魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 2 (HJ文庫)

【魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?2】 手島史詞/COMTA HJ文庫

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相変わらず、居城に引きこもりながらも不器用な共同生活を続けているザガンとネフィ。そんな彼らのもとに、新人魔王の力を奪うべく、全身を鎧で覆った魔術師が襲撃してくる。
いつものように撃退したザガンだったが、鎧の中から出てきたのは竜の少女・フォルだった。一方教会では、新たな魔王の出現に対し、竜を殺したこともあるという逸話を持つ聖騎士が赴任してきており――。
果たして不器用な魔王と奴隷のエルフは、にぎやかになった周辺にめげずに距離を縮めることができるのか!?
あらすじのキャラ紹介ではネフィ、ザガンに少しずつ好意を抱いていく、とか書いてあるけれど少しずつどころかすでにMAXHEART状態ですよね、これ!!
ザガンのこともう信頼しきってるし、気持ちも通じ合って以心伝心。時々甘酸っぺえと言いたくなるほど素直に甘えたりもするし、新婚夫婦さながらである。
ザガンの方も、うまく思っていたことを口に出せない、という一巻のときの悪癖がほぼ改善されて、かなり率直に思ったこと口に出来てるんですよね。ってか、ネフィのこと好きすぎることを公言しすぎてる、こいつ!
それに、元々善悪の区別に興味など持たないマッドな魔術の徒だったのが、魔王になったこととネフィという守る対象を得たことからか、兎に角生きるために一心不乱に魔術に傾倒していた余裕のない時期から、ある程度落ち着いて自分と周りを見回すことの出来る余裕が出来てザガンの素が出てくると、思いの外この男って善良というか、真っ当な心根なんですよね。ネフィと関係ない部分でも基本優しくて、思いやりある対応に終始してるんですよね。
ネフィがザガンのこと優しい人、と語るのも決して贔屓目じゃないんだよなあ。
フォルという竜の少女が襲撃という形で現れ、滞在することになるのだけれど最初の受け入れこそネフィの意向があったものの、その後の父性丸出しの可愛がりっぷりはネフィあんまり関係なかったですし。まあ、ネフィと自分の夫婦にフォルという子供、という家族シチュエーションにデレデレになっている部分もあったとはいえ。
いやもうこれ、誰から見ても普通に「良い人」だからね。
幾ら自分が原因だったとはいえ、教会から半ば追放されてえらい目にあってたシャスティルのこと保護したり、聖騎士を敵視しているフォルとの間を取り持とうとしたり、とか本来ザガンにゃ知らん顔しておかしくないことですしなあ。
これで本当に知らん顔されてしまってたら、ザガン庇って立場なくしてしまったシャルティスが可哀想過ぎたんですけど、一応気にかけて貰ってたことがわかっただけで報われた気になってるシャルティス、チョロいというかなんというか。いやもう、チョロい以前にシャルティスの方でほぼ勝手に堕ちちゃってるだけなんですが。聖騎士のわりに落ち着きなさすぎてポンコツで、メンタル豆腐だもんなあ、この娘。
ザガンだけじゃなくて、ネフィに友達として接してもらってテンションMAXになってるあたり、ボッチすぎて涙が出て来るw
ザガンのところで匿われてメイドさんやってるときの、あの常に半泣きでドジっ子という以前の無能全開を晒している様子とは裏腹に、これで聖騎士の中でも図抜けた実力の持ち主だった、というのは何気に仰天だったんですけど。あれ、場合によっては魔王になったあとのザガンでもヤバいんじゃないだろうか。
これぞ、ポンコツに聖剣、というやつなのか、なるほど。

シャルティス自身、どうやらこれから教会内部で在る派閥の象徴的な立場として矢面に立つことになる、いや彼女自身それを自分の意志で選んだのだけれど、これと決めたことなら教会の方針に逆らってでも譲らない、という鉄の信念を持ちながら、それで毅然としていられずにいつもベソかいて、貧乏くじ引いてヒーヒー泣いてる印象しかないこのポンコツ娘がこれからそんな立場でやっていけるんだろうか、とこれザガンでなくても心配になるわなあ。実力は別として、この娘はちゃんと見ていてあげないとダメな娘だ、という放っておけないカリスマが、シャルティス結構教会内部でも支持者多い理由なんじゃないだろうか。

魔王と呼ばれる魔術師の王たちと教会との対立を軸に描かれていくと思った本作だけれど、教会内部の派閥争いや竜と呼ばれる存在が詳細に語られることで、これ新たな方向に舵を切ってきた。
なるほど、いわゆる真の敵が存在するのか。これはザガンとネフィとの甘酸っぱい新婚生活のみならず、ストーリーラインもグイグイと進展を開始した感じ。

1巻感想