やばい、悲壮感がもう特にレン周りから強烈過ぎて、泣いちゃうったら泣いちゃうよ。

「しょうがないなあ、もう」


原作の小説はまた作風というか、雰囲気が独特でね、壮烈な場面になればなるほどむしろ淡々と、穏やかで落ち着いた語り口になっていくのです。
優しさと慈しみが満ち満ちた、悲劇の渦中にある人々をそっと抱きしめ慰めるような、そんな柔らかな雰囲気が丁寧な言葉の連なりによって作られていくんですよね。
だから、不思議と原作を読んでいる時は辛かったり悲しかったりはしなかったんです。ただ、精一杯生きた子たち生き様が切なくて、そんな子たちを見送るのが寂しくて。
でも、もう何も覚えていない、好きだった人の名前も自分のことも思い出せなくなってしまったクトリが、レンを抱きしめて落ちていくヴィレムを見た時にこぼした言葉。
「しょうがないなあ、もう」

これがね、凄く優しい想いに溢れていて、苦しいとか悲しいとか辛いとか、これで終わりとかこれで最後とかそんなネガティブな気持ちなんか欠片もない、とても穏やかで幸せそうな一言だったんです。

クトリは、本当に幸せそうだったんだ。

でもねえ、アニメで見るとねえ、やっぱり哀しいよ。彼女の、とても幸せそうな、満たされた姿が、切なかった。
セニオリスの使い手でありながら、一番還りたい人のもとに帰れて、一番救いたい人を救えたクトリ。世界一幸せになれた女の子。リーリァをはじめとする、決して幸せになれない運命を背負った勇者の姿を覚えていると、クトリはやり遂げたんだなあ、と改めて思うことができたのでした。

今回壮絶だったのは、むしろネフレンの方だったかもしれないなあ。妖精郷の門が開こうとしている暴走直前の状態、あの手の動きや全身の痙攣、殆ど死体のような有様になってるときの姿の凄まじさたるや。
護翼軍の兵士さんたち、別にネフレンたち妖精兵のこと兵器とか思ってないんですよね。普通の女の子のように扱って、彼女たちが危うくなったら必死に助けようとしてくれる。
多分、殆どの護翼軍の面々がそういう普通の善良な対応をしてくれるんだろう。だからこそ、使い捨ての自爆兵器として扱わなければならない現状に対して、誰もが耐え難いものを感じてるんだろうなあ。ヴィレム以前の担当技官が長続きしなかったり、彼女たちの存在がごくごく一部を除いて秘匿されているのも、それが理由だったはずだし。

ヴィレムさん、素手で獣をぶちのめしていますがこの男、現役の時は素手で「ドラゴン」倒してやがりますからね。ちょうど聖剣持ってなくて、仕方ないので素手でやらざるをえなかったみたいですけれど、わりと頭のオカシイ仲間内からも、バカじゃないの!? という扱いでしたからなあ、この男。これを人間の平均にされると人類泣きますから。でも、これで全く才能なくて努力だけで人間の可能性の限界まで達した、という人なんですよねえ。いやもう、人間の可能性ってどこまで上限あったんだよ、と思わざるをえないんですけど。
アニメだと、レンを庇って地面に激突する前にクトリに助けてもらってますけれど、原作だとガチで激突してるんですよね、地面。その地上に達するまでにやらかしてるあれこれがまた異常極まりないのですが。レンの聖剣、ここで盛大にぶっ壊してるんですよね。空中で獣がバラバラになってたの、そのせいでもありますし。

クトリの物語として完結するには、どうしてもこの形になってしまうかー。アニメオリジナルに改変した結末、というのも座りが悪いですし、納得ではあるのですけれど、ヴィレムとレンがどうなった、とかわかんないまま、結構スッキリしない終わり方でもあるんですよね。
気になるなら原作読め、という凄まじいダイレクトマーケティングじゃないですかw

個人的には、ナイグラートのガチ泣きシーンは見たかったですけれど。泣いちゃったアイセアを優しく抱きしめてるナイグラートさんですが、この人それより前にもう大泣きも大泣きしてますから。
泣きすぎて、本能的に熊狩りに行ってしまうくらいに。このへんは三巻相当では描かれてないので、仕方ないっちゃ仕方ないのですが、でももう髪も切ってるんですよねえ。

そしてラストのシーン。あれは、クトリの誕生のシーンですね。何気に分かり難いかもしれませんけれど、ここに幸せに生き切った少女が、この世に生まれ祝福される場面がある意味をよく噛み締めたい。

かなりストーリーを1クールにまとめるの難しいだろうなあ、と思っていたんですが、敢えて本作をヴィレムと妖精たちの物語から、クトリの物語に再編して描ききったのはお見事でした。クライマックスまでのこの気合入ったシーンの連続を見せられたら、作り手側もどれだけ熱量を持ってこの作品に向き合っていたかが嫌というほど伝わりましたし。その意味でも、幸せな作品になったんじゃないかなあ。
良かった……。


最後に。妖精たちのなかで一番大人っぽい雰囲気を見せていたラーントルクですが……お察しの通り彼女、成体妖精の中では一番のポンコツですw

原作三巻感想

4041032881終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? (3) (角川スニーカー文庫)
枯野 瑛 ue
KADOKAWA/角川書店 2015-07-01

by G-Tools


B06XSGGJ4V終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか? 第2巻【限定版】Blu-ray
KADOKAWA / 角川書店 2017-07-26

by G-Tools