俺、ツインテールになります。 13 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。13】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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宿敵ドラグギルディ、完全復活――!!

神の一剣の幹部・戦女神ヴァルキリアギルディの能力“死して尚変態(ヴァルハラ)”で、これまでに倒したエレメリアンたちが完全再生! 積み重ねてきた全ての戦いをリセットされたツインテイルズ。彼らの終わりなき悪夢が始まった――。 だが、この重大な局面で、愛香にある異変が起きていた。ヴァルキリアギルディとの戦いのなか、自分が誇れる唯一のもの――ツインテールを失う危機に直面した彼女は、激しい恐怖心に支配されてしまったのだ。エレメリアンに絶望を与えてきたテイルブルーの弱体化。総二の優しささえ、今の愛香には不安でしかなかった。その間、再生エレメリアンたちは複数同時侵攻を開始する。圧倒的な数を前に、トゥアールが導き出した作戦とは――。一方、アルティメギルの女科学者マーメイドギルディは、エレメリアンの復活の先に、更なる恐るべき計画を企てていた!

愛香が、慧理那が、イースナが……次々に危機に瀕していく、ツインテイルズ! 果たして、彼女たちの運命は!? そして、宿敵と相見える総二! 究極のツインテール・テイルレッドと、最強のツインテール・ドラグギルディ――今再び、ツインテール頂上決戦の幕が上がる!!

もうボロ泣き。いやマジで。いい歳したおっさんが、マジ泣きですよ。それも感動で。
ああ、今まで【俺、ツインテールになります。】を読んできて良かった、と心底思わせてくれる、シリーズの集大成にして到達点とも言える決戦でした。そう、ずっとこの光景を望んでいた。愛すべきエレメリアンたち。お互い相容れぬ存在でありながら、ずっと互いをリスペクトしあい、全力を尽くし全身全霊をかけてお互いの信念をぶつけ合い、最後には溢れんばかりの敬意と友情を分かち合いながら、倒れていったエレメリアンたち。
彼らは敵でした。しかし、誰もが尊敬できる敵だった。その属性に対する信念と愛情は敬服に値するものばかりだった。どれほど変態であろうと、美しく格好良い生き様ばかりだった。そして、何より優しい益荒男ばかりだった。力と思いの限りを絞り尽くしてぶつかり合う果てに、間違いなく友情が、親愛が芽生えていた。
「強敵」と書いて「とも」と読む。そう語るに相応しい変態ばかりだった。
だから、そんな彼らが前巻において再生怪人として復活した時、抱いた思いは「またか」ではなく、「また会えた」というどこか喜びにも似た感情だったのです。
そして、復活した彼らがそんじょそこらの特撮モノの再生怪人と根本から違ったのは、作中でも彼ら自身が語ってるように、自分たちを倒したツインテールズへの恩讐極まる亡者たちなどではなく、第二の生を謳歌する粋人ばかりだったんですよね。まるで、かつての賑わいがまとめて戻ってきたような活気がアルティメギルに戻ってきていて、いずれ終わる祭りであってもその光景は心温まるものでした。
でも、どれほど満足して散っていったとしても、エレメリアンたちそれぞれに未練や思い残すことがあったのは確か。そこには、ツインテールズの面々とのまだ果たされない因縁だったり、思いを告げられぬまま先に散ってしまったが故に届かなかった気持ちを、再会なったことでついに繋げられたり、となんかねー、みんなが一斉に戻ってきたことで叶ったこともあり、思い残したことが次々と果たされていくんですよね。読んでいるこっちもどこか胸の片隅にこびりついていたものが、キレイに丁寧に引き剥がされていくようでした。
これはツインテールズもおんなじなんですよね。かつて出来なかったこと、届かなかったもの、悔しい思いをしたまま果たせずに終わったこと。それを、こうして成長した段階で再び向こうから現れてくれて、後悔や心残りを再戦によって吹き飛ばしていってくれたのです。受けて立つエレメリアンたちも、リベンジを! というよりも、まだ未熟だった頃のツインテールズたちの成長を見届けることが叶って喜び満足したようにまた去っていき、全力を発揮できないままなんか適当にやっつけられてしまった連中も、やっと自分の本領を発揮することが叶って満足して逝ったり、とこれまで残されてきた小さな隙間を丹念に埋めるようにして再戦は続いていくのである。
そこで確かめられたのは、ツインテールズの成長であり進化であり、その糧としてエレメリアンたちが間違いなく彼女たちを押し上げ、育て、伸ばしていったのだという事実でありました。相容れぬ敵であろうと、矛を交えるしかない関係だったとしても、彼らは間違いなく戦友だったのだ、と……。

