これね、原作三巻のクライマックスになるんだけれど、その三巻のあらすじがまた凄まじく印象的な文章なんですよね。

おかえりの声を、聞きたかった。ただいまを、きちんと、言いたかった。バターケーキを、食べたかった。それらの願いは、すべて叶った。帰るべき場所へ帰り、逢いたかった人に逢えた。だから。約束は尽きて。追いついてきた終末は、背後から静かに、少女の肩に手をかける。青年教官と少女妖精の、儚く輝いた日々。第3幕。



ラーントルク、ほんとクトリより年下とは思えんなあ、このシットリした雰囲気。並んで座っているのを見ると、微妙にラーンの方が全体のサイズがこじんまりしていて、なるほどちょっと年下、というのわからなくもないのですが。
ここで、ラーンが幸せの定義についてクトリとじっくり話し合うシーン。これががっつりラストへとつながってくるんですよねえ。ラストというか、作品全体の主題の一つとも言うべきか。

プロポーズされてしまって、もう気分は夫婦なクトリ。乙女だ、すっごい乙女だ、クトリ。まだ乙女回路全開の間はクトリなんですよね。エルク的にはそのへん微妙みたいですし。特に相手がヴィレム、というのは。
ヴィレムはないわー、というエルク。デレ隠しの側面もあるかもしれないけれど、わりとマジでそう思ってる節も無きにしもあらずって感じなんですよねえ。好きな人のために神様を殺しに来たリーリァの生き様に憧れたエルクが見ている夢の欠片が、レプラコーンなのだけれど……リーリァにしてもクトリにしても、なんでヴィレムなんかがいいんだろう、的な結構なディスり発言がありますからなあ。
ってか、クトリ趣味悪いとか露骨に言われてるし。
まあ、うむむと顔をしかめながらもヴィレムのことは追っかけざるを得ないのですけれど。
いやでも、わからんでもないんだよなあ。
クトリとのやり取りの中で、ヴィレムは何度も「幸せにしてやる」って言うんだけれどね。
そして、多分、クトリは幸せになれるんだけれど……。
これは、アニメでは描かれないだろう4巻で、ヴィレムが言われる一言なんだけれど。
「一緒に幸せになってくれるタイプじゃなさそうだし」

ナイグラに幸せにしてあげたい、と言われた時の反応なんかからも顕著なんだけれど、そりゃあね、趣味悪いって言われるわ。
でも、その意味ではリーリァはお似合いだったのかな。彼女は、ただただヴィレムが幸せになれるように、自分の幸せを投げ捨ててたんだから。
正規勇者の宿命は「一番救いたいものを救えない。一番帰りたい場所に帰れない」
彼女がエルクに語った言葉に込められた思いは、果たして恋する乙女のそれにとどまらない、壮絶すぎる想いが込められてるんですよね。

 帰る場所を持たず、帰りたい場所に還ることを諦めた、
 自分自身の未来をすべて投げだし終えた者のみが、セニオリスを扱える資格を得る。
 悲劇を抱えたものでもなく、悲劇を越えたものでもなく。
 希望を持たぬものでもなく、希望を捨てたものでもなく。
 本気で強く望む未来を持ちながら、
 その未来が決して手に入らないのだと受け入れた者だけが、この剣を手に、
 別の未来を手に入れることができるのだ、と。
 極位古聖剣セニオリス。その使用者条件は斯くの如くある。その使用者たるかつての正規勇者リーリァ・アスプレイ。そして今代の所持者であるクトリ・ノタ・セニオリス。その生き様の一端でも、感じ取れれば、いいなあ。
そして、出来ればリーリァのサトリナさんの声で、あの5巻序章の最後の台詞を語るのを聞きたかった。

って、ナヴルテリが映ってる!! この人、500年前のヴィレムの仲間で、今回ヴィレムが手に入れるつもりだった聖剣ラピデムシビルスの持ち主なのである。
このアニメはクトリの物語を描くものではあるものの、裏で進行していた獣の真実、星神と人間種の戦争の真実など、なかったことにはしないわけね。

グレムリンの一位技官どの。原作だと殊勝なところはあるもののかなり無能っぽいんだけれど、アニメだと技官として結構有能なところ見せてる!! でも、6番目の獣が大量湧出してきたの、この技官のせいだからね。
ああっ、クトリに最初に絡んで絆されてた片目の狼微種の軍人さんやられちゃった。今まで殺されてた兵士たちは完全にモブだったから特に何も思わなかったのだけれど、仮にも日常シーンを共にしたキャラが殺されるとショックだなあ。
そして、ネフレンがヤバい。あれは侵食じゃなくて、魔力の起こしすぎによる暴走なんですよ。そう、クトリが話の最初の方で行うはずだった「妖精の門をひらく」というあれである。
ヴィレムの方も、ちょっと魔力を起こしただけで死にかけてた男が、獣相手に完全戦闘駆動してるんですよね。ただでさえ、地下でクトリ庇ってグシャって落としてたのに。人間の身体が出しちゃいけない音させてたのに。

ああ、クライマックスだ。