世界最強の人見知りと魔物が消えそうな黄昏迷宮2. 冒険者のお仕事も色々です (MF文庫J)

【世界最強の人見知りと魔物が消えそうな黄昏迷宮 2.冒険者のお仕事も色々です】 葉村哲/鳴瀬ひろふみ MF文庫J

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PT『セージ☆ハーレム』の攻略しない迷宮攻略は続く……。

迷宮の魔物を狩り、その素材を得ることで発展してきたローゼンガルド帝国。しかし行き過ぎた迷宮開発が迷宮の枯渇を招き魔物が激減。この危機に一人の新米騎士と三人の(注:性格に問題しかない)天才冒険者が集められ『人工迷宮計画』を開始する。
PT『セージ☆ハーレム』が今回捕獲する魔物は、王国の被服事情を一手に担う、象の大きさの羊『花咲く羊』、軍隊のように統率された動きで冒険者を襲う『野菜騎士』、迷宮のスケベ馬こと『一角馬』、爪、牙、骨、毛皮全てが鋼鉄のように硬く優秀な武器素材となる『鋼鉄熊』。果たしてセージ達は無事魔物達を捕獲できるのか。
そして唐変木なセージの身の回りに変化が……!? ダンジョンと日常の物語第二弾!
いやあもう楽しいなあ!!
宴会で寄った勢いでパーティーネームを『セージ☆ハーレム』で登録してしまった一同。でも、女性陣よりもセージが一方的に精神的ダメージを喰らってるのはなんでなんだw
なんかもう「ハーレム」という言葉にトラウマまで負ってしまってるし。まあパーティーの良心でありお母さんであるティムル以外のアルリアナとククリカに対してはセージくん、女性として見ていないという以前に女性として見たくない! というくらいまで腰が引けてるからなあ。いや、アルリアナは可愛いもんだと思うんだけれど、ククリカの方はもう直視し難いものがあるだけに、無理ないかー。アレ本当に普通にしてたらそれだけで男なんて選り取りみどりなんだろうに、完全に自爆型だもんなあ。暴走癖どころかもうこれ情緒不安定の領域じゃないの!? いつの間にか情緒不安定な人を落ち着かせるスキルを身に着けてるティムル、まじお母さんw
お母さんLevel7なんじゃないか、とかパーティー内で笑ってたら実際えらいことになるのですが。
ともあれ、この四人でドタバタしながらダンジョン内でこなしていく冒険が、どれも愉快で楽しくて見ていて飽きないのである。単にダンジョンを深層まで攻略していくのではなく、枯れつつあるダンジョンから資源保全のためにダンジョン内のモンスターを捕獲したり、説得して移住を促したり、と一筋縄でいかない任務ばかりなんだけれど、任務よりも一筋縄でいかないメンバーが揃った『セージ☆ハーレム』がこれらをこなしていく様子が、力任せでも策を巡らせて、というのとも違って、こいつら!という個性でなんやかんやとクリアしていくのが面白くてねえ。
サブタイの「冒険者のお仕事も色々です」というのも、一概にセージたちの今回のお仕事に限ってなくて、そもそも『花咲く羊』では、巨大な羊の群れを相手に羊毛の確保など独特のやり方で羊から様々な資源を確保している羊飼いなんて人たちがいたり、知性ある野菜たちの騎士団相手に迷宮産野菜ゲットのために戦争している農家系冒険者、一角獣が引き連れている迷宮馬を捕獲する馬追いの人たちもいて、本当にこのダンジョンが王国のあらゆる生産業を支えているのを実感させられる回でもありました。これらの迷宮資源を採取してくる冒険者たちって、もう戦闘職じゃなくて生産職もいいところですもんねえ。
今更新たな人工迷宮を作って、セージたちに迷宮資源の保全確保を命じているとはいえ、ここまで明確に迷宮資源が激減しているのを各人が実感として得ている以上、泥縄どころかもう手遅れに近いんだろうなあ。遅きに失っしていたというべきか。それでもやらないよりもマシとはいえ、これ迷宮からモンスター消えたら王国の破滅待ったナシなのよねえ。キャラたちのスチャラカな明るさと、わりとデタラメな有能さと、女王陛下の土下座に騙されてますけれど、やっぱりヤバい状況よなあ。
と、世界の危機、王国の危機は脇において、今回のもう一つの注目はセージくんモテ疑惑である。ティムルとなんかいい感じ、という風に見えていたのはあれ、実はククリカとアルリアナへのセージ君の拒否感がゲージ振り切っていて相対的に信頼できるティムルへの態度が安定していたからそう見えていた、という疑惑が。
むしろ、今回なんか前面に押し出してきた冒険者ギルドの受付嬢。無表情無感情の人形めいた超絶美人。あだ名もそのまま「ドール」と呼ばれる彼女の、あの圧倒的な威力のセージくんへのアプローチ。これぞ、クーデレの極みじゃないですかー。いやもう、セージくんが超絶鈍感なのとドールが不器用極まるお陰で、当事者たちはともかく傍からみていると甘酸っぺえどころじゃないんだけれど、この二人のやり取り。
セージくんも何気にドールに対してはすげえ心開いているし、この人見知りLevel7にはあり得ないほど打ち解けているのに、異性への対応スキルゼロすぎるゆえのこのもどかしさ。でも、プレゼント渡したりと、意外と肝の部分はしっかり押さえているんだよなあ、この男。
意外にも、二人のこのイチャイチャっぷりを見ていたティムルが、まったく気にしている様子がなく、現段階ではほんとうにティムル、別にセージのことなんとも思ってないのかー。あれ? それだとガチでセージくんとドールが本線? パーティーメンバー外に本命が居るって、また珍しいというかなんというか。でも、ドールとセージ君、お似合いすぎて、これはこれでいいんじゃないかと思えてくる。

2巻感想