合ったのを気に、もうファルの方がデレッデレになってて以前からルシードには甘い所あったけれど、完全に浮かれてますねえ姫様。ルシードが相変わらず性欲にあっさり屈するあたりは笑ってしまいましたが。

瀬尾つかささんのシリーズも一迅社文庫では一端区切りとなってまた違うところで再スタートするのと同じく、本作もどうやらここで一端区切りとしつつ終わりじゃなくて、違うレーベルで出るようなことがあとがきに記されていたので、取り敢えず打ち切りじゃないみたいで一安心。
どんどん戦乱の気配が広がってきていて、面白くなってきたところですからねえ。


シリーズ感想