ノーブルウィッチーズ6 第506統合戦闘航空団 疑心! (角川スニーカー文庫)


【ノーブルウィッチーズ 6.第506統合戦闘航空団 疑心!】 南房秀久/ 島田フミカネ 角川スニーカー文庫

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ロマーニャから無事帰投した那佳であったが、正体不明の輸送機より降下したガリアの子に強襲される! 那佳の安全と引き替えに王党派へ従属する事を選択した506であったが、それは国内において共和派の標的となることを意味していた。各勢力の陰謀、そしてネウロイの猛襲に対しロザリー、ハインリーケはそれぞれの高貴なる闘いへと赴く――。 ちょっぴり守銭奴な魔女が、混沌渦めくガリアで人質に!?異色の部隊、疑心と陰謀が交錯する第6弾!
プリン姫が少佐に任官するの、このタイミングなのか。というか、まだ大尉だったのね。劇場版に登場した際は確か少佐でしたものね。
しかし、ガリアの国情ってダークすぎやしないだろうか。カールスラントがまともな分、欧州の古き闇がぜんぶこっちに乗っかってるような気すらしてくる。貴族階級出身者のみを集めた統合戦闘航空団って設定がここまで難易度高い話になってくるとはなあ。そもそも、ガリアの子なんて完全にアウト案件でしょうに。戦時中とは言え、ここまで非人道的な人体実験の成果を公に運用してしまうとは。洗脳強化した孤児出身者の少女兵とか、ヒトラー・ユーゲントどころじゃない話ですよこれ。
でも、こんな少女兵がある程度受け入れられてしまうのって、ウィッチという先例があるからなんでしょうね。十代の、しかも場合によっては12,3歳の頃から武器担いで最前線で戦ってるんだから。
これまでこの世界観で出てきた大人の軍人や政治家って、子供を戦わせていることにどの人も程度の差こそあれ忸怩たる思いを抱えているまともな人間ばかりだっただけに、平然と私兵として子供の兵隊を、しかも洗脳という手段を用いて戦力化しようとしているガリア王党派には嫌悪感しか湧いてこんわー。
統合戦闘航空団の隊長って、どの人も管理職として上層部との折衝に苦労している印象はあるけれど、ロザリー隊長はそれだけじゃなく、政治にマスコミ対応に対テロルに、とやることが半端なく多い上に、どれも対応誤ると即座に部隊存続に関わる、というだけに難易度が尋常じゃないのを捌いてるんですよねえ。Bチームのジーナ隊長が協力的かつ有能極まるだけにだいぶ助かってるんだろうけれど、この人抜けるとノーブルウィッチーズがまともに機能するとは思えない。
後継指名されてるプリン姫、なんとか引き継ごうと努力しているし、ロザリー隊長も意図してかなり仕事振ったり、指摘や教授も欠かさないのだけれど性格の問題もあるし、ちょい厳しいよなあ。せめて、戦闘に専念できるところなら今のプリン姫なら十分こなせるんだろうけれど。ロザリー隊長、スパイマスターみたいなことも何気なくこなしてるし。
しかし、その洗脳下にある少女ですら、黒田那佳に掛かると平静では居られないというこの凄まじき人誑し。不倶戴天だったはずの506のAチームとBチームを一つの仲間としてまとめ、さらには王党派の辣腕エージェントを陥落させるという実績の持ち主だけに、次の標的と相成ったガリアの子がどう墜ちるかはなかなかに楽しみ。
印象的だったのは、カーラのエピソードか。カーラの過去回想であり、今の彼女を形作る出来事の話であり、彼女のコーラ好きが単なる趣向ではなく、一つの親友との誓いであった、という彼女を掘り下げる話なんだけれど、話の回し方がまた凄く心に残るんですよね。本作が、戦争をやってる渦中の時代なのだと、今更ながら思い出さされるのと同時に、アメリカ映画ぽいなあ、と思うんですよね。ハリウッドの戦争映画というと、派手なドンパチばかり思い浮かべてしまうけれど、それとは違うベクトルの、故郷から遠く離れた戦地である知らせを受けることで故郷の、懐かしい親友との青春時代を懐旧するという構図、凄くアメリカのオスカーっぽいなあ、と。
ジーナ隊長の過去エピソードも凄くアメリカ的だったんだけれど、Bチームのメンバーもリベリオン色を濃くしながらキャラ立ってきたなあ。

シリーズ感想