脚本・野まど

どーん!

野まどっすよ!!
最近著作を見ないと思ったら、こっちに携わってたのかー。
【[映]アムリタ】(メディアワークス文庫)でのデビュー以来、数々の大作にして怪作を手がけてきた小説家。
「野まど」としか言えない余人の追随を許さない唯一無二の物語を創り出す怪異のような物書き。
天才という存在を、人類の最果てという形で表現してきたこの作家が脚本を担ってるというんだから、そりゃあもう見るしか無いでしょう。

もうね、読むたんびに「茫然自失」どころか自分の価値観すらグラグラと揺らされて、ナニカがガラガラと崩れていくような感覚を味わわせられた身とすれば、このアニメ作品も絶対一筋縄ではいかないと確信してしまえるわけですよ。
現状だけでも、突如成田に出現したニキロ四方に及ぶ超巨大立方体、そしてその立方体に飲み込まれてしまった旅客機と250名を超える乗員乗客の安否を確かめるために、政府機関が全力でアプローチを仕掛けるというこの第一話だけで、スケールやら話のダイナミックさや、シンゴジラを想起させる若手官僚たちの躍動など、かぶり付きで視てしまう吸引力であり面白さなんですよね。そして、主人公であるエリート官僚にして超有能にして柔軟な発想の交渉官として活躍する真道という男と、まったく未知の存在であるヤハクィザシュニナとの交渉、いわゆる宇宙人とのファーストコンタクトもの、いや宇宙人どころか別次元の存在かもしれない知的生命、いや生命ですらあるのかも不明な存在と、いかにコミュニケーションを取り、ネゴシエーションしていくのか、というのがおそらくこの作品のテーマである、と捉えるのが普通だと思えるのですが……。

【[映]アムリタ】でも、【2】でも、そして【バビロン】においても前半の展開からは想像もつかない大崩壊、大壊乱、別次元にふっとんだようなあの凄まじい転換を目の当たりにした経験が、その当たり前を信じさせてくれないんですよね。
でも、何にせよ、何もかもが吹っ飛ぶにせよ吹っ飛ばないにせよ、もし当たり前に進んだとしても物語は血に足がついたものとしても尋常でない面白さであったことはこれまでも間違いないことだったので、さてアニメ脚本という今までと違う立ち位置ではありますけれど、野まどという異才をこの違う媒体で堪能できそうなのもまた間違いなさそう。
いやあ、すげえ作品がまた来よったわっ!! 

しかし、この第一話で一番「ひょっ!」となって怖かったの、あのラストシーンですよね。高さ2000メートルの断崖絶壁の端っこに立つとか、どんだけ怖いんだ。風とか凄いだろうに、落ちそうで落ちそうでひょっ!となりましたわ。

公式サイト見ると、ヒロインは内閣官房情報班の夏目女史でも、物理学者の品輪でもなくて、二話登場の徭 沙羅花の方なのか。この子、なんとなく【パーフェクトフレンド】の理桜みたいなタイプの匂いがする。まあ、実際どうかは出てきてから、なのですけれど。
品輪博士、まだ26歳っつー若さなんだけれど、この突拍子のなさからもこの子はこの子で天才枠なんだろうなあ。ただ、果たして「最果て」を突き抜けるタイプの天才なのかというと違う気配。でも、あのテンションは面白いなあ。
あと、知り合いがみんな真道の方ばかり心配していて、一緒に巻き込まれた部下の花森くんの方は一切誰も触れないのには笑ってしまった。いや、わかるんだけれど。しかし、夏目さん30歳なのかー。十分アリなのだけれど。



4150312729誤解するカド ファーストコンタクトSF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA ノ 4-101)
野まど
早川書房 2017-04-06

by G-Tools