戦闘員、派遣します! (角川スニーカー文庫)

【戦闘員、派遣します!】 暁なつめ/カカオ・ランタン 角川スニーカー文庫

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世界征服を目前にし、更なる侵略地の先兵として派遣された戦闘員六号の行動に『秘密結社キサラギ』の幹部たちは頭を悩ませていた。侵略先の神事の言葉を『おちんち○祭』と変更するなど、数々のクズ発言。さらには自らの評価が低いと主張、賃上げを要求する始末。しかし、人類と思しき種族が今まさに魔王軍を名乗る同業に滅ぼされると伝えられ――。
「世界に悪の組織は二つもいらねぇんだよ!」
現代兵器を駆使し、新世界進撃がはじまる!!
カズマさん、カズマさんじゃないっすか、ちーーっす!
と、思わず挨拶してしまいたくなるほどにはクズっぷりがそっくりな戦闘員六号。多分、カズマさんがちゃんと就職、というかちゃんと引きこもりから脱してバイトするようになってたら、こうなってたんだろうな、こうなってしまったんだろうな、という感じではある。でも、カズマさんだと手取り17万のままで黙って引っ込んでいるとはとても思わないので、六号と若干キャラが違うと言ったら違うかもしれない。
そう考えると、六号って若干女性に甘いんですよね、あくまで若干、若干ですが比較対象がカズマさんだとわりと組織の女性幹部たちに良いように使われることを良しとしている六号は甘いと言いたくなるわけです。
一般的に見ると、こいつも十分ゲス野郎ですが。悪の組織の一員らしく、容赦ないところは徹底して容赦ない側面も見受けられますし、悪の組織だろうとバイトだろうと社会に出ると心が乾いてしまうものなんですなあ。
まあ、それでも幹部連中から十分可愛がられているようですし、ってか組織内では最古参で実質最高幹部扱い(給料除く)というのは、なんとも普段どう扱ってるんだ、と思ってしまう塩梅なのですが、これだけ「やる」男がなんで平の戦闘員のままなのかと思ったら、ちゃんと「悪の組織」らしい昇給基準があって、それを全く満たしてなかったのか。
悪いことをすると溜まる評価点「悪徳ポイント」なるものが、キラサギではまかり通っていたようだけれど、まっとうな悪事はしなくても、あれだけこまめに小悪党な行いとかゲスっぽい行為とかアウトな悪戯しまくってたら、何気に結構累積でポイント溜まりそうなものなんだけれど、ラストバトルのあの乱行とか見ると後先考えずに溜まった端からポイント使っちゃう浪費家の側面もあるんだろうなあ、こいつ。
でも、六号以外の最高幹部たちも、ぶっちゃけそんなに悪いこと出来なさそうなメンツなだけに、彼女たちはどうやって出世したのやら、と思わないでもない。世界征服が完了しそうになった段階でちゃんとまっとうな秩序に基づいた統治を行う予定が組まれているみたいだし、そこまで無茶苦茶な組織ではなさそうなんだよなあ。

テンポと良い、コメディの切れ味といい、掛け合いのハッチャケっぷりといい、【このすば】に負けず劣らずにキレキレっぷりで、ひたすら楽しかった。六号も、クズでゲスが極まっていたけれど、決めるところではちゃんとキメてくれるカタルシスの体現者でしたし。
惜しむらくは、まだヒロインとなるメンツが個性的ではあっても存在感を出し切っているとはいえないところがあるんですよね。これは書けば書くほどくっきりしてくるだろうものですから、さほど不安にも思っていないのですが、はやいところダクネスやめぐみんばりのキャラの濃さをみせてくれてほしいものである。
そう考えると、端っからぶっ飛んでたアクアさまは、さすがの存在感(無駄に)でありましたなあ。

暁なつめ作品感想