霊感少女は箱の中2 (電撃文庫)

【霊感少女は箱の中 2】 甲田学人/ふゆの春秋 電撃文庫

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少女失踪の心霊事件以降、ロザリア・サークルの代表・守屋真央のもとで「交霊会」の手伝いをすることになった柳瞳佳。
そんな中、守屋の前に同じ学校に通うテニス部所属の的場茜から心霊相談が舞い込む――それは「一人交霊会」を機に、人が全く変わってしまった親友・吉野美南海の調査だった。
美南海の横顔に写る無数の目鼻が浮かび上がった写真。彼女を取り巻く友人たちに次々と起こる不可解な現象。そして辿り着いてきた美南海に取り憑く首つりの霊。
全ての謎を追っていくうちに、やがて明らかになっていく哀しい真実とは――。
とりあえず、死人が出なかったら、凄く穏当に終わったなあ、と思わずホッとしてしまったんだけれど、いやいやいやいや、よく考えると全然良くないですからね、これ。死人出なかったら、って一応死者出てますし、再起不能に近い状態になっている人もいるわけで、全然穏当なんかじゃないですからね!
ただ、それでも前回よりよっぽどマシな結果に終わった、と思ってしまうのはそれだけ一巻の事件が凄惨で救いがなかったから、なのでしょう。
だからと言って、今回救いがあったかというと、てっきりあった……ちょっといい話で終わったかも、と思った瞬間に虫でも踏み潰すかのように「グシャ」っと、当の救いがあったと思われた娘の心のうちからえげつないまでの本音が見えてしまっただけに、もうなんかねー、なんかねー。
ただ、独りよがりではあるんだけれど、うーんうーーん。一概に攻められんとも思うし、もう一人の娘なんかはまだもっとシンプルに二人の親友のことを思って行動していたので、救いが全くないというわけではないとは言えるんじゃないだろうか。
なんか、学校の環境が酷い状況を酷いと生徒たち自身が思うことがないくらいに歪みきっているんだけれど、前回にしても今回にしてもちゃんと女の子同士、イビツでは在っても友情というまっとうな感情が機能しているのは間違いなく、ちゃんと友達のこと心配していることは確かなので、それは救いなのかなあ。
でも……思いっきり泥をかけられた気分でもあり。なんともすっきりしないわけですよ、うん。
しかし、そう言えばその友情を拗らせきっていた瞳佳についていたアレ。てっきりレギュラーのごとく、或いは【断章のグリム】の風乃姉さんのろくでもないバージョンとして、常につきまとってくるのかと思ったら今回は音沙汰なしでしたね。本作って、かなり実録に沿った形で「霊障」というものを取り扱っているだけに、風乃さんみたいなファンタジーな存在は扱わない、ってことなんだろうか。
それでも、真央や瞳佳が置かれている状況というものが絶望を享受しているのは確かな話で、この子らは根本的な部分で、現状を改善しようとかは思ってないんですよね。だからこそ、利用されることもまた享受しているのか。
まさか、あの「箱」を利用しようなんて考えている連中が居て、学校を舞台にその勢力争いというかちょっかい掛け合っている、なんてことになっているとは想像だにしていなかった。だってあれ、どう考えても人間にどうこうできるもんじゃないでしょう。いや、しかし真央はそれを「交霊会」に道具として利用しているわけで、使うものとして捉えられていても仕方ないのか。ぶっちゃけ、真央の側からそれを止めようという意思もあるのかどうか、ってなところだし。
触れてはならない領域に手を突っ込んでしまったものの末路、という顛末は見てみたい気もするけれど。
ところで芙美さん、なんか一巻では評価が微妙というか、ポンコツ巫女っぽい言い方をされてたような記憶があるんですが、普通に活躍してますよねえ。今回もあっちこっちに出張ってお祓いやら調査やらで大車輪でしたし。ちょっと調子乗りなところはあるかもしれませんけれど、何があかんのだろう。そのうち、やらかしそうではあるけれど。

一巻感想