妹さえいればいい。 6 (ガガガ文庫)

【妹さえいればいい。 6】 平坂読/カントク ガガガ文庫

Amazon
Kindle B☆W

可児那由多、本気出す。

告白ひとつで人間関係が一変してしまうほど、彼ら彼女らは子供ではない。けれども、心は確実に変化する。心の変化は物語に新たな潮流を作り出し、登場人物たちを否応なく巻き込んでいく。それとは関係なく、アニメ化という荒波もまた伊月を容赦なく押し流す。さらにはGF文庫にも、新しい作家たちが登場する。新展開、新人、新しい仕事、新しい日常。それはそうとぷりけつは相変わらず千年に一人のケツを持つ少女を追い求めていた。そんな彼にも大きな変化が……!?同じようで変わりゆく、青春ラブコメ群像劇第6弾!!

ぷりけつさんは普通に警察案件だと思うんですけどこれ如何に。
アニメスタートしている本作ですけれど、6巻ですでにここまで人間関係激変してるんだわなあ。京と春斗は告白に至る雰囲気がとても良くて、春斗の台詞は京ちゃんにとってもかなりぐぐっと来る言葉だっただけに、このまま付き合っちゃうかとも思ったのですけれど、京ちゃんからの伊月へのケジメとも言える告白が皮肉にも待ったをかけた感があるんですよね。伊月はきっぱり振って、京ちゃんはきっぱり振られたわけだけれど、振られた直後に春斗とお付き合いをはじめる、というのも確かに塩梅が良くない。想いを打ち明ける、つながることを求めるというのはとても大切なことであるがゆえに、伊月への告白が単なる清算になってしまうというのは京自身にとっても不本意だし、伊月に対して京ちゃんの性格からして失礼だと思っちゃうだろうし、それは先に告白されていながら伊月に告ったという春斗に対しても不誠実すぎるありさまになってしまう。
そのへん、ファジーでも良かろうにとも思うんだけれど、この娘誠実だからなあ。ぶっちゃけ、自分でいうほど伊月への未練とかじゃあないと思う。
しかし、熱りをさますにしても、仕切り直しするにしても何かきっかけが欲しいところだったんだけれど、てっきり京ちゃんの就職関連から動かしていくのかと思ったら、まさかの春斗の方への別の肉食系女子からのアプローチと来たか。そっちから揺さぶられたら、男女関係動かざるをえないよなあ。
そんでもって、こっちも決定的に動いた伊月と那由多の恋愛模様。こっちも、まさかこんな形で伊月が自分に対する縛りを覆すとは思っても見なかった。男の意地よりも、自分の心に素直になった、というべきなのかもしれないけれど、作家として対等になるよりも男としてこの娘を放っておけなかった、という方が適しているのか。とはいえ人生=作家・物書きである以上、そこで引け目を感じ続けるというのは変なところに負荷がかかり続けて、徐々に歪みが生じていく危険性もあるものです。男の意地云々もあるのだろうけれど、対等になりたいという願いの奥底には、そうした危機意識もあったと思うんですよね。伊月はそうなんでもかんでも柔軟に受け止められるほど柔らかい性格はしていないですし。一方で、今回の一件でもそのへん露呈していたけれど、那由多という少女はその破天荒ぶりとは裏腹にメンタル的にめちゃめちゃ脆い。何気に現状、そんな那由多を一番理解して、一番受け止めきっているのが京ちゃんなんですよね。もしかして伊月に対してよりも懐いてるんじゃ、という京への慕いっぷりも、京が伊月に告白したと打ち明けたときの反応にしても、京ちゃんもう伊月や春斗じゃなくて、那由多と結婚すればいいんじゃね? というくらいのパーフェクトコレクションでしたし。
この脆い同士の二人が付き合いだしても、かなり不安が募ってしまうのですけれど、周りがどれだけサポートしてやれるか、というところなんでしょうかねえ。とは言え、みんなも自分で手一杯になりかねない導火線に着火済の案件を抱えているだけに、いざという時に構える余裕が果たしてあるのか。
佳境である。

シリーズ感想