ナベリウス封印美術館の蒐集士<コレクター>2 (GAノベル)

【ナベリウス封印美術館の蒐集士<コレクター> 2】 手島史詞/一色 GAノベル

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呪われた美術品をめぐり、『ナベリウス封印美術館』と『グシャラボラス工房』の争いが激化する!!

「ヴォルフさんは、また誰かを愛したりできるんですか?」
「ジブリルこそ、そういう相手はいなかったのか?」

敵対する「グシャラボラス工房」のクロウリーとの対決を経て、ヴォルフとジブリルは絆を強めていった。

そして、アーティファクト回収の日々を送る2人に転機が訪れる。
―とある田舎にある屋敷を訪れ、幽霊現象を起す原因を突き止めてほしい―
そこは、かつてジブリルが暮らし、魔術の修行した屋敷だった。
怪しげな依頼に危機感を募らせながらも調査を進めるヴォルフとジブリルの前に、倒したはずのクロウリーが現われる。

「くかかかかか、ミルシエル嬢の仇討ちは、もう諦めたのかね?」

「魔導書」「幽霊船」「象牙天球」「サーカスの帳」「隠された肖像画」新たなアーティファクトが2人を破滅へと誘う。そしてジブリルの秘密が明らかに……。

「自分の肖像画を取り戻したいんです。わたしの体も元に戻るかもしれませんから」
こいつもう、ジブリルにでれっでれよな。そもそも、ヴォルフって自分で思ってるほど堅物でも強面でもないんですよね。仏頂面で外に向ける態度も頭の中で考えていることも窮屈で、自分は復讐の鬼であると定義付けてそれらしく振る舞っているつもりなんですけど、本当につもりでしかなくて、やってること言ってることを見ると過保護もいいところなダダ甘お兄さんなのである、この男。カッコつけているわりに、ずっとジブリルのことばかり考えてるし、ジブリルのことばかり心配してるし、お前ジブリルのこと好き過ぎるだろう、というくらいダダ甘ですし。
それなのに、彼自身はジブリルに対して「もしかして俺はこの娘に対して好意のようなものを抱きつつあるのだろうか」みたいな事を厳つい顔をして真剣に考えているのだから、鼻で笑ってしまうというものである。
いやもうあんた、手遅れに手遅れを重ねるほどめっちゃ好きだから。
前回、ある意味ちゃんと自分の復讐に対するスタンスに対して整理をケリをつけたのが、ブレイクスルーになってしまったのか。前はまだもうちょっとジブリルに対してもぶっきらぼうというか、壁を置く態度を取っていたのがもう遠い昔に感じるようなありさまで。それでいてまだこいつ、自分はジブリルに対する気遣いのようなものが足りないんじゃないだろうか、みたいなことも真顔で考えてるし。いやもう、気遣い過ぎなくらい過保護ですから。ちょっと風邪ひいて寝込んでたジブリルにお願いされたら、リンゴを兎の形に剥いちゃうくらいなんでも言うこと聞きすぎですから。

まあ基本、態度が軟化したのはジブリルに対してだけじゃなく、館長代理に対してもかなり柔らかくなっているので、案外もとから気遣いの人、というよりもジェントルマンだったのだろう。ってか、身内に対してダダ甘なのよね、この男。妹に対してもかなりのものだというのを考えると。
そういえば、前巻の感想では年長者の貫禄、みたいなことを描いてた館長代理だけれど、今回寝込んでたジブリルの代わりにパートナーとして事件に出張った館長代理、こうして詳しく書かれてみると決して年嵩の経験豊富なロリババア、なんかではなく、あれ単に年長者のつもりでいる幼女にすぎなかったのね。実際年齢はヴォルフたちよりもよっぽど高いし、能力も際立っているものの、吸血鬼の種としては幼く、世間知らずで無知に等しく、結局のところ何もわからない中でそれでも年長者だからという事実に基づいてそれらしく振る舞うのを当然と思っている、ただの子供、でしかないんですよね、この娘。なので、じっくりとよくそのふるまいや考え方を見ていると、非常に幼いことがよくわかってしまう。
どうやら一連の事件でヴォルフと一緒に近くで行動したことで、彼女自身自分がわりとトンチンカンな基準のもとに動いてしまっていることが自覚できてしまったみたいで、素直にそのへん修正しているあたり、子供らしい直截さが良い方に出ていて、同時にやっぱり非常に聡い子なんだな、というのがよくわかった。
あくまでジブリルとヴォルフの庇護者であるスタンスは崩さないまま、自分は子供だという自覚を持って二人に子供らしく甘えることを覚えて、なんかもうすごく可愛いなあってなもんですよ。二人と両手つなぐシーンはナベリウス封印美術館のチームの関係を決定づけるものだった気がします。
あとは、クロウリー含めた決着なんだわなあ。

1巻感想