カンピオーネ!  XXI 最後の戦い (ダッシュエックス文庫)

【カンピオーネ! XXI 最後の戦い】 丈月城/シコルスキー ダッシュエックス文庫

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カンピオーネ7人によるバトルロイヤルは辛くも護堂の勝利で幕を閉じた。だが息つく間もなく、別時空から帰還したハヌマーン&ラクシュマナが立ちふさがり、エリカたちを追い詰めてしまう! 一方、アストラル界にて女神パンドラから神殺し生誕の秘密にまつわる真実を知った護堂は、ラーマとの決戦を前に、パンドラとある「取引」をするのだった。ついに決戦をむかえる護堂と最後の王ラーマ。熾烈を極める戦いの中、護堂は予想もできない行動に出るが……!? 神と神殺しをめぐる世界の真相がすべて明らかになる時、最後のカンピオーネ・護堂は「運命」のその先をつかめるのか……!? 超人気ファンタジー、ついに決着!!

まあそうだよなあ。数々の時間跳躍モノ作品において無敵無双を誇った「歴史の修正力」さんですらけちょんけちょんに踏みにじったカンピオーネである。たかが運命ごとき、敵ではないわな。とかく強いられる事を嫌うのが神殺しの本能である。本作における神殺しって、この最終巻で描かれたプロメテウス、エピメテウス、パンドラの兄弟夫婦による神殺し誕生のエピソードからもわかるように、神殺しの能力を人間が与えられるのではなく、神を自力で殺した人間に対して祝福、恩寵、報酬としてカンピオーネの力を与えるというものであって、そう端から運命に打ち勝った人間の可能性の権化がカンピオーネなんですよね。
他の作品に出て来る神殺しの多くが生来のものだったり運命によって役割付けられた能力だったりするのと比べれば、その在り方は正反対のものであったと言えましょう。
だから、カンピオーネが神を殺すのは、決して運命でも宿命でもない。ただ、好きでやってるだけなのだ。だからこそ余計に始末に悪い、とも言えるのだけれど、だからこそ神を殺すも殺さないも結局好き好きなんですよね。カンピオーネの自由なのである。パンドラ義母さまは力を与えてくれるだけで、なんかしろ、これしろあれしろ、あれを倒せとかは絶対言わないし。そう考えると、パンドラ含めて、プロメテウスとエピメテウスの兄弟は真の意味で人間の味方だったんだなあ。手取り足取り人間を導くのではなく、ただ火という可能性を与えてくれただけ、神に打ち勝つほどの人間にはそれに相応しい力を与えるだけ、という人間側の自主に任せてくれたという意味でも。
まあ、おかげさまで人間界には魔王なんて存在が乱立するはめになり、今回の魔王内乱では別の平行世界にまでこの迷惑千万な魔王たちを撒き散らしてしまったわけですけれど。それはそれ、これはこれ。自主独立には自己責任が伴うのである。
とまれ、神を殺すも殺さないもカンピオーネの自由、護堂の自由ともなれば、最後の王ラーマチャンドラとの決着がこうなった、というのはよくわかるんですよね。
もう十分やったもんなあ。
作中でも本人たちが語っているけれど、都合四回にも渡ってすでに鉾を交えているんですよね。そして、最後は強いられた戦いではなく、最後の王としての責務でもなく、運命によって縛られたものではなく、ラーマ本人も存分に心から護堂というライバルと戦いたいという欲求に基づいての戦いでしたから。ある意味これは、護堂が最初に出会った神、ウルスラグナとの間に成したかった決着だったんでしょうね。それを思えば、ラーマとの決着をこういう風につけられた、というのは護堂にとっても万感だったんじゃないでしょうか。護堂って同じカンピオーネの男とは凄まじく仲悪いけれど、何故か神様相手だと仲良くなっちゃってましたし。ってか、護堂って同じカンピオーネ以外だったら男の親しい友人、歳の上下関係なくかなり多いのよね。あれで、同性からも好かれる性格してるもんなあ。
ともあれ、神との決着も振り返ってみれば第一巻で叶わなかった復仇を果たしたとも言えますし、これはこれで最後の戦いに相応しいものだったんじゃないでしょうか。ボスラッシュはあんまりいらなかったような気もしますけど、結構中途半端でしたし。だいたい呼び出された相手、みんなやれと言われてやりたがるような連中一人も居ないですし。その意味では真のラスボスさん、無駄な足掻きだったな、と。
女性関係もついに決着。チーム草薙の四人娘たちを無事娶ることになって、ってか法律的にはあれなのでこれ内縁の妻扱いですか? 個人的には護堂が寄り切られてしまう決定的シーンを見たかった、という気持ちもありますけれど。
平行世界にぶん投げた他の魔王たちも……別に回収せんで良かったんじゃないですか? と思わないでないですが、放っておくと他の世界への迷惑が途方もないことになってしまってそうでしたし、ってか手遅れか、護堂が回収に向かった段階で既に半数が次元渡りが出来るようになって自力で飛び回ってる、とか聞いて正直怖いw
その能力獲得していなかったプルートーとドニも、飛ばされた現地で遊ぶのに夢中であっただけでその気になったら次元渡るくらい平気で出来そうだもんなあ。実際、ドニとか戻ってきてから次元渡りの能力獲得しようとはしゃいでるみたいだし。ハチャメチャすぎるw

21巻という長期に渡るシリーズになりましたけれど、ふつうとは違うアプローチというか、カンピオーネたちの他に類を見ないキャラクター性、精神性、無茶苦茶っぷりが本当の面白いというか楽しいというか、乾いた笑いが浮かんでくるというか、なんとも凄くて味わい深いものでした。刺激物としてはトビッキリでした、ともいえますか。
それでも、こうして見事に決着してくれて良かったです。感慨深いというかなんというか。なにはともあれ、おつかれさまでした。次回作も早速スタートしているようで、またぞろ楽しみ♪

シリーズ感想