男装騎士の憂鬱な任務 (2) (角川ビーンズ文庫)

【男装騎士の憂鬱な任務 2】 さき/松本テマリ 角川ビーンズ文庫

Amazon
Kindle B☆W

一難去ってまた一難―。えっ!?今度は妹を紹介!?男の騎士“オディール”として弱小国の王子クルドアに仕えている少女オデット。つつがなく男装騎士生活を送っているオデットに、次なるトラブル発生!騎士団仲間から“妹”を紹介しろと迫られ、更にはヴィルトルの国宝が盗まれる事件も起きてしまい―!?
「可愛らしい騎士オデット・ガーフィールドを見せてやる!」
ドタバタ男装任務第二巻!
女性の騎士が認められていない国ヴィルトルに婿入りすることになった王子クルドアについていくことになった少女騎士オデットは、兄の名前を借りて騎士オディールとしてヴィルトルで働くことになったわけだけれど、なんやかんやでオディールに男装して扮したオデットが、今度は女装してオデットに扮装することに、というわけのわからん状況に。
いや、シンプルにオディールからオデットに戻った、と言ってしまえばいいんだけれど、ニュアンスがどうしてもオデット→男装→偽装オディール→女装→偽装オデットという捻くれた感じになってしまってるんですよね。何しろオデット当人の実感からしてそんな風になってしまっているし。
実家の本物のオディール兄様が、何故か姉様になってしまっているっぽいのも拍車をかけてしまっているわけで。まあ本物のオデットが単発で、女装したオデットが長髪のウィッグをつけている、というのも変装感を高めているのでしょうけれど。
まー、それにしても相方のフィスターが見事なまでにポンコツにw
まあコヤツ、第一巻でも盛大な勘違いを炸裂させて、見当違いのことをやらかしまくっていたので実はポンコツなのはわかっていたのですが、女の子バージョンのオデットを見た途端機能停止して見事な役立たずと化してしまったのには笑うしか無かったですなあ。オデットからも駄目だこいつ、的な扱いを受けだすし。いやもう実際普通なら一瞬だけで我に返るのに、フィスターときたらしばらく見事にアッパラパーになってたから仕方ないんですが。
まあでも、オデットも大概脳筋な娘さんなんで、ポンコツ騎士とはいい具合にお似合いなのですが。オデットよりも脳筋で喧嘩っ早く気が強いっぽい妹騎士の方が、姉とかした兄並に見てみたいところですけれど。ガーフィールド家が魔界すぎるw
ともあれ、女性はおしとやかに、という固定観念に縛られたヴィルトルという国で、騎士として認められたいけれどちゃんと女性としても認めて欲しい、というオデットの葛藤は騎士としても女性としても妥協しない毅然とした姿勢で好ましいものでした。故国では、その騎士らしさと女性らしさの両立は何の違和なく認められていただけに、騎士として振る舞えば女性としての在り方を封じられ、女性として振る舞えば騎士と認められない、というヴィルトルはやっぱり窮屈なんですよね。でも、そうした固定観念を除けばヴィルトルの人たちは騎士仲間も含めて良い人ばかりだし、過ごしやすい環境だけに、余計に自分の中の大切なものを抑え続けるというのはストレスで、だからこそその両方をちゃんと認めて尊重して、同じように大切にしてくれるフィスターは、秘密の共有者という以上にオデットにとっては大切な存在になっていたのでしょう。
ってか、今回はオデット、女性騎士オデットをやっていたせいか、普通にイチャイチャしているようにしか見えなかった。フィスターが意識しすぎ、と突っこっみたくなる部分も多々あったけれど。
むしろ、前はなよなよしたところが見受けられたクルドア王子が婚約者の姫様を守る立場にたったせいか凄く精神的に大きくなられて、女の子にも見える可愛らしい顔で凄くカッコイイ男らしい姿を見せるようになったので、なんか余計に倒錯感がマシてるんですがw
いやうん、フィスターなんかよりずっと男らしくてカッコよかったですよ、王子。
しかし、折角女性騎士としてのオデットの活躍できる機会だっただけに、これを利用してもっと女性騎士を認められる雰囲気を作れればよかったのだけれど、あんまりそういう方向には行かずに、オデットの正体も有耶無耶になってしまったのはちと残念。そろそろ、他の仲間に正体バレてもいいんじゃないかとも思うのだけれど。

さき作品感想