皮肉なことに、マクギリスが標榜した世界も、オルガたちが望んだ世界も、ラスタル卿とクーデリアが実現してのけたのか。彼らが世界を動かす力を手に入れるきっかけとなれたのなら、マクギリスや鉄華団の存在もまた無駄ではなかったのかなあ。
個人的に、絶対死ぬだろうと思っていたメンツの殆どが生き残れた、という時点でミカとアキヒロは見事に仕事をしてのけたと思うんですよねえ。実際、おやっさんやダンテ、デインあたりはまず死ぬだろうなあと思ってたんだが、逃してのけたもんなあ。

しかし、ガンダム作品で主人公が死ぬのって今まであっただろうか。OVAならともかく、TVシリーズではちょっと覚えないよなあ。ただ、ミカヅキのキャラクターからして生き残ることがなかなか想定しづらい、奇しくもジュリエッタがラストで語ったような、戦うことでしか生きることのできなかったキャラだけに、当初から死ぬことも予想できる主人公であったんだけれど。ミカがこんなだからこそ、オルガの方が死なんのでは、とも思ってたんですけどね。
始まった頃は、まだミカ、農業について関心をいだき続けていたんでそっち方面で生きつづけることもあるのか、と思ったけれど、もうバルバトスと一体化した頃からポイント・オブ・ノーリターンだったからなあ。
逆に、敵のボスにも関わらず生き残ったラスタル卿。生き残ったどころか、このクーデター鎮圧の功績をもって、まさに世界を主導する地位を手に入れたのだから、大勝利ですよねえ。ラスボスがこういう形で生き残るガンダム作品、というのもなかったよなあ。これはガンダムに限らないかもしれないけれど。
まあ、ラスボスとイイつつ、ラスタル卿はわりと一貫して思想的にはむしろ組織改革を志しつつ穏健保守であり、利権を許容しつつも、自身の必要以上の権力拡大にはそれほど拘らない、という良心的実力派政治家という趣で、ここは戦後のクーデリアもそうなんだけれど、現実主義の理想家なんですよねえ。理性的で感情に流されず、現実を直視しながら理想を追いかけ、良き未来の為には汚濁を飲み、必要とあらば暴力を行使することを躊躇わないが暴力には頼らない、という実に真っ当な政治家。これが、地球・火星の両方の指導者についたわけだから、ラスタルにしてもクーデリアにしても以心伝心じゃないけれど、会話が同じステージで噛み合う相手ということで交渉相手としては最良の手応えなんだろうなあ、これ。

戦後の鉄華団のメンバーのその後の姿を見ていると、オルガが目指した団員たちが幸せに戦うこと無く生きていける生活というのを、見事にクーデリアが引き継いで成し遂げてみせたのがよく分かる。
第一期でミカヅキが心底感心していた、クーデリアの戦わずに成し遂げる力。これ、第二期ではまったく鳴りを潜めてしまっていたんだけれど、戦後世界で見事に手繰り寄せてみせたんだなあ。あれだけ鳴り物入りだった「革命の乙女」としての役割、二期では無為にきしてしまってたんだけれど、破壊による変革の旗手としてのそれはマクギリスが担い、クーデリアは理想の実現のために徹底して現実的に立ち回る泥を這いずる生き方を選んだんだなあ。
あれ、綺麗事だけじゃなく荒事だって経験しているはず。その彼女の盾として、矛として、そして隠然たる力の象徴として、ユージンたち鉄華団残党は活躍したんじゃないだろうか。ユージンなんて、もろにそのポディションっぽいし。鉄華団とのつながりって、クーデリアの経歴からするとスキャンダルな部分かと思ってたんだけれど、この様子だとむしろダーディーな権威と執行力として機能してるっぽいしなあ。
しかし、彼女の保護下、或いはコントロール下から外れてしまってテロ組織となってしまった連中も居るわけで。ライドがそっちに走ってしまったのかぁ。そうか、この子はミカのオルガのオーダーについての宣言を聞いてなかったんだよなあ。そして、彼がオルガの死の原因の一つとなり、その死を目の当たりにしてしまった業があるわけか。闇落ちの要素としては十分だよなあ。でも、オルガが最期に守った子が、平和になりつつある世の中を破壊しかねない要因となっていく、というのはまた皮肉な話だよなあ。
順調にアーブラウの政治家としての道を歩みつつあるタカキと、また対象的な道を歩んでいる。いつか、この二人が対決する展開にもなってしまうのかなあ。

おやっさん、メリビットさんと順調に子作りしやがって。このおやじ……。
ガエリオも、どうやらアインとの連結によって半身不随というミカヅキと同じような有様になりながらも、ジュリエッタといい雰囲気になっちゃってまあ。こちらもお幸せにー、という案件に。いやガエリオ、ほんと良い奴だからこういうやつが幸せになれたのは良かったよ。ジュリエッタも、思慮を覚え、世界の在り方を理解し、よい成熟の仕方をしてますし。
ザックがちゃんと、うちで雇うから、と言って遠回しに犯罪者だからと断ってたデインを捕まえて、一緒に会社やってる姿にもジーンと来てしまった。デインは絶対死ぬと思ってたもんなあ。
こうしてみると、アキヒロとラフタのように結ばれないまま終わってしまった人たちもいたけれど、比較的に幸せな結末に終わった人たちも多かったことに気付かされる。
白眉は、やはりラストシーンでしょう。
そうか、この物語、ラストはクーデリア×アトラのヒロイン同士結婚エンドかーw
どう見ても、アトラがママ、クーデリアがパパ、という結婚エンドである。一緒に暮らしている、という体だもんなあ。クーデリアが火星代表として忙しく飛び回っているにしても、帰るべき家はアトラと二人の子、暁がいるあの家なわけですし。
暁がまた、見事にアトラとミカの特徴を引き継いだ子で。いやあ、アトラが美人ママになってるのも驚いたけれど、二人によく似た子で。暁、クーデリアのおぱーい容赦なく触ってたなww

なんちゅうか、不思議というかヤクザ映画か新撰組血風録かわからんけったいな作品でしたけれど、なんだかんだと面白かったですよ、うん。キャラの扱い方にしてもストーリー展開にしても、定石を外した思いがけないものがありましたし。そもそも主人公のミカからして、今ままでにない主人公像でしたしねえ。
一番印象に残ったのは、ラフタのあのシーンでのアジー姐さん役の國立のあの叫びの演技でしたけどね。あれは本当に凄かった。
ワタシ的にはこれはこれでアリだったかなあ。