もう異世界に懲りたので破壊して少女だけ救いたい (角川スニーカー文庫)

【もう異世界に懲りたので破壊して少女だけ救いたい】 永菜葉一/るろお 角川スニーカー文庫

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Kindle B☆W

異世界へのアンチテーゼ――その序章。

異世界召喚された高校生ユウヤは、お客様気分も束の間、魔術が使えず、魔導学院で落ちこぼれる。やさぐれて寮費も滞納し、学院長命令で世界を救ってくれる『天使の転生者』を捜すことに。だが天使候補のお姫様は重度の中二病で!? 意外に意気投合するユウヤだったが、やがて世界を救う方法が彼女の殺害だと知り――!? 悪知恵と策略で魔術を破り、腐った世界をぶち壊す!
落ちこぼれ召喚者の異世界・破壊録!
わはははは、これは酷い、ってか酷いww
これもうセラに尽きるでしょう。口では厳しいことを言いながらもいざ迫られねだられ頼られるとついつい押し切られてしまう生粋の堕メンズウォーカー。わりと本気でクズいダメ男なユウヤに振り回され怒り散らしながらも、全然見捨てられず教育係という体のまま実質養育係になってしまってるセラさん。自分がお小遣いあげているのに、そのお小遣いからプレゼント貰ったらめっちゃ喜んでしまうセラさん。多分、ユウヤが退校になって行き場なくしてしまったら自分の部屋で無職ニートを養ってしまうだろうダメ人間属性のセラさん。

その年齢12歳!!

いやうん、この手のヒモ男をついつい甘やかしてしまう女性キャラっているけれど、まだ僅か十二歳という幼い年齢でここまで立派にダメ人間属性を開花させてしまっている子ははじめてみましたよ。つまるところ、このセラさん、12歳にして天才魔術師としてダメ男一人を養えるくらい立派に自立した女性をやっているという事なんですけれど、この幼くして大人顔負けの自立性を有しているという部分を全力でダメ男を甘やかすことに費やしてしまってるあたり、本気で将来が心配です。というか、12才の時点でダメ男に人生尽くしてしまうことになってしまうんだろうなあ、と決まっちゃってる幼女って……。
ちっちゃい子が「大きくなったらお嫁さんにしてやるよ」と言われて無邪気に喜ぶシチュエーションって、普通ならこう微笑ましいものですけれど、これが私生活から何から全部面倒見てもらってる生活力も皆無で性格も結構クズくてやればできるけれどやらないクズ男に同じこと言われて、表向き憎まれ口叩きながらも裏ではめっちゃ喜んでしまっている幼女、というのは同じシチュエーションでも実体が全然違うような……。
うん、これがまだダメ男一人だけならセラの苦労も一人分、というところだったのかもしれませんが、まあそれだけでなんかこう人生世知辛いものを感じてしまうのだけれど、まあ本人が幸せならいいのかなあ、と遠い目になってしまうシチュエーションなのですけれど、これにさらに重度の中二病に感染した、生活能力皆無で性格もポンコツ極まる王女さまが加わったら、これもう二人のダメ人間の人生をセラが一人で養っていく、という凄まじい構図に……。二人共、セラに面倒見てもらう気満々ですし。良い歳した男女が揃って12歳幼女に養ってもらう気満々なんですけど!
ある意味、これはセラのハーレムと言える三角関係なんですけどなんだろうこれ、本当になんだろう。いやでも、セラ悲鳴あげながらも生粋のダメ人間甘やかし属性である以上、ダメ人間二人抱える人生ってもしかして本望なんだろうか。12歳にして本望を得てしまう幼女。しかし、良識とかが邪魔して苦悩する幼女。大人の階段、駆け上がってるなあ、この娘。

本編のストーリーの方は、何も成し遂げられないまま無気力となりセラにお世話されながらダメ人間道をひた走るはめになっていた男が、そんな底辺に堕ちた自分よりも弱くダメダメなヒロインが見回された世界の平和のためには誰もが正しいと言って強いる理不尽な境遇を目の当たりにしたことで、「世界の正しさ」に反逆し、自分よりも弱い者の味方として立ち上がる、という非常に燃える叛逆の物語なんだけれど、ソレ以上にダメ人間同士意気投合して腕組んでステップしてやりたい放題しているユウヤとクローディアのダメっ子コンビに振り回されるセラ(12歳)の構図が面白すぎて、セラさん(12歳)のチョロすぎさが素晴らしすぎる、でも、ただ振り回されるだけじゃなくて、本当にユウヤが暴走して世界を滅ぼすようなことになったら、世界を護るためじゃなくてユウヤの心が壊れないように彼を殺して自分も死ぬつもりだったり、最終決戦の前には一緒に死んだげる宣言までしてしまってるくらい、12歳のくせに重い女の愛を自在に振りかざしているわけで。さすがです、セラさん、としか言えないすげえ幼女である、とかくセラに尽きる新シリーズでした。

永菜葉一作品感想