魔王の娘を嫁に田舎暮らしを始めたが、幸せになってはダメらしい。 (GA文庫)

【魔王の娘を嫁に田舎暮らしを始めたが、幸せになってはダメらしい。】 手島 史詞/玖条イチソ GA文庫

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魔王軍の騎士のカズキは、魔王の娘アストリッドのコミュ障を治すため、二人で田舎暮らしすることに。カズキは護衛に徹するが、アストリッドは新生活にノリノリ。かいがいしく世話を焼き、可愛い仕草でカズキを無自覚に誘惑!?過ちを犯せば死罪だが、理性はもう限界に…。そんななか、カズキの宿敵、勇者と神官が現れる。所構わずイチャつく二人のバカップル振りにあてられ、アストリッドの行動は大胆に―。カズキ!絶対に結ばれてはいけない(?)、二人暮らしを死守せよ!!
これ魔王さまわざとだよね!?
いや、本気なのか? 本気だとすると天然すぎるし、カズキのこと信頼しすぎて拗らせてるw 娘のアストリッドへの偏愛と同じくらいカズキのこと息子として愛情を注いでるって事だろうに、その両方を連結して考えられてないあたり、親ばかの拗らせっぷりが本当に酷くてなんともはや。
タイトルからして、もっと深刻でお互いに愛し合いながらも決して結ばれてはならない残酷な事情があるシリアスな話なのかと勘違してたんですけれど、これって障害らしい障害って魔王さまの親バカさだけじゃないのさ。それも、魔王さまむしろカズキのこと凄い可愛がっているので、もうあとはボタンを掛け直せばいいだけじゃない、くらいの安牌にも見えるんだけれど。まあ、次期魔王になるはずの娘を愛しすぎて籠の鳥にした挙句にコミュ障にしてしまった魔王さまの偏愛っぷりは、矯正するのハードル相当高そうなので、最初から義理の息子の好感度マックス、くらいないとなんともならないのかもしれない。
それにしても、何故か一緒に行動することになってしまった好敵手である勇者カップルの方がまた良いイチャイチャっぷりで。こっちはこっちで幼馴染特有の無自覚な熟年夫婦なんだけれど、これは見てたらアテられるわなあ。度々殺気を漏らしてしまうカズキのそれを神官の姉ちゃんが怪しむ場面があるんだけれど、あれ敵である勇者への殺意なのかそれとも変な縛り入れられてる自分たちと違って野放図にイチャイチャしまくるリア充への殺意なのか、わりとカズキ本人もわかってないよね、あれ。
目の前でイチャつきまくる勇者カップルに「おのれー」となってるカズキだけれど、読んでるこっちからするとアンタたちも大概だよ、とは言いたくなるよね、これ。むしろベタベタ甘酸っぱいやりとりはカズキ・アストリッド組の方が濃いくらいで、貴様ら魔王さまの釘刺し絶対忘れてるだろう、覚えててももう無視しに掛かっちゃってるだろう、と言いたくなってしまった。
まあでもね、兄妹じゃなくて夫婦設定にしたの魔王さまなので、どう考えても魔王さまが悪いよね。わざとにしても天然にしても意地悪すぎるのか、むしろ後押ししているのか本気でわからん!!
どうやら魔族と人間との対立構図は、単純な聖と邪の争いなどではなく、勇者と魔王の関係。それに幼い頃から魔王の元で育てられたカズキの出自も含めて一筋縄ではいかないことになっていそうで、でもこれ色んな意味で優しい世界よね。


手島 史詞作品感想