魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?3 (HJ文庫)

【魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?3】 手島史詞/COMTA HJ文庫

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魔王の主催する船上パーティにご招待!

執事と娘が増え、賑やかになったザガンの居城。相変わらず不器用ながらも距離を縮めるザガンとネフィだが、突然ネフィが町で襲われるという事件が起こる。
襲ってきたのは――肌の色の違うネフィに良く似た少女だった! その事件の直後、ザガン宛てに魔王の一人から船上で行われる<夜会>への招待状が届く。
城のメンバーたちはその船上パーティへと、おめかしをして赴くが――。無愛想魔王と箱入りエルフが贈る大人気ラブコメファンタジー、豪華絢爛な第三巻!
イチャイチャの仕方が尋常じゃなくダダ甘っ!! こ、この男、この魔王。少女系レーベルのイケメン王子さまでもなかなかやらんようなことを、本人よくわかってないながらやりやがる!
彼のすごいところは、本来は全然女の子慣れ以前に人慣れしていなくて、コミュ障気味にも関わらず、そこで選択する慣れないまま無理やりひねり出した、覚束ない当人としてもアップアップで場当たり的な行為が、むしろ大正解なところなんですよね。普通だとこういうパターンだとトンチキなことをやらかして、しかしちょっと和んでヒロインの子が笑ってくれて、気まずいようなほのぼのしたような、くらいが関の山にも関わらず、ザガンの場合あたふたしながら、女心的にはどストライクな言動をドカンドカン放り投げてくるものだから、もうネフィにしても他の子たちにしても、もうメロメロにされてしまうところなんですよね。うん、わかる。いきなり膝の上に座らされて、とか鼻血もんだよな、ネフィさん。
何気にこうやって本人わかってないのに正解な選択をしまくる、というのはイチャイチャモードに限らず、ネフィが何か言おうとしているのを急かしたり無視したりせず、ちゃんと待ってあげるよー、と言って待ってあげたり、執事にして元敵対者の聖騎士団長だったラーファエル相手の対応にしても、今回はバルバロスや他の魔術師、キメリエスなんか相手でも「ベスト・コミュニケーション♪」を成立させまくってるんですよね。
ただ、勘違いモノと違って、ザガンが意図していないわけじゃなく、ダーツの素人が投げ方とかわかんなくてとにかくえいやっ! と投げまくったらみんな真ん中に刺さった、みたいな感じというのが一番近しいか。コミュニケーションに慣れきった人間の人誑しとも、勝手に向こうが勘違いしてどんどん上手く行ってしまう勘違い系とも違って、ザガン本人の一生懸命想いを伝えよう、ネフィを大事にしよう、フォルを慈しもう、という健気なまでの頑張りが伝わってくるので、よけいほっこりしてしまうのである。
その分、シャスティスや他の魔術師たちへの対応は結構辛辣だったりスルのだけれど、ザガンって根っこが善良なのか、冷徹で人を人とも思わない魔術師の王でありながら、ちゃんと罪悪感感じられる人なので、多分に良い子なネフィなんかが嫌がるからなあ、という理由もあるのだけれど、ザガン当人も情が移った相手はかなり大事にするし、バルバロス相手でもぞんざいに扱いながらさり気なく彼の良い所、ちゃんとしてるところを目ざとく見つけて、仕方ないなあとばかりにフォローしたりしてるし信頼もしちゃってるんですよね。バルバロスに関しては、向こうもザガン笑えないくらい真面目に頑張ってしまってるのだけれど。
と、そんな情が移っても変じゃない知り合いだけじゃなく、良く知らない相手でもなるべく死なせないように立ち回り、手をつくしてるの。別にネフィに頼まれたからではなく、わりと自発的に動き回ってるんですよね。
そうこうしているうちに、ザガンが慕われ派閥みたいなのが形成されてしまった、というのは本人なんじゃこりゃあ?と混乱してますが、魔術師たちもみんなあれで血の通った人間である以上、義理も恩も感じるものであれば、そりゃあザガンついていこうか、と思いますよなあ。
世間から言われているほど、そして魔術師たち当人が思っているほど、彼らって血も涙もない邪悪な存在ではない、ということなのか。これなら、教会の共生派というのも十分立ち行くんじゃないだろうか。なんかシャスティス全編に渡って色んな意味で一杯一杯みたいだったけど。この子、もうやることなすことひたすらポンコツ道を歩み続けてるのな。本人まるで自信なくて、かなりグダグダというかへたへたな振る舞いばかりしててみんなからイジられっぱなしなのに、これで戦ったらわりとマジで作中最強クラスというのもギャップがあって楽しい。自分に無自覚、という意味ではシャスティルとザガンってけっこう似た者同士な気もしますけど。

今回は、ついに本格的に他の魔王と接触、ということでさすが先輩魔王の得体のしれ無さ、狂気のありさまに慄かされたのですけれど、ザガンもザガンで同じ魔王として同格の貫禄を見せ続けてくれたので、むしろザガンやるじゃん、と余計見直すことになりました。ネフィとの無自覚なイチャイチャっぷりも、拍車をかけてえらいことになり、もう熱々すぎて目も当てられないことになってるじゃないですか。他にもフォルの娘としても愛で方も、もうごくごく自然にやりたい放題やっちゃってて、もうなんかあらゆる意味でご馳走様、な満腹を強いてくるようなエピソードでした。もうお腹いっぱいですよぅ。

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