デーモンロード・ニュービー ~VRMMO世界の生産職魔王~ (GA文庫)

【デーモンロード・ニュービー ~VRMMO世界の生産職魔王~】 山和平/伊藤宗一 GA文庫

Amazon
Kindle B☆W

生産職スキルを活用し、
一般プレイヤーを撃退せよ!

「『アキカ』様は十魔王の一人に選ばれました」

ゲーマーの妹リオに勧められ、次世代VRMMO『ダブルワールド・オーバークロス』をプレイし始めたアキカを待っていたのは、ゲーム内で10人しか選ばれない『魔王』になったというアナウンスだった。
趣味の園芸をゲーム内でも満喫するはずのアキカだったが、一般プレイヤーに狙われる立場となり、慣れないながらも鍛冶や建築などの生産職メインの魔王たちと共にゲームを進めていく。一方、妹のリオはトッププレイヤーとして打倒魔王の目標に燃えていて――!?

GA文庫大賞≪優秀賞≫受賞作。仲間と共に、ゲームスタート!
実際にネカマにされた主人公よりも、お兄ちゃんからさっさと「お姉ちゃん」呼びにしてる妹の適応力がパないのですが。
VRMMOで生産職をやる話は珍しくないけれど、戦闘職でないが故の縛りというものが結構色々とあって、なんだかんだと生産職にも関わらず戦闘に駆り出され、前線に立ち、ダンジョンの最深奥に潜ったり、ということもしばしばあるんですよね。戦う職業じゃないのに、そんなに前で頑張るの? というお話になってしまうわけで。
それなら最初から生産職だけど魔王にして、一般プレイヤーから隔絶した存在にしてしまって、とにかく魔王だから強さにブースト掛かってるし、魔王だから一般プレイヤーから責められるし、そもそも魔王だからダンジョンの最深奥に居るのが当たり前だし、となるほど色々と生産職ゆえの壁を迂回して回り込めるなあ、と頷いたものです。
一方で、魔王という一般プレイヤーと敵対勢力になってしまったわけで、生産職って市場から隔離されてたら何の意味もないんですよね。それってどうするの? と思ったら、これにも色々と裏道がありまして、というか同じ魔王のオギレウスの仕掛けた仕手戦まがいの謀略を見ると、むしろ生産職の話らしく、ゲーム内経済や市場変動をちゃんと重視した仕組みになってて非常に面白かった。
いや、オギレウスのあれ、凄いでしょう。情報と市場操作を駆使した紛うことなき経済戦じゃないですか。戦う前から攻めてくる一般プレイヤーから選択肢と銭とアイテムを徹底的に奪い倒して、全力出させないどころかそもそも魔王討伐戦に挑むということすら出来なくしてるわけですから。
ボス戦となると、普通なら万全の準備を整えてから、という当然のことが出来ないのですから、そりゃあ大半のプレイヤーが二の足踏むよなあ。
魔王サイドの方も、まだゲームを始めたばかりということで戦力も個人の能力も全く整っておらず、初心者らしい右往左往からはじめて、魔王討伐イベントへの備えに駆けずり回る、という状況なのも面白かった。魔王と言ってもプレイヤーはプレイヤーだからそこまで能力隔絶しているわけじゃないんですよね。それも、生産職の魔王なら戦闘は本職じゃないうえに主人公アキカはゲーム初心者、ニュービーなわけですから、むしろ初の魔王討伐イベントではかなり不利だったんですよね。相手はベータ版からゲームプレイしまくってた最前線組。それを、同じ魔王仲間のプレイヤーたちの協力と試行錯誤で戦う準備を整えていく。魔王サイドの話とは言え、圧倒的な力で迎え撃つのではなく、むしろたくさんの足りないものを手繰り寄せていく話で、その観点からしてもなかなかおもしろかった。
アイテム製作とか素材に関するあれこれとか、生産職特有の細かいプロセスやデータを読むような部分も多くて、そのあたりはちょっと読むのしんどかったのだけれど、この手の作品ではそういう細部まで行き届いたデータの記述を好む人も少なくないでしょうから、ここらは読者の好み次第なんでしょうなあ。

とりあえず、ヒャッハーしてる山賊プレイのモヒカン軍団が何気に存在感発揮しまくってたので、こういう無駄に濃い人達もっと増えてくれると嬉しいなあ。