ミリオン・クラウン1 (角川スニーカー文庫)

【ミリオン・クラウン 1】 竜ノ湖太郎/焦茶 角川スニーカー文庫

Amazon
Kindle B☆W

世界の命運をかけた人類最強戦力の闘いが幕開ける。斬り拓け――新時代!
新暦307年、世は人類退廃の時代。東京開拓部隊の茅原那姫(かやはら・なつき)は、この星を支配する環境制御塔で発見された青年・東雲一真(しののめ・かずま)と出会う。
しかし記憶なし、常識なし、経歴不詳な一真に振り回されて!? 
やがて全ての真実が明かされた時、一真の隠された力が解き放たれ、世界の命運をかけた人類最強戦力の闘いが始まる! 

巨躯の怪物、天を貫く塔、十二の王冠種――人智を超えた勢力に挑むミリオンクラウンとは!? 
人類再演の物語、此処に開幕!!

あれ? この作品口絵ないのか。せっかくの導入なのに寂しいなあ、とやや不満に思いながらめくったページから現れたのは、未知の荒廃した未来。海に沈んだ日本。そびえ立つ滅びた文明の遺跡群。そして、そこに跋扈する巨大なモンスター。それに対峙する多脚戦車!! 多脚戦車ですよ! そして、巨躯の怪物相手に真っ向から立ち回る一人の剣士。うわぁ、これはもうテンションあがらざるをえない! いや、多脚戦車はもうちょっと後の登場だったんだけれど、環境制御塔の威容を振り仰いで新たな未知の世界、新たな物語がはじまったーー! と読んでるこっちもこうグッと盛り上がったところで、ドーンとここから見開き絵にカラー口絵が開始され、登場人物紹介となるカラーページも続いてきて、もうこれOPスタートじゃないですか。そうか、ここまでがアバンだったのかっ。
もうシリーズの開始演出としては最高もいいところなんじゃないでしょうか、これ。良し、良し、良し。
この時点でもう、完全にワクワクしっぱなしのスイッチ入っちゃったんですよね。元々この作者さん【問題児たちが異世界から来るそうですよ? 】からこっち、世界観の雰囲気、スケールのデカさ、そこを縦横無尽に突っ走らせるキャラクター造形、と読んでてワクワクさせてくれる要素をこれでもかと積み上げてくる方ですけれど、世界が変わり、作品が変わり、物語が変わり、舞台が地球になってもなお、まるで変わらぬこの「大冒険」が待っている大世界の素晴らしいこと素晴らしいこと。
面白い、面白いよぉ!!
ちなみに、作中で頻繁に用いられる星辰粒子体って、【問題児たちが異世界から来るそうですよ?】の方でも【ラストエンブリオ】に入ってこっち、特に重要視されてるネタでもあり、あっちの世界観ともろに共通性あるんですよね。あっちの箱庭世界経由だと、ぶっちゃけ時間軸ってそこまで強固なものではなく、登場人物に幾人かは未来から来てたり、人類史の消滅に関しても物語の重要な部分になってるので、この世界が滅びた「大崩壊」後の世界ってのは、いくらでもあっちと連動できるだけに、作品同士の連携も想定されて、それもワクワクの一要因なんですよね。
あの東雲くんの超人的な身体能力も、どうやら問題児の十六夜くんと原理は同じみたいですし。ってか、むしろ十六夜くんの強さの秘密がようやくちゃんと理解できた感じすら在る。一応あっちでも,第三種星辰粒子体云々と説明されてたけれど、よりしっくり言ったというべきか。まったく同じ形質ではないんだろうけれど。

でも、こっちの世界でより特徴的なのは、味方側には超常的な存在は存在しない、というところなんですよね。まさに神の化身のごとき魔獣・神獣の類が跋扈し、滅びかかってなおこの地球上にしがみついてコミュニティを、街を、国を形成しようと奮進している人間たちをあざ笑うように、容易に、あまりにも絶大な力を持って容易に有象無象の人間たちの世界を破壊してしまう神代の怪物たちを前に、それでも生きて、戦って、未来を勝ち取ろうと足掻く芥子粒みたいな人間たちの生き様が、めちゃくちゃカッコよく描き切られているのだ。
テンションあがるわ!!
そして、そんな人類退廃の時代において、唯一世界に対抗できる人類最強戦力・ミリオンクラウン!
既に滅び去った古の時代から現れた、刀一本だけを背負った若者一人。異世界召喚ならぬ、コールドスリープから目覚めた過去を求めてさすらう謎の男。
そして多脚戦車!! 多脚戦車!!
もう、オジさんの血圧があがるネタに要素が満載すぎて、やばいわー、やばいわー。
めちゃくちゃおもしれー!!
もちろん、ラストエンブリオの方もどんどん進めてほしいですけれど、こっちのシリーズにも抱きつきたい勢いです。これはええのはじまったで。

竜ノ湖太郎作品感想