正直もうね、こんだけ丁寧にリスペクトを充実させてくれたから、彼らともう一度再戦という形だけでもかなり満足感はあったんですよね。
でも、それだけでは終わらなかった。終わってくれなかった。
あのクライマックスの、望んでやまなかった光景が叶ったことへの感動が、どれほどのものだったか。思わず泣けてきてしまうほどの、素晴らしい、素晴らしいシーンの連続。
スワンギルディの、ドラグギルディへの崇敬。洗脳され自由意志を失っていた状態から、自力で復活して皆のピンチを覆してみせたオトコの意地。もうね、カッコイイなんてもんじゃなかったですよ。そこからはじまるオールキャストの大騒ぎ。
並び立つドラグギルディとティラノギルディの二大エレメリアン・ツインテールズの勇姿。
貴の三葉のレディース軍団とブルーという喧嘩友達の共闘。死の二菱の左右両牙将プテラギルディとトリケラトップギルディのタッグ戦。ビートルギルディとスタッグギルディの兄弟が合体したヘラクレスギルディがイエローを乗せ、敵軍を蹂躙していくその光景。相争っていた巨乳派リヴァイアギルディと貧乳派クラーケギルディによる、今度こそ手を取り合い、お互いを認めあった肩を並べあっての闘争。
そして、ティラノギルディのまさに「帝王」を名乗るに相応しい揺るがぬ巨大な背中をもって少女の涙を止めるために守り抜いた最期の戦い。
そしてそして、誰よりも通じ合いわかり合い理解し合った者同士。戦友同士。親友同士。或いは、ツインテールの二房であったテイルレッドとドラグギルディの、ずっと思い描いていた二大ツインテール戦士の共闘。
クライマックスにおける、エレメリアンたちから注がれた、託された属性力により成るこの場この時限りの究極進化エレメリアン・チェイン。
熱い、熱い、熱い。そして優しく激しくカッコよいシーンの連続は、もうありえないほどの盛り上がりで、テンションの上がり方で、まぶたの裏にはありありとこの激烈で素晴らしいシーンの光景が思い浮かぶようでした。
そして、あまりに美しいラストシーン。友との別れのシーンを描いた挿絵は、もう言葉にすることもおこがましい心を震わす傑作でした。あれはもう反則だよー。泣くよーー!! ボロ泣きだよっ!!
ティラノギルディ、復活してからひたすらかっこよいドラグギルディとは裏腹に、その見事までの小物っぽさを、もう見ていられないっ! と思うほどに随所に見せつけてくれて、色んな意味で目立ちまくって、もうなんだか愛おしくすらなってきていたんですが、最期の戦いに見せた勇姿は筆舌に尽くしがたいほどにカッコよくて、ドラグギルディに並び立つに相応しい勇姿でした。かつて泣かせてしまった少女の涙を止めるために戦うって、どんなヒーローだよ。かっこよすぎるんだよ、小物のくせに。帝王のくせに。
んで、ドラグギルディですよ。もうこんなカッコイイ敵キャラ、こんなライバルキャラ、出てこないんじゃないかというくらい、あまりにもあまりにもすごすぎた。
ライトノベル史上に残る、最高の好敵手でありました。

これ、作品としてこれ以上登れないというくらい頂点を極めてしまった展開で、あとどうするんだろうと心配になってしまうんですけれど、それくらいこれまでのシリーズのすべてを費やし燃やしきったような、全力全開の物語でした。文句なしに最高傑作。【俺、ツインテールになります。】という作品は、この話を描くためにあったんだ、と言ってもおかしくないくらいの集大成でありました。
ただただ、感動の涙が湧き出してとまらない。

シリーズ感想